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女子力のエッセンス 前編 by.F

コンコンと妹の部屋の扉を叩く。
「おーい、エミいないのか?
 大学のレポートを閉じるのにホッチキスを貸して欲しいんだけど」
どうやら部屋に居ないようだ。
仕方がない。また怒るかもしれないが、
黙って借りて直ぐ返しておくか。
「お、あったあった」
机の引き出しを引くと直ぐに見つかった。
何気なく机の上を見ると、
『新中学生・新高校生向け、女子力のエッセンス!』
という雑誌が置いてある。
ふーん。あいつもこういうのを読むのか。
高校に入るまではオカルトとかオタクっぽい趣味にしか興味がなかった妹が、
近頃妙に色気づいている。男でも出来たか?
何気なくパラパラと雑誌をめくる。
『髪型でイメチェン!あなたの髪質はどのタイプ?』か。
妹はどちらかと言えばクセッ毛だが、
やっぱりサラッサラのストレートの方が可愛いよな。
『そんなあなたはリボンとヘアゴムで大胆アレンジ!』か。
えーっとどうやるんだ?
丁度いい所にヘアゴムとリボンがあったので拝借し、
妹の部屋のドレッサーに向かって手本通りに髪の毛をまとめる。
あー、確かに大分印象が変わるなー、ってそうじゃない。
ホッチキスを借りるんだった。
自分の部屋に戻ってすぐ、タイミングの悪いことに
妹が居間から部屋に戻ってきたようだ。
まずいな……
「この、バカ兄貴!」
との大声と共に妹が怒鳴りこんできた。
「部屋には勝手に入るなとあれほど!って、あれ?その髪」
「あ、ああ悪い。ちょっと試したくなって。すぐ返すよ」
「ぷっ、いいのいいの」
ん?何がおかしいんだ?似合ってないか、これ?
「兄貴、私の机の上にあった雑誌読んだでしょ」
「あ、ああ、すまん、勝手に読んで」
「ふふふっ、大丈夫よ」
そう言って妹は部屋に戻り、
「私はもう読んだから、貸してあげる」
「いや、俺は別に興味が」
「いいからいいから。リボンも似合ってるし、貸しておいてあげるね」
参ったな。俺はロリコンではないので、余りこの年頃の女の子に興味はないのだが、
モデル役の女の子がかなり可愛らしいので折角なので読んでみる。
髪型の次はなんだ?
『簡単!小顔でモテカワ!』か。
蒸しタオルとか化粧水とかを使って顔を引き締めるらしい。
小顔は男でもかっこ良く見えるから試してみるか。
タオルはともかく、化粧水はどうするか……
コンコンと、再びエミの部屋をノックする。
「なあ、エミ、化粧水を貸して欲しいんだけど……」
俺のその頼みに、エミはにんまりと満面の笑みを浮かべながら、
予備用の化粧水のボトルを一本くれた。
「次買いに行くときは一緒に行こうね」だって。
やたら上機嫌だが何かいいことでもあったんだろうか。
雑誌に書いてある通りに、タオルをレンジでチンして、
化粧水を使って顔を引き締める。
自分の部屋の姿見で顔をチェックする。
まー、元々小顔だからそこまで急には変わらないよな。
次の記事はなんだ?
『一日三分バストアップ体操!』ねぇ……
体操するぐらいでおっぱいが大きくなるんだったら誰も苦労しないって。
『あなたのバストのカップは、Aカップ未満、Aカップ以上Cカップ以下、Dカップ以上のどれ?』って、
そんなもんAカップ未満に決まってるじゃないか。
『中学生はまだまだ成長途中!根気よくマッサージと体操を続けてバストアップを目指しましょう』か。
乳腺を優しくマッサージ、って、ふむ。こうやるのか。
バストアップ体操は、ああ、なるほど。手を胸の前で組んで、こうか。
しかし……
鏡に映る小さく膨らんだ自分のバストを見てため息を漏らす。
体操するぐらいでバストが大きくなるんだったら誰も苦労しないって……
ちょっとは大きくなったのか?
悲嘆にくれつつ雑誌をめくる。
『あなたはどのタイプ?タイプ別理想ボディーの作り方!』
『あなたは、どのタイプですか?この数年、身長が伸びていない/少し伸びた/大きく伸びた』
この数年かぁ。ほとんど身長伸びてないな。
『中学校に入る前に身長の伸びが止まってしまったあなたはみんなよりちょっと小さいかもしれません』
『でも、心配したり悲しんだりする必要はありません、小さいってことはカワイイってことなのです』
『守ってあげたい、周りからそう思われるような体を作るのです』
うーん。そういうもんかね。
でもせめてエミとか母さんよりは高い身長が欲しかったかなぁ。
『そんなあなたには、ぜい肉だけでなく、筋肉もあまりつかないような、体幹を鍛えるこの体操がお勧め!』
ふむふむ。なんだ、要するにスクワットか。
いーち、にぃー、さーーーーーーん、よーーーーーーーーって無理だぁ。
スクワットってこんなに大変だっけ?
元から腕立て伏せは一回もできないけどさ。
膝をガクガクさせながら次の記事を読む。
『眉毛一つでガラリと変わる。ゲジゲジ眉毛とはサヨウナラ』
『校則の厳しいあなた達、化粧は無理だと諦めていませんか』
『でも、まゆをちょっと細くするだけで顔の印象はガラリと変わるのです』
『まゆの手入れがされていないだけで、あなたの魅力はガクンと落ちます』
ふと鏡に映る自分の顔を見ると、ゲジゲジな太い眉毛が眼に入る。
うーん。確かにこれはちょっとみっともないかな。
『クシとハサミで簡単お手入れ!』
へー、眉毛ってこうやって整えるんだ。
記事のとおりに眉毛をカットする。
切りすぎて変なことになったらどうしようかと思っていたが、
意外とうまくできた。眼も今まで以上にぱっちり見える。
次はなんだ?
『コツさえつかめば簡単、甘甘ボイス!』
声の出し方か。
『低い地声に悩んでいませんか。カラオケでもっと高いキーの曲が歌ってみたいと感じたことはありませんか』
地声は別に悩んでないが、高音が出せたほうが曲のレパートリーが増えるな。
『喉元に手をあてて、喉の奥をすぼめるように声を出してみましょう』
ん、こうか。
『それでは、その状態で『あー』っと大きな声を上げてみましょう』
「あーーーーーー!!!」
トントントン!
声を出したとたん、部屋をノックする音が聞こえた。
きっとエミだろう。
「あー、ごめんごめん、うるさかったよな」
「そうじゃないのよ。でも折角声のトレーニングするならお風呂とかの方がいいんじゃないかな」
言われてみればそうだな。
「そういうわけで、はい!」
そう言ってエミは防水型の音楽プレイヤーを差し出した。
「お気に入りの曲のデータが入ってるから思う存分練習してね!」
そういえばエミは、風呂場で歌うのが好きみたいだな。
一番風呂に入りたがる上に一時間以上歌い続けるから結構迷惑なのだが。
「でもいいのか?借りて」
普段俺に物をいじられるのを嫌うはずなのに。
「どうぞどうぞ」
「それじゃー、遠慮無く借りるな」
「だって、かわいい……のためだもの」
エミが何か小声で呟いた。
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもないよ。お風呂もう入っているみたいだから先に入っちゃいなよ」
「そうか、悪いな」
エミがやけに優しい。
優しいというか、俺を見る目が、なんというか、
かわいい子犬とか、お気に入りのお人形を見るときの目にそっくりなのが気にかかる。
そりゃ、俺はエミより胸も小さくて身長も低いけどさ……
脱衣所で鏡に映る自分の貧相な体にため息が漏れる。
ええい、やめやめ!
久しぶりの一番風呂だ。熱々のお湯をたのしみますか。
雑誌に書いてあったとおり、スポンジで入念に立てた泡で体を洗う。
ゴシゴシ洗うと痛いもんね。
さて、借りた音楽プレイヤーには何が入っているのかなっと。
うーん。当然ながら女性アイドルグループの曲ばかりが入っている。
でも、この曲なら聞いたことがあるな。
あ、この娘の歌い方カッコイイかも。
♪~♪~♪~♪
「おーい、キョウスケ」
ドアごしにパパが話しかけてきた。
「熱唱中のところ悪いんだけど、
 そろそろあがってくれないかな。次はエミが入るんだし」
うーん。そんなに長い間入浴していたわけじゃないと思うんだけどなぁ。
って、嘘だろ!?いつの間にか1時間半ぐらいたってる……
「おーい、サトシぃ」
翌日の講義の後に教室で友人のサトシを見つけて声をかけた。
サトシとは大学に入って知り合った仲なのだが、妙に気が合うのでいつもつるんでいる。
女の趣味が合わないのが。
「キョウスケ、だよな?」
「何言ってんだお前?」
「いや、なんというか、雰囲気ががらっと変わった気がして……」
「あ、気がついたか。髪型をちょっといじったんだ。どうだ?似合ってるか?」
「いや……なんというか、髪型だけじゃなくて、全体的に変わっている気がするんだけど」
「そうか?いつもどおりだと思うけど」
「うーん。俺もどこが変わったのかよく分からないんだけど……
 そうだ、もう一回俺のこと呼んでくれるかな?」
「こうか?『サトシぃ』」
「はうっ!なんかゾクゾクする。今度はクン付けで呼んでくれ」
「『サトシクン』?」
「次は、『サトシお兄ちゃん』呼んでください」
「何いってんだお前」
よく分からないが軽蔑のまなざしを向ける。
「その表情も実にクるものが……」
「いつも以上にきもいぞ……」
「うーん。もう少しキョウスケと話してたいんだけど、
 今日明日と続けて塾の講師のバイトがあるから、そろそろ行かないとだめなんだ」
「さっさといけ、この変態!」
家に帰って早速雑誌の続きを読み進める。

『これであなたも恋人ゲット!』
恋人かぁ、欲しいけどなぁ。
『恋人の居ないあなた!男友達は居ますか?』
まぁ、普通に居るけど。
『それでは、特に親しい男の子の友達を一人思い浮かべてください』
すぐにサトシの顔が浮かんだ。
『彼に恋人は居ますか?居ないのなら二人で遊びに行きましょう!』
あいつも、当然恋人は居ない。まぁ、二人で遊びに行くのも悪くはないか。
『でも、自分から誘うのは恥ずかしいですよね』
『それなら、例えば、見たい映画があるんだけど、とだけ相手に伝えて相手に誘ってもらいましょう』
『彼があなたに興味があれば、すぐに誘ってくれるはずです』
『バイトが自由にできる高校生の男の人が相手なら、おごらせてみるのもいいかも!』
『借りが出来ることで、かえって親密になれるかも!』
高校生というか大学生だけどな。
まぁ、『趣味と実益を兼ねた素晴らしいバイト』(本人談)である、
中学生相手の塾講師で結構溜め込んでいるらしいし、ここは一つサトシにおごらせてみるか。
『To:サトシ 見たい映画があるんだけど……』
とだけ書いて、サトシにメールを送信した。
すると、すぐ返信が帰ってきた。あいつ、いつもこんなにメールの反応早かったか?
『From:サトシ 見たい映画って何?一緒に行く?』
食いつきいいなぁ。
『To:サトシ 見たいのは○○なんだけど、今月お小遣いが厳しくて……』
と書いて送信。すると、またすぐに返信が帰ってきた。
今バイト中のはずだろ?いいのか?
『From:サトシ 映画のチケットぐらい俺持ちでいいよ。何時いこっか?明後日の日曜日とかどう?』
『To:サトシ え~、本当?なら、明後日の日曜日駅前北口で朝9時待ち合わせで』
『From:サトシ 楽しみに待ってるよ~』
何故かよく分からないがただで映画を観に行けることになった。
この雑誌、まじで参考になるな。
次の記事はなんだ?
『クールにきめる、スクールウェア着こなし術』
『制服と学校指定のカバンでおしゃれはできないと諦めていませんか』
『その考え方は間違っています』
『スクールバッグでも、アクセントを一つ足すだけでとても可愛く見えるのです』
『お気に入りのストラップやシールを加えてアレンジしよう!』
今度はカバンかぁ。
机の横に立てかけている学生鞄を持って椅子に戻る。
あれ?何かカバンに違和感があるんだけど、なんだろう?
こんなの俺、持ってたっけ?
「あ、そうかぁ。もうランドセルじゃないんだもんな」
先月末の入学前に届いた学生鞄と制服。
未だにちょっと慣れないなぁ。
お気に入りのストラップをカバンに付けて雑誌をめくる。
『カワイイ制服の着こなし方!』
学校から帰ってまだ制服のままだったので丁度いいや。
『上着はあえて袖を少しあまらせよう』
あえて余らせる必要なんてないんだけどね……
SSサイズなのに少々だぼだぼしている制服というか貧相な体に悲しくなる。
『スカートのはき方!すそをつめなくても簡単にミニスカートにできるよ!』
へー、なるほど。あ、でもあんまり短くし過ぎると粗末なモノが……
『靴下に指定がない場合はニーソックスやタイツで細足を演出!』
そういえばうちの学校、黒色っていう色指定はあるけど、
長さとか決まってなかったな。よし!このオーバーニーをはいて学校に行こう。
『下着でかわるあなたの女子力』
『どうせ見えないからとサボっていませんか』
『着替えの時間など周りの女子はあなたの下着を意外とチェックしています』
『また、イザというときにみっともない下着では恥ずかしいと思いませんか?』
今付けているのはジュニア用のピンクのシマシマのブラとショーツだけど、
大人っぽいのも確かに欲しいなぁ。でも、サイズが……
鏡に映る下着姿の自分にいつもどおりのため息を漏らす。
エミぐらいのバストがあればいいんだけど、望みが高すぎるか。
うじうじしていたって仕方がないからバストアップ体操とか頑張るとしますか。
そして、今日もエミから音楽プレイヤーを借りて風呂場で熱唱した後直ぐに眠りについた。

<つづく>

コメント

ようやく

書き上げましたので近日公開していただく予定です。
長らくお待たせいたしました。。。
# あと一歩質を上げたかったんですが、
# このままだとエターナルになりそうだったので。。。

ラブコール頻発をFさんに報告しておきますね。

早く続きが読みたいです!

つづきを早く見たいです。

年度末で色々忙しいのですが、
3月中になんとか完成する予定ですのでお待ちください。
>あむぁいさん
某連絡所?にご連絡事項を書きこんでますので
お暇があればご確認等々お願いします。

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  • 男の子が女の子に変身してひどい目にあっちゃうような小説を作ってます。イラストはパートナーの巴ちゃん画のオレの変身前後の姿。リンクフリーです。本ブログに掲載されている文章・画像のうち著作物であるものに関しては、無断転載禁止です。わたし自身が著作者または著作権者である部分については、4000文字あたり10000円で掲載を許可しますが、著作者表記などはきちんと行ってください。もちろん、法的に正しい引用や私的複製に関しては無許可かつ無料でOKです。適当におだてれば無料掲載も可能です。
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