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TS小説第60番 アイドルは辞められない

「ねえ~武士ィ、タカユキが又テレビに出てるわよ~」
鼻にかかった甘ったるい声。
この部屋のオーナーの美香だ。
テレビに映っているのは藤鷹之。
今をときめくトップアイドルだ。
かっての俺の相方。
そう、俺もアイドルだったのだ。
男二人のユニット、ブリギラ。
ギラホワイトこと藤鷹之とギラブラックこと日ノ本武士。
ブリリアントでギラギラ♪
それが今じゃ落ちぶれてヒモの真似事。
笑いたければ笑うが良いさ。
でも、実はぜんぜん平気なのだ。
むしろ、ラッキーかも。
相方の、鷹之が稼ぐ限り、俺は安泰なのだ。

なぜか?
アイドル・ファンドと言うものがある。
アイドルとして売れるかどうかは博打だ。運だ。
莫大な富を得るかもしれない代わりに、鳴かず飛ばずになる可能性も高い。
アイドルデビューは一生を賭けたギャンブルなのだ。
ハイリスク・ハイリターン。
ここで、投資家さん達の出番だ。
投資家さん達はアイドルファンド「ブリギラ」の株を買う。
ブリギラが大人気になれば、ブリギラ株は暴騰して、配当も得られる。
不人気でも、投資家さんは株を買う為に払ったお金が無くなるだけ。
一方俺たちは「ブリギラ」が売れても大金持ち、とは行かないがその代わり売れなくてもそこそこの給料を保証されるっと、こういう仕組みだ。
デビューに当たって、俺もブリギラ株をもらった。
当然の事だ。
取締役にもなってる。
売れても全くメリットが無ければやる気が起きない。
さて、アイドルユニット、「ブリギラ」は不発だった。
そこで、シングルデビューに戦略を切り替えた。
アイドルファンド「ブリギラ」は新たに、アイドルファンド「藤鷹之」を売り出す計画を立て、公募増資した。
この辺よく分からないのだが、「ブリギラ」は「藤鷹之」株の30%を持っているし、「藤鷹之」株の収益を元に「ブリギラ」株の持ち主に配当を実施できるらしい。
だから、俺はぷらぷらしてても全然困らない収入を得られるって訳だ。
まあ、ヒモでもやっていけそうなのだが。
俺は美香の首に手を回して顔を引き寄せキスをする。
「俺とどっちがイイオトコだ?」
「あん。そんなの武士に決まって、、、」
真昼間からエロモードが起動しようとしたその時、テレビに緊急ニュースのテロップが流れる。
「トランスドリーム社がアイドルファンド“ブリギラ”にTOBを掛けるとの声明を発表した事を受けて、ブリギラ株はストップ高で前場を終わりました」
へ、TOB?
何それ?
その日から、俺は一躍時の人となり、テレビに出ずっぱりになったのだ。

「で、TOBって一体何?」
「あなたはニュースとか見てないんですか?」
呆れ顔で答えるのはブリギラ取締役で弁護士の北岡。
「ライブドアとフジテレビと日本放送の話題がここ最近ずーっと流れてたでしょうが!新株予約権の発行とか、発行差し止めの仮処分申請とか、敵対的買収とか、ポイズンピルとか」
「なんか、そんな話題が出てたような気は、、、」
あんまし気にしてなかったからな。
まあ、アイドル時代にフジテレビにはお世話になった事もあるが、、、
「ブリギラ株を買い占められた場合は、先ず、あなたの仕事を完全にコントロールされる訳ですよ」
「ほお。でも、仕事なんかないぞ」
「それは私が上手くやっているからで、定款上、どんな仕事でもやらせられる訳です。それにもっと不味いのは、ブリギラのファンドが「藤鷹之」のファンドの30%を握っているって事です。ブリギラが買収された時点で、奴は「藤鷹之」の方も大株主と成る訳です」
「げげっ。じゃあ俺はついでに買収されそうなわけか」
「兎に角、あんな奴に買収されては今までみたいになあなあで上手くやっていけません。すぐに本社と相談して対応策を考えます。取り合えず、あなたの役目はですねっ」
北岡が顔を近づける。
でも、この時は未だなんとかなるって俺は思ってた。

「えー、ブリギラはファンのものであって、株主だからと言って自由にできる訳では、、、」
「しかし、株主は命の次に大事なお金を張ってる訳です。それにファンの為と言っても、ブリギラ株のPBRは1倍前後を低迷している訳です。これはつまり、ブリギラ株には所有している藤鷹之株の分しか価値が無い、とマーケットは評価している事を表している訳です」
「えと、PBRって何ですか?」
「あなたはブリギラの取締役をしていながらPBRも知らないのですか!それでも、上場ファンドの役員ですか!」
あ、あれ、あれっ。今のマズかったの?
てゆうか、北岡っ!
アイドルの俺が議論でこんな奴に勝てる訳ないだろっ!
相手は東大合格のエリートじゃんかよぉ。
俺はぼろぼろに言い負かされた。
完全なワンサイドだった。
結構ファンからは励ましのお手紙とか来た。
ほろりとした。
でも、マーケットは非情で。
トランスドリーム社によるブリギラ株の所有率は刻一刻と上がっていったのだ。
俺の胃は痛くなり、美香とのHの回数も減っていった。

「なんとかならんのかっ、北岡っ!」
俺はバンッ、っと机を叩く。
「はぁ」
北岡は汗を拭く。こうしている間にもブリギラ株はどんどん買い占められていく。只今38%。過半数を取られた時点であいつの部下になるのだ。あんな我侭デブの言うがままに仕事をするなんて御免だ。なんか生理的に嫌いなのだ。
買占め、、、そうだっ!
「あいつに買われる前に、ウチが買えば良いんじゃないか?」
俺は自分の名案を北岡に話す。
「そうですね、転換社債を発行して自社株買いを実施すればこれ以上トランスドリーム社に株を買われる事はありませんね。しかし、リスクが、、、」
「リスクも何ももう後がねーんだよっ、それで行こうっ!準備しろ、北岡っ」
「いえ、既に準備はできております。後はここにサインさえ頂けば全て上手くいきます」
「お、やるじゃねぇか、北岡。書類はどこだ?」
俺は気合を込めてサインをした。この時、なんでこんなに手際が良いのかをおかしいと思わなかったのか、とか、なんでサインの前に書類を良く読まなかったのか、とか俺は後々まで悔やむことになる。

3月終了時点で株主名簿は確定されるそうだ。
あれから、ブリギラ株はウチが買い占めたお陰で、ウチが45%、トランスドリームが45%、その他が10%を所有する事になった。
とりあえず、過半数を取られる事態は回避したのだ。
「乾杯!」
「乾杯」
俺と北岡は祝杯をあげる。
「いやー、危なかったなぁ。ま、これもお前が上手くやってくれたお陰だ」
俺は珍しく北岡を褒めて、ばんばんと彼の肩を叩く。
「いえいえ。あなたが馬鹿で無能だからですよ」
「ははは、あんまし褒めるな、、、なに?」
「馬鹿で無能だと言いました」
ど、どういう事だ。
北岡の目が冷たく光る。
「ウチ、ウチ、とおっしゃいますが、あなた個人の金でブリギラ株を買った訳ではありません。ブリギラファンドの資産を担保にブリギラファンドのお金でブリギラ株を買ったのです」
「え、だから、俺の、、、」
「あなたには説明しても無駄でしょうが、ブリギラファンドの金でブリギラの株券を買うと言う事は、自社株買いにあたり、株の発行部数を減らして株主に還元する意味しか無いのです。ブリギラファンドが買った株券には議決権は無いのです」
「て事は」
俺はからからになった喉をうるおす為に、ワインを飲む。
ごくり。
「当社の議決権の8割がたはトランスドリーム社に握られました。もはや、いかなる決議でも通せる状態です。全ては終わりました」
「ま、まさかお前、、、」
「すいませんねぇ。私も取締役のクチは離したくありませんでしたのでねぇ、、、」
殴りかかろうとする俺の脚から力が抜けもつれる。
「それに、藤鷹行とも一回やらせてくれるって言うんですよ。あなたを奴隷にするだけじゃ、ちょっと物足りないなって思ってましたが、そうとなれば話は別です」
「ど、どれい、、、?」
舌ももつれて来た。
俺の目の前にあの時サインした書類が突きつけられる。
“アイドルファンド ブリギラ 性転換社債    私、ブリギラ取締役 日ノ本武士は、次に当たる条項の事態が起こった場合は速やかに性転換手術を行い、美少女アイドルとして再デビューして、取締役会の指示に従って、どのような命令にも従う事を誓います。 1.株主総会で性転換の議決が有った場合。 2.取締役会で性転換が必要と認めた場合 3.営業利益が赤字だった場合、、、”
俺は頭を振って何とか意識を保とうとする。
でも、目の前が暗くなって。
そして、俺は意識を失ってしまったのだ。

<おしまい>

日ノ本

イラスト:東宮 由依

コメント

折角イラストを付けたのですから、この後の恥辱編も確かに欲しいですねえ。誰か作ってくれないかなw

今更だけど続きとか欲しいなあ

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