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クジラの人魚姫5-6

(6)

「幾らなんでも弛んでる!! 授業を何だと思ってるんだァ!!」

怒声で生徒に諭すのは教員生活15年の青木先生。
彼の第一印象は、体育教師の鑑というべき隆起した筋肉。そして、濃い顔つきである。
それこそ普通の先生が大人なら、青木先生は『鬼』のように――おっかない。

(さっきよりは全然マシだけど納得できねえっ!なんで俺まで怒られるんだよ!!)

そんな凶悪的な面に怯えることなく白方玖史羅は――今は『白方セラス』である少年はやるせなさで震える体を必死に押さえていた。
どう考えても、どう思考方向を変えても、合点がいかない。
無論、先生が悪いわけでもない――むしろ、感謝しているぐらいだ。
この傍若無人な者たちに罰をお与え下さるのだから。そう思いながら、クジラは半眼で。

「えへへ――あれぇ、なんでだろ?」
「青木先生が、怖くないや」
「――ダメぇ、あの感触が忘れられないィ」

女子たちを見たのだが――どうやら"あの"青木先生の怒号ですらも彼女たちを正気に戻せなかったようである。
何時もは涙目になる女子すら出ている。
それが今日に至ってはほぼ全ての女子が、ニタニタと白昼夢に浸っているではないか。
ひそひそ話が皆無な代わりに独り言が聞こえ、何故か見事に会話のようにシンクロしている。
学校一怖い青木先生も、流石に気持ちが悪そうに、心なしか姿勢が後ろ向きだ。

(こいつ等――罪悪感ってものがないのか……?)

『時間に遅れるから、着替えを手伝った』。
そんな大義名分<いいわけ>すらも護らず文字通り自分の肉体を堪能した女子たち。
追求すれば、女子全員で自分が『セラス』が可愛いから――"こうなった"と述べてくる始末。
敢えて分かりやすく言うなら、クジラはやさぐれた気分になりつつ――。

(…でも…仕返しするのも…無理だもんなあぁ…)

込み上げる怒りをどうにか納得させ、黙って『セラス』を演じていた。
誰も味方に成ってくれない以上、どんな屈辱でも甘んじて受けるしかないのだ。
入れ替わってから学び続けている忍ぶ心で、ひたすらに堪える。
例えば、ブルマ姿を複数人にお披露目している事実<いま>とか――を。

(くうぅんんっ!?この頼りなさや、恥かしさはなんなんだっ!?っていうか、どっから出してきたんだ!!こんなものおぉぉ!!)

ピッタリと臀部と股に癒着するブルマ。
なんという破壊力だろうか。時間が経つに連れ、羞恥心が肉体に込み上がった。
唯一ブルマを着ている屈辱か、あるいは装着側へとなってしまったことへの恥ずかしさか。
または、そんな姿を沙希やセシリウスどころか、クラスメイトにさえ見られている情けなさか
ぴくん、ぴくん、と腰を中心に肉体が軽い痙攣を続ける。

(あっ…お腹…疼くぅ…!い、いや…なのにぃ…っ)

ぬちゅり、ぬくっん…。
理屈ではない――ピッタリ張り付く布地の締め付けに後押しされ、気恥ずかしさに子宮が震える。
思わず感じて、愛汁をこぼさないかと不安がり、『白方セラス』は無我夢中で、身を縮めた。

(ああ――っ、もう!!早く終わって――!!)

『体育』の時間が一刻も早く終了して欲しい。
ストレスと緊張に嫌でも尿意を気にしてしまう。
そして巨乳故に布地のほとんどが上部へと集まり、すべらかなお臍が外界に溢れていた。
冷気がひゅうひゅうっ、と下腹を撫で回すたびに、本気で尿意が心配になる。

(ふぇ…こ、こんな…あっ!まだ大丈夫…な、筈ぅ…!それよりも、この視線、なんとか…しないと…)

無駄の足掻きと知りつつ、上部の布で股間を隠そうとするも、逆にただでさえ溢れ返っている巨乳を強調することになり、むちんっと、肉房が蠢いた。
クラスメイトは勿論、青木すらも頬を赤く染め上げる。

「ああ――こほっン!!と、兎に角だ!!もう時間もほとんどなくなってしまったので男子共々、基礎運動にする!!まずはペアを組んでの体操だ。……あーそこの――白方セラス!!」
「はっ――はい!?」

まさかの特別点呼。感謝しているとはいえ、怖い者は怖く、身体にほんの少し別の恐怖が加わる。
おまけに――。

(なんでもいいけど……早くしろ~~っ!!)

注目されている。いや、これは見るなど、生易しいものではない。
視姦そのものだ。
少なくとも彼自身には、そうとしか思えなかった。体が恥ずかしさで、さらに紅潮する。
しかし、先生からの指示は未だにない。

「……?……あ、あの――っ」
「ん、ああっ!?すまん!!」
「……?」

中々、こない言葉もさる事ながら、その態度はもっと謎めいていた。
声をかけるまで、ボーと顔を赤らめ、何かに見惚れているように抜け切っていた。
一体――何に魅了されていたのだろうか。
訳も分からず、『セラス』はブルマ姿で先生を見上げる。

「――っ!!取りあえず、だ!!ブルマのことはいいとして女子だけだと人数が合わん!!偶然にも海風の奴も休んでいるからお前は男子と……親戚の白方と組んで準備体操してくれ……」
「はっはぁ――『ちょっと待ったああ!!?』――ひぁあッ!?」

能天気に青木先生の仕草を考えていたクジラはもうどうでもいいや、と指示に従おうとした。――親戚の『クジラ』に文句を一つも言ってやるつもりで。
それに数が合わないから男子と女子が入り混じるなどけっこうある。
だが、なぜかその場にいる多くの人物が絶叫する。そして、反発へと加速した。

「なんで白方!?俺っ!!俺っの方がいいです!!」
「先生!!俺にィ、…チャンスをおお!!」
「白方君よりも僕の方が彼女に相応しい……っ!」
「ああ、ブルマ――ぶる…まぁ…」

全体的に歪んだ興奮を催す男子諸君。そこに『白方 玖史羅』が――。

「当然だろ?"当然"――」

勝ち誇った笑みで自慢する。胸まで張り出し、極めて傲岸不遜だ。
これには男子も、そして女子にも嫉妬と怒りを煽られた。

「野蛮な男子にセラスさんを譲るなら私が男子と組みますぅ!!」
「そうよ――セラスちゃんの体はあたしたちのモノなんだからっ!!」
「男子に渡したらヤバすぎます!!」
「先生!!教員生活を終わりにしてもいいんですか!!」

やたら密接な関係のような口ぶりで、先生に講義をする女子諸君。
どうやら更衣室の淫らな行いは、本当に友情でしかなかったらしい。
異性の精神構造の違い――だと思い込みたい彼は、ひっそりと涙を流した。
そんな仕草に気付いたかは知らないが、論争がさらに過激になる。

「黙れ女子!!白方さんのブルマ姿でどんなエロいことしたんだ!!あの疲れとテレぐあいは尋常じゃないぞっ!?」
「ふン!!卑猥な妄想しないでくれる?あんた達みたいのと一緒にしないでっ!!――つうか、妄想でも私たちのセラスちゃんをけがすなァァァ!」
「お前たちが独占するから妄想するしかないんだろうがああ!!俺たちだってお知り合いになりたいんじゃああ!!こら!ナス!!」

そうだそうだ、と、そうよそうよ――の、ぶつかり合い。非常に迷惑だ。
その場で唯一皆と気持ちに共鳴できない『セラス』は頭を抱え込む。
そして自然的には収まりつかない状況に、ありったけの思いを込めて青木先生を見やる。
うるっ、と涙を滲ませた瞳で、頬を赤らめて、様子を伺う。

(青木先生――何とかしてくれ)

目線だけで鼻血を噴出してしまうほど牝々しい魅惑の瞳。
少なくとも青木――そして、その視線に気が付いた幾人かが、劣情の余りに硬直する。

「~~っ!?ええィっ!!ウルサイ、ぞっ!女子よりも早かったとはいえ、白方以外十分も遅れで来た男子が我が侭いうなっ!!白方と白方セラスは後ろに行けっ!!」

ああ、この世には残酷な人がいる――彼らと彼女らは、そう思った。
外見は、無様ではあるが、そこには一種の絆が生まれる。
男子も女子も地面にしな垂れて、落ち込んでいた。

<つづく>

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