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【好評発売中】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第二章3

「そうですか!」
「しかし、それが本当に可能かどうかはこれから判断します」
「お願いします!」
「では、あなたの能力を見極めましょうか」
「ボクの…能力ですか?」
「ええ。基本的に誰しも固有の能力があります」
「人を…女にしたり女装させたりの?」
「そうです。潜在的に気付いていないだけでね」
 マンガみたいなといえばこれほどマンガみたいな話も無いだろう。だが、目の前で展開され、被害にまで遭っている。疑う余地は無い。
「それは…生まれつき決まっているんですか?」
「う~ん、そう言ってしまうと馬鹿馬鹿しくはなるでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんに女性の衣類の知識などあるはずもない。こう考えてください。クセとか傾向…みたいなものです」
「クセですか」
「無くて七癖…と言う通り、人は無意識に何らかのクセがあります。絵を描く方なら『画風』がありますし、プロ野球の投手などは非常に個性的なフォームの方も多い。そういうものだと考えてください」
「…はい」
「その能力を引き出します」
「どうやって?」
「それは企業秘密です。ただ、あなたには先ほど承諾された段階でもう備わっています」
「え?」
「早速私を実験台にしてみてください」
「時田さんを…ですか?」
「遠慮はなさらないで大丈夫です。これでもベテランですから」
 いい年こいた男同士がいざ目の前の相手を女に性転換して女装させようというのだ。
「…具体的にはどうすれば?」
「相手を変化させるイメージを抱いてください。相手がとくに精神的に抵抗しなければすんなり掛かります」
「でも、どんな能力なのかも分からないのに!?」
「だから生まれながらの能力と言ったでしょ?掛けようと思えばあなたの能力が掛かります」
「じゃあ…えい!」
 思わずオレはぎゅっと目をつぶった。
 …ゆっくりと目を開ける。
 時田は何も変わっていなかった。
「…まだ、不慣れなようですね」
「すいません」
「いえいえ。たまにいるんです。そういう方が」
 情けなかった。
「仕方が無い。とりあえずデビューまでのトレーニングの話をしましょう」
「トレーニング…ですか」
「ええ。ショーの側面も強いですが、なんといっても「競技」です。プロレスがショーだから練習しない訳じゃありません。むしろ逆で、しっかり練習していないと怪我をします」
「訓練するんですね」
「ええ。仮に試合中に相手のパンチを一発も食らわないほどの天才ボクサーがいたとしても、メディシンボールで腹筋を打つ練習をしない訳が無い。そうでしょ?」
「はあ」
「正真正銘、一発も打たれたことの無いボクサーが本番で強烈なパンチを初めて食らったら…どうなると思います?」
「…驚くでしょうね」
「最悪、死に至ります」
「そんな…」
「だからある程度慣れておく必要があります」
「…もしかしてそれって、デビュー前にある程度性転換して女装させられることを経験しておいた方がいいって話…ですか?」
「ええ」
「その…そこが嫌なので『全勝煽り』を提案したんですけど…」
「ほほう、最初から食らう予定が無いからそれに備える必要も無い…とこうおっしゃりたい訳ですか」
「いや…そうは言ってません!それに!」
 突然大声を出した。
「観客はあくまでもその…女になったり女装させられたりするところに戸惑ったり恥ずかしがったりするのが見たいんでしょ?…慣れ過ぎるのも興をそぎません…か?」
 しばし沈黙。
「まあ…その指摘そのものは的を射てはいます」
「いますよね?そういう人」
「…もう闘士として契約された方なのでお教えしますが…います」
「そういう人ってどうなるんです?」
「結論から言えば闘士としては引退となります」
「え…」
「おっしゃる通り、女体化も女装も日常となってしまえば一々驚いたりはしなくなっていきます。これでは見ている方は興奮しません。ましてや、対戦前に既にナヨナヨしていたりすれば最悪です。私がこちらのハウスに来る遥かに前のことですが、半ば喜んでしまう闘士もいたそうです」
「女になる…っていうか女にされるのを?」
「はい」
「…気がしれない…」
「女としての幸せや快楽に取りつかれてしまったのかもしれませんね。ともあれ、そこまで行ってしまえば闘士としての魅力はゼロです。基本的には勝とうとしてくれなくては幾ら賭けていないと言っても興ざめです」
「で?どうなるんです?そういう人は」
「さまざまです。ただ、典型的な人物は今もこのハウスで働いています」
「え?」
「次にいらした時にご紹介します」
「はあ」
「いずれにしても一回きりということはありえません。今日ももう一度『ヴェール・アップ』を体験して頂きます」
「ちょ!待ってください!まだ心の準備が」
「甘いですよ?遠藤さん?」
「うわわっ!」
 オレは思わず手で顔を覆った。
 …。
「…?」
 目を開けると…まだ身体も服も変化していなかった。
「…!?これは…ま…さか…」
 目の前で時田が苦しんでいた。
「あの…時田さん?」
「これは…この…能力は…」
 ロマンスグレーの髪が黒く染まり、生き物のようにもぞもぞと動きながら長く伸びて行く。
 深く刻まれた皺(しわ)が伸びて行く。
「あ…あ…」
 オレの方がビビっている。
 時田さんの身体が細くなり、背も低くなっていく。
 黒を基調とした執事の衣装が真っ白に染まって行く。
「もしかして…?」
 膨張した生地がぶわり!と広がる。衣擦れの音が響き渡る。
 結論を言うと、時田は「凛々しい初老の執事」から、「純白のウェディングドレスに身を包んだ美しい花嫁」になってしまった。
 物珍しげに身体をひねって身体を見下ろしている時田。
 動くたびにしゅるしゅると衣擦れの音がする。何という可愛らしい花嫁だろうか。
「…久しぶりに着ました」
 外見通りの可愛らしい声だった。
「時田…さん?」
「はい」にっこりする時田。余裕だろうか。女になっていると自然と女性的な表情も滑らかに出る様になるのだろうか。
「…遠藤さん」
「はい」
「あなたはとても珍しい能力をお持ちのようです」
「え?ウェディングドレス能力なんじゃないんですか?」
 初々しい花嫁が自らを見下ろし、指先まで覆われた長袖と手袋の手でぶっくりと膨らんだ肩の装飾…マトンスリーブ…をつんつんした。
「恐らく違うでしょう。現在のウェディングドレスのトレンドはこういう長袖にマトンスリーブの様に過剰ではなく、胸までを覆って腕も肩も露出するタイプです」
「はあ」
 鈴の鳴る様な綺麗な声だが、確かに時田の口調だった。
「遠藤さんのお年でこの能力を得たならば恐らく今風のデザインになります」
「??」
「どういうことです?」
「恐らく、あなたは対戦相手の能力を無効化し、相手に向かって跳ね返す『リフレクター』です」
「り、リフレクター?」
「はい。数十万人に一人とも言われているそうです。私も出会ったことはありません」
 時田はウェディングヴーケを両手で身体の正面に保持していた。態(わざ)となのか自然とそうなってしまうのか。
「つまり、ボクには独自の能力はなくて相手の能力を跳ね返すだけ…ってことですか?」
「恐らくそうでしょう」
 …正直、ちょっと「つまんないな」とは思った。
「悔しいですが、これならあなたの言う『全勝煽り』もいけるかもしれません」
「というと?」
「仮にあなたの能力が何であれ、毎回勝利するならば、変化後の姿は一定ということになる。しかし、対戦相手の能力を借りる形になるのであるならば、絵的にもバリエーションが豊富になる」
「あ…」
「しかも、多くの闘士は『自分の能力』を受けたことなどありません。だからかなりのベテランでも動揺は必至です。つまり、試合としてとても見ごたえがあって面白い…ということになる」
「ボクは無敵ってことですか?相手の能力が効かないんでしょ?」
 クスっと笑う花嫁…となった時田。可愛い。
「残念ながらそうではないです。きちんと抵抗しないとね。あなたさっき私が『ヴェール・アップ』を仕掛けようとした時身構えたでしょ?」
「…はい」
「しかし、そうでなければ決まります。…こんな風にね」
「?それはどういう意味…っ!?!?!」
 気が付くと目の前の視界が薄く白いものに覆われていた。
「あああっ!?」
 全身を襲う違和感。
 耳たぶをつままれている感覚に妙に寂しい首元。両手の指先までを覆い尽くすストレッチサテンのつるつするべすべの感触…。
「とってもお綺麗です」
 目の前の花嫁がにっこりした。
 思わず見下ろすと大きく広がるスカートが視界を埋め尽くしていた。先日の再現だ。

 男同士だったオレたちは、誰もいない豪奢な広い部屋の中で、女同士となり花嫁姿になっていた。

「あ…あ…」
 また…オレ…女に…女の身体に…!
 しゅるり…と音がして目の前に迫ってくる花嫁。お互いにお揃いのドレスに身を包んだ美女の共演は、華やかでありながらどこか背徳的なものを感じさせる。
 広く広がるスカート同士が大量に接触し、押し付け合ってしゅるるるるっと音がする。
「ちょ!ちょっと!な、何をするんですか…」
 綺麗な声…事実なんだから仕方が無い…でオレが言った。
「お忘れですか?この能力は『ヴェール・アップ』ですよ?相手のヴェールをあげて、誓いのキスをするまでの能力です」
「え…だって…時田さんも女に…」
 口調はマヌケなんだが声が綺麗なので自分の耳でも複雑な気分になる。
 可愛らしく首を振る時田。
 二十代くらいに見える美女ぶりが可愛い。首が細いなあ…と思った。
「関係ありません。この能力は相手が主体です。誓いのキスを受けるのは花嫁ですが、するのは花ムコとは限らないので」
 目の前に迫る時田…であった美女…の頬がほんのり紅いのはほお紅のためだけではないらしい。
「それに、私の能力のコピーなのだとしたらあなたも相手に『ヴェールアップ』をしなくてはなりませんよ?」
「え…」
 オレの折れそうに細くなった美しい形状の腕が目の前の可憐な花嫁のヴェールを上げて後ろに落とした。
 益々接近する花嫁たち。
 ドレスのスカートの押し付け合いは限界に達し、遂にストレッチサテンに包まれたお互いの形のいい乳房同士が接触した。
「「ぁ…」」
 お互いに小さく声を出していた。
 一瞬戸惑い、軽く見つめ合うと、何故かお互いにふっと微笑んでしまった。
 その後、目をつぶり、頭を傾け合って花嫁同士が唇を重ねた。

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【好評発売中】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第二章2

 ノート型にしたのは小さくて安かったからだが、帰ってきて四苦八苦してセッティングしてみると大事なことに気が付いた。
 インターネットに接続していないのだ。
 幸いスマートフォンがあったので調べてみると、まず固定電話を契約し、その上で「ワイファイLANルータ」なるものを購入してやっとまともにインターネットが使い放題になるらしい。LANケーブルでもいいが、固定電話を契約しなくてはならないところは全く同じだ。
 ただ、気になっていたこいつの中身を閲覧することは可能だ。
 先日のウェディングドレス写真が満載されていた封筒の中に入っていたUSBフラッシュメモリだ。
 脇のポートに差し込んでみる。
 一応こんなんでもパソコンは職場の仕事で使っている。買ったばかりなので店頭に置いてあるサンプルと同じく次々に立ち上がるコマーシャルみたいなウィンドウがウザいことこの上ないが、一つ一つ根気良く閉じて行く。
 USBメモリの中身は大したものではなかった。
 例の写真のデータだったのだ。
 次々にめくって行くと気絶して倒れたらしいところまであった。…どうやら印刷された写真よりずっと枚数が多いみたいだ。
 …動画もある。
 思い切ってアイコンをクリックして再生してみた。
 クリアな音声で男口調だか女口調だかよく分からない花嫁コスプレ女が妙なやりとりをしている。
 …自分だ。
 自分が映った写真や映像を見ると妙に気恥ずかしくなったりするが正にそれだった。
 その上、その「自分」は花嫁衣装姿の上、妙に甲高い声で喋っているのである。
 その時、スマートフォンが鳴った。

「また来てくださると確信しておりました」
 時田がうやうやしく出迎えてくれた。ここは「ハウス」である。出迎えの高級車に乗せられてまたやってきた。
「…どうやら支度金を有効活用して頂いているみたいで有難うございます」
 全部把握されているだろうことは予想がついていた。
「封筒をどうも」
「よく撮れていたでしょ?」
「…」
 覗き見の最たるものだ。
「お返事をお聞かせいただけますね?」
「出来たらもう少しだけお話を聞きたいのですが」
 今日は普段着である。
 といってもオレの経済状況なので二本しかない外出用のズボンとチェックのシャツくらいのものだ。ネクタイのスーツは二日に一度は自分でアイロンを掛けている。お金が使えないなら手間と暇を使うしかない。母の教えだ。
「困りましたね。当ハウスの情報はこれ以上は、「入る」と決意されていない方にお見せすることは出来ません」
「なら一般論でいいです」
「一般論ですか」
「ええ。先日は定期的な収入の目安について結局お答えいただけなかったのですが」
「そういうことなら答えは同じです」
「いえ、そうじゃなくてこちらがする質問に答えて頂きたいってことです」
「結構。答えることが出来る質問なら答えます」
「仮に定期的にこちらのハウスで指定された回数戦ったとして、報酬は月払いですか?」
「いえ。その日の内に支払われます。銀行振り込みの場合は残念ながら午後三時を過ぎていた場合、翌日の処理となりますが、「現金」でその場で手渡しする形でのお支払いも可能です」
「そのお金をこちらにお預けすることは可能ですか?」
「…と、いいますと?」
「別に指定銀行とかでも構わないんですが、要するに管理して欲しいんです」
「もう少し具体的にお願いします」
「オレに何らかの形で報酬が発生した場合、月の決められた日に振り込んで下さい。そして仮にその金額が三〇万円を超えていた場合、振り込むのは三〇万円。それ以上の金額はプールして頂きたい」
「ほう…」
「仮に三〇万円に届かなかった場合はプール金より補充してください。プール金以上のお金はいりません」
「…なるほど。実に堅実だ。定期収入の形にしたいということですね」
「そして支払いは、仮にボクがこのハウスを引退したとしてもプール金が尽きるまで続けてください」
「…年金と言う訳ですか」
「ええ。ボクは用心深いのでね。仮に月に一億の収入があったとしても一度に手に入るのは三〇万円」
「遠藤さんはもうすぐ二四歳ですね」
「はい」
「仮に八〇歳まで行きたとしてあと五六年。六七二か月。約二億円です。仮に約二億円以上稼いだとなるとそれ以上については如何なさいます?八〇歳以降にお使いに?」
「それはその時考えます。毎月の月額を少しずつ増やしてもいいだろうし」
「なるほど。…可能か不可能かでいえば問題なく可能です」
「そうですか。…あともう一つ」
「何でしょう」
「時田さんは闘士としてこの闘技場で生き残るコツは決して勝利し続けることだけではないとおっしゃいました」
「…まあ、いいでしょう。似たようなことは言いました」
「ということは、ずっと勝ち続けることは可能ですね?」
「?おっしゃっている意味が分かりかねますが…」
「悪いんですが、ボクはむざむざ負ける気はありません。先日は時田さんに不覚をとりましたけど、あれは何も知らなかったからです」
「…勝ち続ける…というのは?」
「そのまんまです。負けないと」
「不可能ですね」
「そんなことは無いでしょ?」
「あなた将棋はご覧になりますか?」
「いえ…」
「一流棋士の多くは育った地域一円の将棋の腕自慢の大人たちをバッタバッタとなぎ倒してきた天才たちの集まりです。しかしプロとなって戦うのもまた同じような天才たちです。一流棋士の多くは勝率は五割と少しです。六割もあれば伝説的な大天才です」
「…」
「あなたが闘技場において無敗というのは、プロ野球の試合で一年間一敗もしないで優勝すると言うのに等しい。いや、バッターとして投げられた投球全てを安打にすると言っている様なものだ」
 時田は軽くため息をついた。
「余りナメた発言はなさらない方がよろしいでしょうな」
「…もしもこちらで行われているのがガチの対戦だったならそうでしょうね」
「…というと?」
「必ずしも強いから人気がある訳じゃないとおっしゃいましたね」
「ふむ…」
 少し考え込む時田。
「要するにプロレスである…筋書きがあるとおっしゃりたいんですね?」
「一応そうです」
「それ以前にプロレスについて軽くレクチャーして差し上げた方がよさそうだ」
「…はい」
「プロレスの試合をご覧になったことは?」
「それほど熱心にはないです」
「プロレスラーについてどの様なイメージをお持ちですか?」
「そりゃ大きくて猛々しくて逞(たくま)しくて筋肉質で強そうな感じですかね」
 我ながらバカみたいな答えだ。
「まあ、言わんとすることは分かります。概(おおむ)ねそんなイメージでよろしいでしょう」
「はい」
「自分がプロレスラーになったイメージをしてみてください。相手に華麗に技を掛け、投げ飛ばしたり殴り倒したり、蹴り飛ばしたりといった」
「…はい」
「恐らく今も小学校…もしかしたら中学校でも…行われている『プロレスごっこ』においてはそういったイメージでしょう」
「そうですね」
「ただ、それは全体の半分しか活写していません」
「…」
「プロレスラーとは、『技を掛けたり、掛けられたり』する職業なんです」
「?それはそうでしょ」
「プロレスは相手の技を受け、最大限にダメージを受けた演出をし、会場を盛り上げなくてはなりません。単純な技…ボディスラム一つとっても「掛けられる側」の協力なくしては成り立たないのです」
「…お互いに演技しているって話は良く聞きますが」
「いや、あなたは何も分かっていらっしゃいません。どれほど常勝無敗のチャンピオンであったとしても…いや、常勝無敗のチャンピオンであればなおさら、相手の技は最大限に「受ける」ものなのです。というより、「受け」の下手な一流レスラーはいません」
「…」
 益々お芝居みたいだな…と思った。
「あなたは相手の技を全く受けずに勝ち進みたいと言っているのも同じです。そんな自分勝手は許されません」
「…なるほど」
「これでよろしいですか?」
「ハッキリ言ってボクの心はもうほとんど決まっています」
「ほう」
「お願いしたいと思っています」
「参戦して頂けると」
「ですが、そこで時田さんにお願いがあります」
「…何でしょう?」
「時田さんってボクの言ってみればマネージャーみたいな存在なんでしょ?」
「…何故そう思われます?」
「あんまりにも特殊ですからね。どうせ引き入れるなら最初のナビゲーターがその後もお世話した方がいい」
「…」
「それにボクシングやプロレスみたいな競技なんでしょ?」
「…はい」
「プロレスはともかくボクシングには必ずセコンド必要だったはずです。そうですよね?」
「よくご存じで」
「何しろボクは全く右も左も分かりません。時田さんにアドバイスを頂きたいんです」
「…そこまで理解しているんなら、マネージャーが世話をするのは当然…という結論になりませんか?」
「なります。だからボクはアングルを持ち込みたい」
「…もしかしてプロレス用語を学習なさったので?」
「付け焼刃ですけどね」
 アングルとはプロレス用語で「仕掛け」「仕込み」みたいな意味だ。「疑惑の判定」などをわざと演出し、「遺恨試合」として盛り上げたりする。「筋書き」みたいなものである。
「ポっと出以下のあなたにどんなアングルが仕掛けられるんですか?」
「先ほど時田さんは一流レスラーほど相手の技を受けるものだとおっしゃいました」
「いかにも」
「しかし、この闘技場における戦いでは相手の技を受けたら即敗北です。ですよね?」
「…続けて」
「ボクの分析するところだと、この闘いで何より重要なのは『関係性の変化』だと思います」
「ほう」
「単に有象無象の男が女になって女装させられてもそれだけじゃパンチが足らない。そこには必然的に「演出」が必要…そうですよね」
「演出」
「『試合』を観戦している方々が、どちらかの勝敗に賭けている訳ではない…と言う話は既に承りました。要するに観客の皆さんは男が女にされ、女装させられ…場合によってはそれ以上のことをさせられるのを見るのが三度のメシより好きな方々ばかりだ…そうでしょ?」
「…まあ、そうした理解でよろしいでしょう」
「だったらボクが参加する試合は『その様な展開』は間違いなく起こります。観客を退屈させることはありません」
「ほほう…必ず勝つと」
「はい」
「大した自信でいらっしゃるが、その根拠は?このロートルの不意打ちもかわせないあなたにそれだけの素養があるとは到底思えませんが」
「…それを時田さんと一緒に考えて欲しいんです」
「私が?」
「まず、試合そのものは決して退屈はさせません。どちらか一方がその…女にされて女装させられる展開は必ず起こる訳で…。そしてその調子で勝ちまくれば観客は必ずこう思います『いつかこいつが被害に遭うところが見てみたい』ってね」
「ふむ…」
 考え込む時田。
「『全勝対決』煽りってわけですか…なるほど」
「ボクなら一度も負けたことが無い奴が何時(いつ)負けるかには注目して目が離せないと思います。そうでしょ?」
「…どなたかから入れ知恵されたりしましたか?」
「まさか!自分で考えましたよ」
 かなり長時間考え込む時田。
「驚きましたね。アイデアとしては抜群に面白い」
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【好評発売中】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第二章1

第二章

 オレは忙しく働いた。
 社長にとりあえず目的地に行ったことくらいは報告しなくちゃと思ったのだが、これだけでかい会社の社長ともなると内部の人間が会うのもアポイントがいる。
 思い切って受付に話しかけてみた。
「樋田社長はいらっしゃいますか?」
「はい?樋田でございますか?」
 型通りの答えだ。メイクが似ているのか先日の社長秘書の美人によく似た受付の美女が答える。
「事務課の遠藤です。先日社長に呼ばれた件で…」
「えっと…事務の遠藤さん…アポイントは…」
「何もないです」
 少し考えた受付美女。
「…どういうこと?」
「…え…何が?」
「社長なら出張で一週間は帰らないわ。週一の朝礼聞いてなかったの?」
 同じ社の人間と分かった瞬間タメ口だ。
「…変なアポ取らせないでくれる?あたしが怒られるんだけど」
「そう言わずに。携帯番号伝えてもらうだけでも」
「あんた正気?社長にあんたに電話しろっての?」
「でも、社長に呼び出された件だから…」
「(ため息)一応訊くけど、仕事の話でしょうね?」
 どう考えても「あれ」は社長の趣味だろう。
「プライベート…かな」
「社長と平社員がプライベートで一緒に釣り仲間だったりするわけ?映画の見すぎよ」
「もういいよ。直接社長室に行くから」
「わーったわーった!…秘書課の…社長秘書のケイコがあたしの友達だから…一応そんな話があったって伝えとくわ」
 あの美女は「ケイコ」さんというらしい。
「助かります!」何故かこっちは敬語でペコペコしてる。
「(小声で怒鳴る)いいからどいて!次のお客さん!」
「あ…」
 直(すぐ)に後ろにならんでいたビジネスマンが前に出て来る。
「いらっしゃいませ」
 あっという間に受付スマイルにも戻って声も一オクターブ高くなってやがる。女は怖い。…もっとも、そのこの世で一番不可解な存在にこの間このオレがなったわけだが…。

 そのまま数日が経過した。
 平社員としては下手に動けない。
 仕方が無くその日の業務を淡々とこなす。
 しかしどうしてもあの夜のことを考えてしまう。
 本当にオレが女になってウェディングドレスなんて着たんだろうか…。こういう風に言葉にして考えれば考えるほど馬鹿馬鹿しくなる。
 仕事は毎日夜八時近くまで続いた。
 ドアトゥドアということでいうなら仕事が終わってから自分の部屋にたどり着くまで長いと二時間は掛かる。途中でコンビニに寄って夕食を準備したりするからだ。
 母が死んでからというもの、学生時代には当たり前だった自炊もキツいものがある。こんな時間に帰宅するともなればなおさらだ。
 四千円という大枚をはたいて買った米一〇キロを少しずつ炊いては適当なおかずと共に食べる日々だ。東京のど真ん中に住んでいて月に手取り一二万円では当然そうなる。家賃が四万円もするのだ。
 社長からも、「ハウス」からも連絡は来なかった。
 名刺にはなけなしの金で契約させられたスマートフォンの電話番号が入っていたはずだが、履歴には何も残っていない。
 …本当にそんなところって存在しているのだろうか?
 あれだけ体験しておきながらまだ信じられない自分がいた。
 だが…手元にある通帳を睨む。
 そこには確かに五〇万円の文字が刻まれている。
 手元に一万円を残し、四九万円を貯金した。直後に諸々(もろもろ)の引き落とし日がやってきたため、結果として五〇万円の額面となったのだ。
 つまり、オレは毎月たった一万円の余剰金でやっと生活していたってことになる。
 スマートフォンを充電器に差し込んだ。
 ウチにはテレビもパソコンもない。このスマートフォンが世界を繋ぐ唯一のデバイスだ。
 玄関と台所、そして自室のたった3部屋しかないこの部屋から脱出できる気配も見えない。
 六畳の部屋にはゴミ捨て場から拾ってきた炬燵(こたつ)台と、質屋(結構今も営業してる)流れの炬燵(こたつ)布団、そして万年床がある。
 そういえば…。
 オレはあの日のみやげをとりあえずぶち込んでおいたコンビニの袋をかき分けた。
 …あった…。
 茶封筒だ。
 確か「思い出したくなったら開けろ」みたいなことを言っていた気がする。
 ハサミを出しているのももどかしく、ノリをべりべりと剥がした。
 …写真?
 逆さに振ってみる。
 そこから先は驚異の洪水だった。
 出てきた写真には純白のウェディングドレスに身を包んだ美しい花嫁が「これでもか」と映っていた。そしてその舞台は…あの部屋だ。大きな鏡もある。鏡の内側にカメラを設置したとしか思えないアングルのものもある。
 そして…時田にヴェールを上げられてキスをする瞬間まで激写されている。
 全部で三〇枚はあっただろうか。
 あっという間にテーブルの上は写真で埋め尽くされた。
 …なんてこった…やっぱりあの話は本当だったんだ…。
 ここに映っている花嫁は自分だ。間違いなく。
 そしてあの顔…時田も映っている。
 ということはあの部屋は隠しカメラだらけだったってことか…。いや、というよりも人が女にされたり女装させられたり…女の女装ではある(?)が…するところを観察して楽しむ連中が、言ってみれば「最初に女にされる」美味しい瞬間を逃す訳が無いのだ。
 とはいえ、自分の元の姿は一枚も映っていない。
 仮にこの写真を他人に観られたところで、少なくとも同一人物認定などされないだろう。されるわけがない。
 …もしかして、オレがそれなりに化粧映えするツラだったから選ばれた?ってことか??
 背筋がブルっとした。
 冗談じゃない。やめてくれ。
 とはいえ、タニマチ…会員と「闘士」は直接顔を合わせることも出来ないというじゃないか。…全くどういう関係なんだよ…。

 オレは休日だった次の日、秋葉原に来ていた。
 五〇万円は確かに大金ではあるが、六〇〇万円の借金を持つ身としては「焼け石に水」だった。
 恐らく必要になるのでパソコンを買いに来たのだ。
 結果的に性能がそれなりにいいらしいノート型を買った。一五万円もした。今後のことも考えてディスプレイはなるべく広めにした。
 いかんな…この調子だとあっという間に無くなってしまう。
 ほぼ入ったことも無いファーストフード店で風景を見ながらぼんやり考えていた。子供の頃は金が掛かるので買い食いも外食も殆(ほとん)どしたことが無かった。なるほどこうして数百円で済ませられるなら便利なものだ。「金で時間を買う」ってなもんだ。
 貧乏ヒマなしとはよく言ったもので、こちとら「時間で金を買う」みたいなことばかりしていた。
 オレって結局どうしたいんだろう…。
 今の会社は毎日日付けが変わるほど働いてる様な部署ではないので、ある意味生活は楽だとも言える。給料は手取りでたったの一二万円だが、特に使い道があるわけでもない。趣味らしい趣味もないし、職場環境的に飲み会も無い。妻子だっていない。酒もたばこもギャンブルもやらない。
 風俗に通う趣味も無ければ「ソーシャルゲーム」の課金をする趣味も無い。
 五〇万貰ってるなんて奴は流石にオレよりはモーレツ社員だろう。でなければ困る。
 オレは「可能な限り贅沢で高い夕飯を一回くらいは食べてみよう!」と勝手に思った。
 「吉田家」の牛丼の大盛りと卵、みそ汁で合計七〇〇円だった。
 七〇〇円だなんて、二日分の食費だ。それをたった一食で使うなんて…。
 だが、確かに美味かった。
 オレはその後特に何をするでもなく、生来の貧乏性もあってかなり重いノートパソコンを箱ごと持って帰った。
 持って帰る間中もずっと考えていた。

 金のため…なのか?

 どういう巡り会わせなのか分からないが、オレはとにかく社長…というかあの「闘技場」に選ばれたらしい。馬鹿馬鹿しい話ではあるが、現実にこうして信じられない様な買い物も出来た。あの金が身の回りに存在することそのものは事実らしい。
 本当に金の為に魂というか男としての尊厳を売り渡すみたいなことをしてもいいんだろうか?
 とはいえ「金の為に働くのが卑しい」訳が無い。金を得なければ干上がってしまう。
 ただ、それでも限度はある。
 表現が難しいがヌードグラビアみたいなものなんだろうか。ポルノ俳優とか。
 もしも時田の能力が「ヴェールアップ」などという馬鹿馬鹿しいものであると本当にするならば、キスをした段階で終わりということになる。…犯される危険性は無い…か。
 男の尊厳以外に危険性はなさそうだ。
 花嫁姿の女装にしても、俳優…役者なんて日常的にやってるといえなくもない。お笑い芸人だってそうだろう。
 そう考えると益々どうと言うことは無いとも思えてくる。

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【DLsitecom版新発売】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第一章2

Kalu3Fe8.jpg

 数分後、オレの目の前で展開した狂気のパノラマによって「リフトアップ」の全容が分かった。
 背が高くがっしりした「新人」は、何故かサラリーマンの様なスーツ姿の哀れな子羊に対して恐らく「能力」を使用した。
 そこから先はさっきの自分に起こったことの再現だった。
 ただ違うのは、被害者が…こうして書くのも馬鹿馬鹿しいが…白銀のチュチュに身を包んだ美しきバレリーナとなってしまったと言う点だ。
 身を捩(よじ)って嫌がる気の毒なバレリーナだったが、徐々に優雅な動きになっていき、いつの間にか股間がもっこりした男性バレエダンサーの格好をしていた「新人」に導かれる様に抱かれ、手の中で回転させられ、そして「持ち上げ」られた。
「リフトアップ…」
 意味が分かった。これは「相手をバレリーナにし、一緒に踊って「持ち上げる」」と言う能力なのだ。だから「リフトアップ」。
 何という馬鹿馬鹿しさだろう。
 オレは頭を抱えた。
「つまむものをお持ちしましょうか?」
「…それはもういいんで、どうか説明して頂けませんか?」
「…結構。本日のイベントはこれにて終了です。お部屋の中央にどうぞ」
 そこにはさっきの全身鏡があったので行きたくなかったが、仕方が無い。
 鏡に差し掛かるとドレスの花嫁が見えそうな気になるが、実際にはしょぼくれたサラリーマンが映っているだけだった。
「…」
「気になるなら目に入らない向きにしましょうか」
「お願いします」
 流石は執事だ。ゲストの気持ちを良く察する。
 時田は部屋の中央付近に向かい合う様に配置され、間に低めのテーブルを挟んだ席に座った。執事がゲストと同じように座っている構図は余り観慣れず、新鮮だった。もっとも、執事そのものも見慣れない物ではあったが。
「なんなりと。知っている範囲でお答えできる質問にはお答えします」
「…これって何なんです?」
「質問が漠然となさっていらっしゃいますね」
 余裕の笑みを浮かべるロマンスグレー。
「まあ、お気持ちは良く分かります」
「はあ…」
「私どもも初めての方に一から説明するのは中々難しいために、様々な説明方法を試してはいます」
 プレゼン資料でも出て来そうだった。手元には「リフトアップ」の文字のあるパンフレットがあることはあるが。
「結論から言えば、プロレスと同じショーです」
「プロレス?」
「ええ。プロレスです。一応「ボクシング」に対する「プロボクシング」があるように、「レスリング」に対する「プロ・レスリング」ということになってはいますが、ご存じの通り独自の進化を遂げた全く別のスポーツ…いや、ショーです」
「…じゃあ今のもショーなんですか?あのバレリーナとかも」
「ある意味に於いてはそうです」
「結末も予(あらかじ)め決まってると」
「そこが問題でしてね」
「…はあ」
「ショーであるということは入場料を支払っていただくことになっております。そして当然『賭ける』ことも可能です」
「…賭博であると」
「はい。ご存じの通り我が国は「競馬・競輪・競艇」の公営ギャンブルと「富くじ」…所謂(いわゆる)「宝くじ」ですな…以外の賭博は法律で禁じられています。つまり、我々のこの集まりはその点において天下に公明正大とは言い難いものであることは否定しません」
 闇カジノみたいなものってことか…。
「ただし、あくまでも勝敗に賭けるのは余興です」
「そう…なんですか?」
「はい。ここのお客様は賭けることで私財をより増やそうといった方はまずいらっしゃいません。ですので天井もありますし、倍率も一定です。個人間の勝負も禁止させていただいております」
「それはどうして…」
「勝敗にばかり気を取られてしまいますと本質を見失います。それこそ身代を失うほど賭けられてしまいますと、対戦相手に直接危害を加えるといった事態に発展しかねません」
「勝敗が問題じゃないってことは何が目的なんですか?」
 確かにそうだ。
 よく映画何かで見る「地下格闘場」みたいなのが本当にあって、そこの戦士の生死に賭けていたとすれば相当血なまぐさい話になるだろう。
 きっとお世辞にもガラがいい客層ではあるまい。それに、現実の「相撲」ですらあんなに怪我人が続出してしょっちゅう横綱が場所を休むのである。
 リアルな殺し合いなんぞやった日には死屍累々であっという間にそんな戦士の人材なんぞ枯渇してしまうだろう。
「あくまでもショーです。見世物」
「…ヴェールアップとか…リフトアップがですか?」
「はい」
「対戦相手の…男を無理やり女にして持ち上げたりキスしたりする戦いを?」
「お察しが速くて助かります」
「…見てどうするんです?」
「楽しむんです」
 そんなの楽しいのか!?と言いかけたが、確かに背徳的な魅力がある。
「お客さんはみんなこういう部屋で観戦するんですか?」
「ははは…残念ながら違います」
 余裕の笑いだった。
「それですとお客様は最低でも十数人程度になってしまいます。こちらのリングはそれほど広くありませんからね」
 確かに。
「身元の確かなお客様が…正確な人数は申し上げられませんが…かなりいらっしゃいます」
「お金持ち…なんでしょうね」
「お金持ちの定義にもよるかとは思いますが…一般的に言えばそうでしょう」
「中継で見ているわけですか」
「録画派の方も多くいらっしゃいます」
 男が女にされ、ウェディングドレス姿にされ、唇を奪われるところとかバレリーナにされて持ち上げられるところを大金払って見物してるってのか。
「皆さんの多くは贔屓の闘士を見つけてお金を支払ったりします」
「それは…お小遣いってことですか」
「そういうことになりますが、直接会うことは禁止されています。また手紙などでレスポンスを得ることも出来ません」
「何にお金を払うんです?賭けは制限されてるんでしょ?」
「少なくとも勝敗ではありません。多少の『お小遣い』を支払ってしまえば、勝ち分などあっという間に吹っ飛ぶでしょう」
「じゃあ何で」
「(苦笑して)先ほども申し上げましたが、こちらにいらっしゃるお客様はもうお金は十分すぎるほどお持ちです。そしてこの世の大半の遊びはし尽くしました。今更数万数十万といったお金を惜しむ方はいらっしゃいません。冷たい言いかたですが庶民とは『金銭感覚』が全く違います」
 益々分からなくなった。
「闘士の皆さんのプライバシーは完全に守られます。もしも会員や闘士から漏れる様なことがあれば…いや、ありえません」
「…多分次のが一番大事な質問なんですが…」
「どうぞ」
「どうしてボクなんですか?」
 時田が立ちあがって歩き始めた。
「…気になりますか?」
「そりゃね」
「立ちいったことをお伺いしますが、遠藤さん、あなたお給料は月に幾ら貰っていますか?」
「え…」
「手取りでいいです。大雑把で結構」
「…それ、何か関係あるんですか?」
「話の流れとしてです。大丈夫、決して笑いません」
「大体一二万とちょっとです」
「その金額が手取りとすれば…総額は恐らく一五万というところでしょうね」
「確かそんな感じです」
 余り賃金明細を凝視はしない。ただ、何とか保険料だの所得税だのと細かい名目で沢山引かれて、額面から一~二万も減るのが驚きだったことは良く覚えている。
「賞与(しょうよ)は?」
「え?」
「所謂(いわゆる)「ボーナス」です」
「夏と冬に一月分くらいですかね」
「ふむ…」
 顎に手を当てて考えている時田。

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【DLsitecom版発売】魅惑の闘技場 作.真城悠 絵.蜂密柑 第一章1 

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第一章

「おい遠藤!」
 いつもの様に自分の仕事部屋に行こうとしたところ呼び止められた。
「社長が呼んでるぜ。社長室だ」
 同期の石川だ。研修の際に席が隣だったので社内では唯一タメ口で話せる間柄だ。
「…社長?」

 会社の中で歩いたことも無い棟の深部にどんどん入って行く。
 いつも見かける灰色の光景とはちがって、誰が来てもいいようにまるでショウルームだ。ホコリひとつ落ちておらず、あちこちの壁に落ち着いた照明と骨董品みたいなものがディスプレイしてある。これが一流企業の社長室への道のりか…。
「事務課の遠藤です」
 社長室手前には「秘書室」があった。
 当たり前だが顔とスタイルと若さ…要は見た目…で選ばれる秘書課は美人揃いだ。正に高嶺の花って奴だ。
 そこを通過し、ノックの後ドアを開け、ハキハキと名乗った。
「おお。まあ掛けたまえ」
「失礼します」
 促していた秘書の美人が笑顔で会釈をする。ドアが閉まった。
 案内された「社長室」は広く、中央に立派なソファがあり、テーブルを囲み、広いデスクがあって、壁には何だか分からないけどどっかの風景画みたいなのが掛かっている。
 妙な表現だが「典型的な社長室」と言う感じだ。
「遠藤くんは…」
 向かいに座った社長が口を開きかけるタイミングで、秘書が緑茶をお盆に二つ乗せて入ってきた。
「どうぞ」
「…どうも」
 少し距離があるのにいい匂いがする。
 ただでさえ美女なのに美女オーラも半端じゃない。社長ともなればこんなのと一日顔を突き合わせられるのか…。
「鈴木くん…内密な話なので呼ぶまで入らない様に」
「はい」にっこり。
 ドアが閉まった。
「ま、遠慮なく。コーヒーが良かったかもしれんが私は緑茶党でね」
「あ、私も緑茶好きです」
 適当なことを言う。
 社長は年齢七〇と聞いている。
 年相応よりも若干若く見えるというくらい。苦労して就職を決めた、知名度はそれほどないが一流企業の社長らしく「財界人」に片足突っ込んでいて、しょっちゅう会費が万単位のパーティに呼ばれて行く。
 実に貫録のある人だった。
「遠藤くんは幾つになったね?」お茶をゾロゾロ飲む。
「…今年の誕生日で二四です」
「若いね」
「…あ、有難うございます」
 この場合は「有難う」でいいのだろうか。良く分からない。
「立ちいったことをお伺いするが、お母様は」
「あ…就職を決めた後亡くなりました」
「それはご愁傷様で」
「有難うございます」
「在籍中なら会社から香典も出したが」
「あ、大丈夫です。もうすべて終わっておりますので」
 この場合は通夜や葬式が終わっていると言う意味だ。
「母子家庭できょうだいもいなかったと聞いているが」
「…はい」
 少ししんみりした。
「あ、でも一流企業に就職が決まって本当に安心してました。有難うございます」
 別におべんちゃら言う訳ではないが素直な気持ちだった。
「そうか…。今の仕事はどうかね?」
「やり甲斐を持って毎日やらせていただいています!」
 これは少しウソだった。
 大きな会社なのだが、ここまで大きくなると事務に掛かる負担もかなり大きくなる。
 こちとら日がな一日朝から晩まで「書類書き」だ。
 それも、言ってみれば「書類のみを書く部署」の総元締めみたいなのから次々に送られてくる書類の転記チェックとか清書とか、要するに社内での「下請け」みたいな部署だ。
 営業みたいに個人成績でのし上がったり、広報宣伝部みたいに華々しくマスコミ応対をしたり、宣伝素材を企画・製作して一流クリエイターやモデルに出会ったりといったクリエイティブな部門ではない。
 今どき大企業が出自の差別をするとは思えなかったが、ごくごく普通の偏差値の大学をごくごく無難に卒業しただけの人間だけに、社内の下請けの下請けみたいな部門に押し込められた形だ。
 それでいてアホみたいに忙しいこともあるかと思いきや、半日は待機になったりする。やっと、決算時期だとか忙しい時期の目星は付く様になって来たが、誰も教えてくれる訳じゃない。全く見通しの付かない窓の無い部屋での生活は、油にまみれたりはしていないが大げさに言えばチャップリンの「モダン・タイムス」ってところだ。
「今日はちょっと君に頼まれてもらいたい」
「はい!どんなことでしょう」
「軽いお使いだ。場所は運転手が知ってる」
「…運転手さん?…ですか」
「ああ」
 送迎付きってこと?たかが平社員のお使いに?
「今日は直帰していい。きみの上司には私から言っておく」
「あ…はい」

 それが来て見ればこのザマだ。
 やっと解放されたオレは気が付くと仰向けに寝転んでいた。
「…あ…」
 見知らぬ天井…ではある。が、気を失っていたらしい。
 …ちくしょう…なんて夢だ…。
 いきなり身体を女にされて…それも目の前でムクムク変形までして…その上ウェディングドレスを着せられてキスされる?…バカバカしい。マンガやアニメじゃあるまいし、男が女になってたまるか。
 …?
 何やら耳の感触がおかしい。
「…!?ッ!」
 オレはまたイヤな予感がして、ガバリ!と一気に上半身を起こした。
「あああああっ!!」
 目の前が真っ白だった。
 白く光沢を放つ生地の洪水だ。これがたった一着の服の分量だというのか!ヤローの適当な服の一〇倍はあるぞ!
 見下ろすと目の前に「胸の谷間」があった。純白のレースに縁(ふち)どられて。
 オレは未だにウェディングドレス姿のままだったのだ。勿論、身体だって女のままだ。
「お気づきになられましたか?」
 聞き覚えのある声だ。
「時田…さん?」
 なんて可愛らしい声なのだろう。この声だけでも理性が吹っ飛んでそのまま押し倒したくなる。自分自身の声なのに。
 妙なもので「自分で自分の姿」を視認することは出来ない。恐らくは今自分の顔はうっとりするほど美しい花嫁メイクがなされているはずだが、それこそゾンビメイクさせられていたとしても鏡を見ないことには分かったもんじゃないということになる。
 …何故か反射的にそんなことを考えていた。
「ははは…大丈夫ですか?本戦を前に『お姫様抱っこ』まで体験して頂くことになってしまって恐縮です」
 …そう言えば何となくその感触に覚えがあるぞ。
 腋の下に突き入れられ、膝の裏あたりを持って運ばれている『身体の感触の記憶』が。
 お、お姫様抱っこだって…!?男のオレが!?
 かあっと顔が赤くなった。
「もっと楽なお姿になって頂くことも考えたのですけどね。残念ながらこの能力はそれほど万能と言う訳ではございませんので」
 「能力」?「能力」といったのかこのジジイは。
 場所はどうやら先ほどの部屋らしかった。
「まあ、とりあえず一通りの説明をいたしましょう。現在ならご理解いただけるでしょう」
「…」
 オレは全身の感触に注意を払った。
 何もかも分かる訳では無かったが、確かに男性器は無い感じがする。そしてクラシックでかつゴージャスなウェディングドレスが目の前に広がっている。
「結論から申し上げますと、私…時田…の持つ能力『ヴェールアップ』は対戦相手のヴェールをめくり上げて唇を奪うと言う能力です」
「…」
「一口に『ヴェールをめくり上げる』といっても、対戦相手にはそれに相応(ふさわ)しい状態になっていて頂かないといけません。何しろ『誓いのキス』ですからね」
「…」
 オレは余りのアホらしさに絶句していた。な、何じゃそりゃ…。
「対戦相手には美しい女性の肉体になって頂き、ウェディングドレスをお召しになってもらいます。というより、それを含めての能力ということになります」
「それが…『ヴェールアップ』」
「その通りです」
 確かにこの話だけ聞いたんじゃ、ヨッパライの妄想以下だろう。
 だが、現実にその「毒牙」に掛かり、慣れぬ胸の谷間を控え目に露出させられ、男の身で嫁ぎ前の生娘みたいな恰好をさせられている。信じないわけにはいかない。
「…それは分かったんですけど…だから何なんです?」
 オレは自分がこのデタラメな状況の真っただ中にいるというのに奇妙に落ち着いていることに気付いた。
「流石ですね。随分落ち着いていらっしゃる」
「…」
 何故かは分からない。ただ、明日をも知れないこの状況では泣いたりわめいたりパニックになったりしそうなものではある。
 昔からオレはこういう時、逆に落ち着いてしまう方ではあった。鳴いてわめいてどうにかなるのなら幾らでもそうするが、恐らく今は何の意味もない。
「安心してください。その状態は一定時間が経過したら元に戻ります」
「!!」
「安心して頂けたようですね」
 この化粧の上からでも分かるほど顔に出ていたらしい。これは仕方が無い。
「じゃあ何故こんな…」
 スカートの分量が物凄くて、ソファからはみ出ている。どうやらスカートを膨らませるための素材が入っているらしく、盛り上がって全く落ち着かない。
「そのままの方がご理解が早いかと思いましてね」
 確かに、元に戻ってしまえば「夢だった」で片づけられそうだが、現にこの有様ではどれほど荒唐無稽な話でも信じざるを得ない。
「…時田さんの技が『ヴェールアップ』なんですよね?」
「いかにも」
「こんなことが出来る人が他にもいるってことですか?」
「その通りです」
「どんな人たちなんです?それは一体何のために!?他の人の能力ってどんなのがあるんですか!?」
 にこりと執事スマイルを崩さない時田。
「一度におっしゃられても一つづつしかお答えできませんよ。そうですね…これまた論より証拠。本日は新人のデビューの日です。というより、そういう日を選んで樋田さんはあなたを派遣なさったのです」
 「樋田(ひだ)」とはウチのあの社長だ。
「え…じゃあ社長も知ってるんですか?」
「勿論です…そろそろ時間ですね」
「時間?…あああああっ!」
 オレの身体にまた違和感がある。馬鹿馬鹿しいが結論を言えば、オレはウェディングドレス姿の女から、ドブネズミ色のスーツにネクタイの男に戻っていた。
「…まるでシンデレラですな。夢の時間はあっという間だ」
 ギシギシと動かしながら見下ろす。間違いなく男に戻っているらしい。
 男に対して「シンデレラ」などと言って侮辱にならないのは一夜にしてスターになる「シンデレラ・ボーイ」くらいだろう。
 だが、事実であったことは間違いない。
「…質問に答えて頂けますか?」
 やはり自分の声は落ち着く。
「確かめなくても大丈夫ですか?」
 自分の身体をと言う意味だろう。
「結構」
「そうですか」
「お願いします」
「質問が多岐に渡りますのでね…」
 時田が円を描く様に歩き出した。オレはソファに座ったままである。
「本日の新人のデビューをご覧になるのがよろしいでしょう」
「新人?」
「ええ。こちらの席は特等席ですよ」
 背後に照明が付いた。
 中央にリングがある。ボードの様な板張りに目の前のガラスが壁となる多角形リングだ。
 オレは思わずソファから立ち上がり、硝子(がらす)の前に設置してあった椅子に移動した。
「…」
「飲み物はいかがです?」
「え?」
「今夜のあなたはVIP待遇です。なんなりと」
「…じゃあ、ホットのウーロン茶で」
「かしこまりました」
 居酒屋でも滅多に見ない変な注文だったのにすんなり通る。
 すると、スポットライトを浴びながら一人の男が入場してきた。周囲にアピールに余念がない。ただ、周囲には人の気配が無い。観客の居ない戦場で戦っていながらどうしてあんなにテンションが高いのだろう。
 そして…驚いた。
 「リング」が異様なほど狭いのだ。
 狭いというか、この「観客席」からの中心までの距離が五メートルも無い。
 この部屋は先端に行くほどすぼまっていて最前部は幅一メートル強というところだ。硝子(がらす)そのものがリングの壁になっており、もしも目の前で寝技の攻防などされたら「密着出来る様な距離」でくんずほぐれずが観られることになる。
「…近い…」
 思わずそうつぶやいていた。それこそ手を伸ばせば掴めそうな距離だ。実際にはガラスに阻まれているのだが。
「お持ちしました。今夜の選手のプロフィールもです」
「…どうも」
 そう言われても何が何だか分からない。対決めいたことをするらしいことだけは分かるが。
 もしかしてあれか?ヤミの闘技場で、人知れず本当に殺し合いが行われていて、その様子をスナッフ・フィルム(本当に人を殺す様子を撮影したフィルム)見るみたいに楽しもうって趣向なのか?
「時田さん、解説お願いしてもいいですか?」
「ええ…ほぅ…」
 パンフレットを一瞥するなり時田が感心したような声を出した。
「何か?」
「パンフレットによると、今夜デビューする新人は『リフトアップ』の使い手だそうです」
「リフトアップ?」
「ええ。リフトアップです」
 『リフトアップ』といえば…確かレスリングの試合で対戦相手を持ち上げるみたいな意味だったはずだ。と言うか確か「リフトアップ」という単語それ自体が「持ち上げる」と言う意味だ。
 これが『ヴェールアップ』だったりしたならば、余りにも異様な造語なので逆に「技」として分かりやすい。だが「リフトアップ」と言われても…。

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【DLsitecom版も発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第四章②

 バイクの爆音が響き渡る。
 平地にあることが災いしてか、大量のバイカーたちが校庭を走り回っている。
「おいオメエらああああ!」
 全身黒づくめの皮ジャンにヘルメット、鋲の付いたチョッキに手袋…と時代遅れの暴走族集団である。
「今日はテメエらを血祭りにあげたんぜぇえええ!」
 他にも色々言っていたんだが、聞き取れたのはこれくらいだった。
「おいお前ら!何をしてる!」
 校庭でドッジボールを指導していた教師がバイク軍団につかつかと歩み寄る。
 同時に強烈なパンチがヒットし、もんどりうって空中を舞った。
 窓から校庭の様子を覗きこんでいたほぼ全校の生徒たち。女子生徒から悲鳴が上がる。
 同時に数人でうずくまる教師を足で蹴りまくるリンチを開始した。
 見た感じ三〇人はいそうなバイカー軍団は一斉に散り散りになって校舎に突撃してきた。
 全ての教室はパニックになった。
 泣き喚(わめ)く女子生徒たちをかき分けて男子生徒たちはクラスの前後の入り口を施錠し、机や椅子を積み上げてバリケードを作ろうとした。
 しかし、廊下側の窓を全て同様に塞ぐことなど出来る訳が無い。
 校庭側の窓も日光を取り入れるため大きく空きっ放しだ。鉄パイプなどで粉砕した場合、あっという間に侵入されるだろう。
 なりふり構っているヒマは無かった。
 オレはこの距離から集団で先制を蹴りまくっているバイカーの一人を狙うと、意識を集中して能力を発動した。
「うっ…」
 そういう声が聞こえた訳ではないのだが、一人が身体に異常を感じて蹲(うずくま)るのが分かる。
 じっくりやっているヒマは無い。
 ウチの生徒と見分けがつかなくなるのはマズい…オレは咄嗟に黒ずくめのセーラー服をイメージした。「違うもの」としてそれしか思い浮かばなかったからだ。
 だがそれは成功した。
 あっという間にバイカーの一人はセーラー服の美少女になってしまった。うろたえているのがここからも分かる。
 あそこには四人いる…もう一人…目立つピンク色のモヒカンにも狙いを定めて撃った。
 面倒なのでピンク色のモヒカンはそのままにしてやった。服だけ女装なんて控え目なことはしない。全身の性転換まで含めた「完全な女子高生化」だ。
 すると、残りの二人のバイカーは突如目の前に出現した女子高生を押し倒し、服を斬り裂いてレイプし始めたのだ。
「…」
 オレは一瞬戸惑った。次の瞬間、ポン!と肩を叩かれた。
「山本…あれ、あんたでしょ」
 一緒の方向を見ている。もう隠せそうになかった。
「だったら?」
「最高に頼もしいわ」
「変態でもか」
「あんた自身は何にもしてないでしょうが。ともかく警察と救急車は呼んだ。もうすぐ来る」
 ひらひらとスマホを翳す麻衣。
「一階の一年の教室がやられてる。すぐに行くよ」
 オレたちも一年だが、校舎の都合で二階を割り当てられていた。
「…仕方がねえな」
「あんたこれで周囲にバレるとでも思ってんの?」
「バレるだろ」
「バレる訳ないでしょうが。誰もそんなアホらしいこと信じないよ。いいから早く来て!」
 有無を言わさず手を引くと、廊下側の窓を開けた。
「危ないよ麻衣!」
 クラスの東野が声を掛けてくる。
「大丈夫。何とかするから」
 オレたちは窓枠を乗り越えて廊下に降り立った。
 どの教室も必死の施錠中だ。廊下の端に黒の皮ジャンがいた。こちらに走ってくる。
「山本!ボンデージ!拘束して!」
「はぁ!?何だって!」
「これよこれ!」
 どうやら少し前から検索して準備していたらしい画面には、全身黒づくめで目隠しをされ、口にはピンポン玉みたいなのをくわえさせられてダラダラとつばを垂れ流し、全身を緊縛というか拘束されて床に転がされているセクシーな女性の露わな姿があった。
 イメージを与えられると分かりやすい。オレは走ってくる奴にそれをかました。
「うわああっ!」
 一瞬で女の身体に性転換した上、全身をSMの衣装に緊縛されて廊下に倒れ込むバイカー。
 駆け寄ってみる。
 我ながらそのディティールの再現度には舌を巻いた。
 完全なセクシーでグラマーな女体となっている哀れなバイカーはお尻の割れ目が見えそうな際どいSMボンデージスーツで転がされている。良く見ると足首から膝のあたりまでの長靴のハイヒールみたいなのも履かされ、ドス黒い口紅に腕全体を覆う手袋。そして拘束。
「…すっごーい…マジだわこれ」
 目隠しをされているSM奴隷の露出させられた乳首をスリッパの足先でつんつんする佐々木。
「あっ…ぁ…っ」
「ちょっと!何やってんだよ!」
「冗談よ冗談」
 何の冗談なんだかさっぱり分からない。
 ともあれ、この格好にしてしまえば戦力として無効化は勿論、一切の動きを封じることが出来そうだ。
「行くよ。多分あと二〇人はいる」
「…分かった」
 その後の活躍は目覚ましかった。
 出会うバイカーどもは全員SM嬢にされ、緊縛されて床に転がされた。一撃で問答無用だった。
 一年生の教室は良く耐え、一番端にあった教室以外の侵入を許していなかった。
 オレと佐々木が到着した時には数人の生徒が角材で殴られて負傷していたが、重傷者は無し。
 事態は深刻さの割には驚くほど少ない被害で決着した。

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【DLsitecom版も発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第四章①

第四章

「山本、ちょっといいかな」
 長い髪にキツい目つきのクラスメート、佐々木麻衣(ささき・まい)が声を掛けてきた。彼女はクラスの男子を必ず苗字で呼び捨てにする。鬼留であってもだ。
「…何」
 面倒なことになった。
 ただでさえ人と話すのは嫌いだ。それも女子相手となると何を言われるか分かった物じゃない。それこそ後でセクハラ冤罪疑惑なんぞ掛けられては適わない。
 物理攻撃で来ない分、ぶっ飛ばす訳にもいかないし、女にしたり女装させても効果は低いだろう。何しろ元から女だからな。かといって「男にする」ことがどの程度効果的なのか全く未知数だ。
「放課後付き合ってほしいんだけど」
「…」
「今日は誰も使ってないから社会科準備室で。来なかったらひどいよ」

 社会科準備室。
 先に来て待っていたオレが上座に座って佐々木を待っていた。
 相手が誰であろうと、背中を見せる姿勢で待つ気は無い。いきなりドアのガラスを割られてスタングレネードでも放り込まれればどうにもならない。入り口が一か所しかなく、校舎の中に埋もれる形のこの部屋なら背後は取られないが。
 そこまで考えて苦笑した。
 厨二病の妄想じゃねえか。
 ごく平凡な公立高校でスタングレネードもないもんだ。
 …まあ、用心に越したことはないってことだ。
 ガラガラと引き戸を開けて佐々木が入ってくると、後ろ手で閉めた。
「ありがとね山本」
 意外なことにそれほど敵対的な口調ではない。
 彼女は目の前に座った。
「…何が?」
「鬼留を退治してくれたでしょ?」
「…」
 何と言っていいか分からない。
「本当に無口だね。大丈夫?あたしの言ってること分かる?」
「別に退治してない」
「いいよ隠さなくて」
「あんたこそ大丈夫か」
「佐々木でいいよ」
「…」
 何だこいつの態度は。
「…気を付けた方がいい」
「何が」
「オレと口きいてもいいことない」
「へーあんたも自分のことは『オレ』なんだ。結構意外だわ」
「…」
「で?何がいいことないって?」
「…別に仲間が欲しい訳じゃない」
「仲間?同じクラスでしょうが」
「…村八分にされるぞ」
「誰が?」
「あんた…佐々木がだ」
「あたし?何で?」
「オレと話してるからだ」
 ぷっと噴き出す佐々木。
「…何がおかしい」
「いやあ、偉い自信だと思ってね」
「人生訓語りたいなら帰るぞ」
 オレは腰を浮かしかけた。
「まーまーそういきり立たないで。きょうびあんたみたいなのと話したからって翌日からいじめられるとかそういうの無いから」
「…知ってたのか」
「まあね」
 それでも助けてくれなかった…とは言わない。一介の女子生徒に鬼留軍団に割って入る役割を期待するほど子供じゃない。第一オレは自衛するだけの能力があり、実際してのけたのだ。
「…単刀直入に言うわね」
「…どうぞ」
 次の瞬間、机の下に構えた拳銃から弾丸が発射されるかもしれない。一応その覚悟はしていた。
「山本…あんた、人を女装させる力があるでしょ」
 長い沈黙だった。
「…は?」
「トボけないでいいよ」
「馬鹿馬鹿しい。何言ってる」
「そう?当たってると思ってたけど」
 オレは席を立った。
「下らん。帰る」

 しかし、鬼留の件はまだ終わっていなかったのだ。

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【DLsitecom版も発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第二章④

 体育の時間が潰れるのみならず、午前中の授業が潰れてしまった。
 一部のお調子者生徒は喜んでいたが。
 鬼留は職員室に呼び出されて行った。一体どんな話をされるのか想像も付かない。
 そして、噂は一瀉千里を走った。

『あの鬼留が男子の制服の下にスクール水着を着こんで学校に投降して来る幼女趣味兼女装趣味の変態の上、別の男子生徒を無理やり女装させようと画策していた』

 こうなると、実はこれまでの二か月間の高校生活においても実は男物の服の下はブラジャーしてたんじゃないかとか、いやブラジャーはバレるからトランクスの下にパンティ履いてたんじゃないかとか勝手な噂が飛び交いまくっていた。
 この日、やはり鬼留は教室に戻ってこなかった。
 取り巻き連中はかわるがわる職員室に呼ばれ、最後にはオレまで呼ばれた。
 取り巻きは「本当に山本を強制的に女装させて恥ずかしい写真を撮る計画」などに同意し、加担しようとしていたのかを厳しく問われたらしい。
 冷たいことに鬼留を裏切って「無理やり強要された」と証言する者もいれば、「知らない」としらばっくれる者も、「確かにそうです」と認める者もいたという。これが決定打となって「鬼留軍団」は事実上崩壊した。
 最後に呼び出されたオレは一方的な被害者の立場…のはずだった。
 だが、まだ鬼留の兇状が信じられない教師どもはオレが何か画策して貶めたのではないかと決めつけて来た。
 こちとら突然着てる服を女子の物にしたり、服の下にスクール水着を仕込んだりはしたが、そんな陰謀で自爆するなんて思ってもいなかった。
 当然「何も知らない」と繰り返した。
 いじめの事実を知っていた担任…だったら何とかしてくれよと思うが…は「報復ではないのか?」と決めつけてくる。
 だが、一体どうすれば「そういう陰謀を巡らせる様に誘導する」ことが出来るというのか。論理がムチャクチャだ。
 結局、何の手がかりも得られないまま聞き取り調査は終了した。


第三章

 今度の鬼留の不登校は三日に及んだ。
 正確には週を跨(また)ぐが、ともあれ登校すべき日にしていない日が三日続いたのだ。
 それにしても人間社会というのも妙なものだ。たった身に付ける布きれ一枚を巡ってこの騒動なんだから。
 取り巻き連中が襲ってくるかと思ったが音沙汰は無かった。
 こちらも多少は警戒レベルを下げられるというものだ。
 その間も取り巻き連中は集団でこちらを見てはヒソヒソやっていたが、それまでとは一味違っていた。
 これまでは嘲(あざけ)る雰囲気だったが、今は明らかに「畏(おそ)れ」ている。
 あの二件で「女装」がらみで鬼留が見舞われた災難にオレを因果で結ぶことが出来るとは思えないが、そこは「野生のカン」と言う奴だ。
 クラスでも鬼留の話題が出ることは無くなった。「触れてはいけない」雰囲気だった。
 だが、その均衡が再び破られる。
 四日目に至ってまた鬼留が登校したのである。
 だが、明らかに雰囲気が変わっていた。
 胸を張って堂々と歩いていたものだが、猫背でオドオドと自信なさげ…と言っては言い過ぎだが、少なくとも今までの様な溌剌としたオーラは無かった。
 それまでは「幾らなんでも間違いでしょ」と思われていた「噂」も二度も決定的証拠が目撃されたとなると修復不可能だった。
 通学路、最寄駅から学校への道すがらだった。
「おはよー鬼留くん」
 クラスの女子の一人が声を掛ける。
「あ…ああ」
 まるで上の空だった。
「鬼留くん…いいかな?」
「…?」
「今も…スクール水着とか来てるの?」
「ッ!!!!」
 くわっと目を見開く鬼留。
 その表情は怒りとかではなく、驚愕とか恐怖といったものだった。
 質問をした女子は「きゃー!」などと言って笑いながらその場を離れ、お友達の女子たちに混ざって姦(かしま)しい声を上げながら学校方向に向かって走り去った。
 その場に呆然と立ち尽くす鬼留。
 …からかわれた…のか?…そう思った。そう、確かにからかわれたのだ。
 もう彼の立場は落ちようがないところまで叩き落とされていた。
 それこそこれまでバカにしていた山本を始めとしたクラスの陰気なオタク野郎どもと全く変わらないじゃないか!
 すると、何かおかしなことに気が付いた。
 周囲の風景が動いていない。制止している。
「…だから言っただろうに」
 山本が近づいてきた。
「お、お前…」
「オレに構うなと言ったろ?言いつけを守らないからこうなる」
「…だ、だってお前…」
 もう何が何だか分からない…という困惑で泣きそうな表情だ。
「オレだってこうやって誰にも気付かれない様にあんたに警告するくらいの大人の配慮してたんだよ?なのに通学中に殴り掛かって来るわ…無理やり女装させるだぁ?よくまあそんなこと考えたもんだ」
「…」
 強気で怒鳴り返そうにも思考が追いつかないらしい。
「もう一度警告する。オレへの危害を今後一切加えないと約束してくれ」
「…」
「勿論、取り巻き連中にやらせるのも駄目だ。また、危機を看過することによって間接的に危害を加えるのも駄目」
「…何だって?」
「あんたの目の前でオレがダンプカーに轢かれそうになったら…別に抱き上げたり突き飛ばしたりしなくてもいいけど『危ない!』くらいは言ってくれ。それでいい」
「…それで?」
「それでとは?」
「それで今後一切関わりを持たないってのか」
「そのつもりだ。大体争い事は嫌いなんだよ。好きそうに見えるか?」
「…いや」
「じゃあ、時間戻すから」
 オレはそういって時間を解除するとやはり呆然と立ち尽くす鬼留を尻目に学校に向かった。

 その日以来、鬼留に組織されたいじめはなくなった。
 サル山のボスの座から実質的に降りた鬼留は何事にも覇気を無くしたのか、サッカー部まで休学してしまった。
 ともあれ、鬼留が大人しくなってくれたのは助かる。こちらも何度も何度も能力なんぞ使いたくないのだ。目立つからな。
 この時はこれで済むと思っていた。
 だが、この後思わぬ展開に巻き込まれて行くことになるのである。

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【DLsitecom版も発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第二章③

不幸なことに教室のほぼ中央に位置するオレの机には異常は見られなかった。
 いじめの一〇選手をナメてはいけない。
 椅子にこっそり画びょうが張り付けられていたり、椅子のネジが緩めてあって座った途端に崩れ落ちたり、座ろうとした瞬間に椅子を引かれたりする可能性がある。
 特に椅子引きは油断ならない。
 将来を嘱望されたスポーツエリートがこれで車椅子生活になってしまった例もあるのだ。
 …どうやら今日は異常はない様だ。
 教科書類は全て持ち帰る様にしてある。置いて帰ったりすれば大変なことになるからだ。
 机の中に牛乳を拭いた雑巾が突っ込まれていたりもしない。まあ、高校生活は始まったばかりなのでその段階までレベルアップするまでもう少し期間があるみたいだ。
 その手の心配は杞憂に終わった。
 学校中が鬼留の女装の話題で持ちきりだったからだ。
 これが仮にオレみたいな陰気なキャラだったならば一も二も無く変態認定の上、排除扱いだろう。教師たちも退学を申し渡すかも知れない。
 それが学年一の人気者の身に降りかかったのだ。
 直接見ていた生徒たちがめいめい勝手に伝言ゲームの元締めとなり、混乱に拍車をかけていた。
 ファンの女の子は、変態認定によってアンチに変わる者、冷めてどうでもよくなる者、判断を保留する者、そんな噂は信じずに一途にファンを続ける決意をする者とに分裂した。
 一つだけ言えたのは、八~九割の女子生徒が鬼留に好意的な視線を送っていたものが大きく分断され、半分以上が「無条件絶対支持」ではなくなったことだ。

 翌日、何事も無かったように鬼留は登校してきた。
 いったいどこから調達したのか、きちんと一八〇センチの体格に合う新品の制服まで着こなしていた。
 恐らく登校するだろうと読んでいたオレは三〇分は早い電車を選んで教室で待機した。早めに到着することは机や椅子へのイタズラ防止の意味もある。一石二鳥と言う訳だ。
 制服というのは、何年も同じ服を毎日着続ける関係上とても頑丈に作られている。要はとても高い。数万円はする。
 ちょっと無くしたからといっておいそれとホイホイ買ってもらえる類のものではないはずだ。
 一応実験によると、オレが「戻す」操作をしない限りは変化した服の効果は永続する。
 つまり、奴が昨日着ていた「男子高校生の制服」は永遠に失われ、「女子高生の制服」に成り果てたはずだ。
 別の生徒から強奪したらしいジャージに着替えて帰ったということだが、脱いだ制服は消滅せずに残っている。どこに持って帰ったんだ?自宅か?エロ本と一緒に畳んでしまってあるのか?
 まあ、こいつの家は裕福だと聞いたことがある。中途半端な不良を気取っているこいつが上級生に目を付けられないのは半ば「買収」しているからだというのがもっぱらの評判だった。
 その立場にとってみれば制服の一着や二着を新調する料金なんぞは端金(はしたがね)って訳か。そもそも最初から替えを持っていた可能性すらある。恐らくそうだろう。
 ホームルームが始まるまでの十数分は気が休まるタイミングも無かった。。
 言ってみればオレの鬼留に対する「攻撃」は一線を越えているのだ。
 全力で排除しに来ても不可解(おか)しくない。
 昨日の今日なので、まだ唐突な鬼留の女装騒動の噂は尾を引いていた。
 だが、目の前でいつものように楽しく談笑しているイケメンを見ると、そんな闇を感じさせる噂など全てウソではないかと感じる者が多かったのも事実だ。
 クラスの外の廊下に明らかにいつもより「見物人」が多い。
 噂がどう広まったのか、「女装して登校することを許された男子生徒を見学に」来たなんて話も聞いた。
 だが、そこにいたのは非常に身長が高い以外は色んな意味で普通の健全で活発な男子高校生に過ぎなかった。
 鬼留は敢えてなのかこちらを無視していた。
 …はてどうしたものか…。
 構わないでいてくれるならこちらはそれでいいのだが…このままで済むとは思えなかった。

 ホームルームが終わった。
 担任の教師は敢えて噂には触れなかった。職員室に伝わっていないはずはないのだが。
 一時間目は体育だった。
 体育は高校生ともなると男子と女子で別々に行われる。
 更衣室として女子には教室が与えられ、男子は扱いが粗雑で廊下の隅だので着替えさせられるものだった。この時は男子が一~二分で教室で体操服への着替えを終わらせて女子に明け渡す形だった。
 鬼留がこちらに近づいてくる。
 椅子に座った状態で背後も囲まれているのに気が付いた。
 オレのPKは一度に大量のターゲットを処理するのは難しい。ましてや死角からこられてはどうにもならない。
「おい…逃げるんじゃねえぞ」
 二メートルほど離れた距離で鬼留がドスの効いた声を出す。
 周囲を囲む取り巻きどものニヤついた声が耳障りだ。
「…」
 へっ!とニヤつきながら踵(きびす)を返し後方の自分の席に戻る。
 多少の抑止力となっていた女子の目が無い男のみの体育の時間。しかも体育教師の都合で最初の一〇分は準備体操をしていろという伝達があったばかりだ。
 ここぞとばかりに集団リンチでもする気なのだろう。
 たった一日で取り巻きどもの信頼を回復するとは大した奴だ。一旦築き上げた信頼関係は容易なことでは崩れないらしい。
 だが…相手が悪かった。
 オレがごく普通の平凡ないじめられっこならばなすすべもなかっただろう。
 しかし、こちとら羊でも狐でもない。そういうことなら徹底的に抵抗させてもらう。
「ッ!!!」
 鬼留を中心とした一群が着替えていた辺りからあ悲鳴があがった。
「な!何だこりゃあああ!!」
 オレはにやりとした。
「ち、ちがう!違うんだ!俺はこんなもの!」
 ワイシャツをはだけてみると、そこから「おにどめようさく」と何故か可愛い平仮名のマジック書きの文字が飛び込んで来た。
 鬼留の上半身のボディは紺色で染め上げられていた。
 また教室中がパニックになった。
 すると、昨日スカートをめくり上げた側近の一人がズボンに取りつくと、一斉に引き下げた!
「ああああああああっ!!」
 またパンツの形状だった。
 「救い」があったとするならば、前回は「はみ出して」いた股間のモノが一応は綺麗に見えない様に収まっていたことだ。
 実は強引に押し込んでいるためごくわずかな時間であれ、あっという間に猛烈に痛くなってくるものであるらしいが。
 ともあれ、事態は明白だった。
 鬼留は、シャツの下に着こむTシャツやトランクス…要はパンツだな…の代わりに、なんと「スクール水着」を着こんでいたのである!
 ただならぬ騒ぎを聞きつけて外に待機していた女子たちがなだれ込んできた。
「きゃーーーーーーー!!」
 両目をスダレ状に覆って…つまり全く覆っていない…その狂態を眺めている女子たち。
「ち、ちがう!違うんだ!」
 といってもそこにいたのは何故かズボンまで引き下ろして「スクール水着」姿を見せつけている男子生徒の姿だった。
 鬼留はズボンを引き下ろした生徒に目一杯パンチを入れ、再びズボンを上げる。
 そして目にもとまらぬ早業でシャツのボタンを留めた。
 だが、白いシャツに紺色の水着は目立ち過ぎた。
 紺色がくっきり透けてしまっており、「おにどめようさく」の文字までくっきり浮かんでいる。
 既に教室の女子全員が知るところとなっていた。
 しかも…妙な話だが、「女子高生の制服」ならばまだ年頃の男の子として理解出来なくもなかったが、「スクール水着」となるとハッキリ言って「ディープな変態」「幼女趣味」みたいな雰囲気すらかもし出してしまう。
 それも、自分の名前までひらがなで書いて、しかも制服の下にこっそり着こんでたとなるともう何重にもアウトだった。
 この日は男女とも体育の時間どころではなかった。
 悪いことは重なるもので、抜き打ちで行われた所持品検査によって、鬼留が持参した荷物の中に先日の騒動で着用していた女子の制服一式が入っていた。ブラウス・リボン・スカートはもちろん、パンティ・ブラジャー・スリップ・靴下・靴までもだ。
 どうやら、オレ…山本一夫…に無理やり着せて「恥ずかしい写真」を撮ってSNSに掲載する積りだったらしい。先ほど「逃げるな」と言っていたのはこの事だったのだ。
 昨日の騒動で「女装趣味者」みたいな汚名がついてしまった。
 本来ならそういうみじめな役回りは、陰気でいかにも変態そうな山本あたりが相応(ふさわ)しい!だからそういう役回りを押し付けてやる!…ということだったらしい。
 これが更なる決定打となった。
 男子の制服の下にスクール水着を着こんで来る幼女趣味兼女装趣味の変態の上、別の男子生徒を無理やり女装させようと画策していた…と。
 恐ろしいことに前半はオレの仕込みだが、後半はこいつらの自爆なのである。
 それにしてもアホかと思う。
 身長一六四センチのオレに一八〇センチの鬼留にフィットしていった制服が合う訳が無いだろう。「大は小を兼ねる」から着ることそのものは出来てもブカブカになる。下着だって同様だ。こいつらの浅はかさは度を越えている。

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【DLsitecom版も発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第二章②

『あの人格者(失笑)の鬼留がこれほど怒るとは、一方的に山本とか抜かすどこの馬の骨とも分からないクソ野郎がよっぽど許されないことをしたに違いない。暴力は確かによくないが、それ以上に山本が悪いのだから仕方がない』

 …とこういうコンセンサスが形成されかねないのだ。
 とはいえ、多少の距離があるのが幸いした。
 少なくともオレは鬼留に対して直接的に手を触れて何もしていないのは誰が見ても明らかだ。
 …仕方がない。これまでは「武士の情け」で勘弁してやっていたが、もう遠慮することは無い。存分に「能力」を使わせてもらう。
 周囲のギャラリーが密度を増し、先ほど打撃を当てて一時的に危機を回避した連中もおいついてきていた。
 ざっと見て男女合計してギャラリーは三〇人から四〇人ってところか。
 追いついた取り巻きも、事態を察したのか石を拾おうとしていた。
 最悪の展開だ。この状態で一斉に投げられたら流石にどうにもならない。
 だが、文明の発達に助けられた。
 昭和の砂利道ならともかく、都会の真ん中のアスファルトで都合よく石なんかゴロゴロ落ちているわけもないのだ。
 そして…オレの能力が発動した。目一杯意地悪な形で。
「きゃああああーっ!!」
 ギャラリーの女子の一人から悲鳴が上がった。
 一瞬周囲がざわつくと、あちこちに悲鳴が伝播する。
「…!?」
 何事だ!?と周囲を見渡す鬼留。そして周囲の一行。
 一瞬空気が固まると、小さな失笑が漏れ始めた。
「お、鬼留さん…それ…」
 取り巻きの一人の男が固まっている。
「あぁ!?…っ…はああああああぁぁあああぁぁあああ!?!?!」
 周囲の人間信じられなかったことだろう。
 鬼留のネクタイは紅いリボンとなり、シャツはブラウスになっていた。
 そして…オシャレなチェック柄の長ズボンは、ふとももの真ん中くらいまでの丈しかないプリーツミニスカートになっていたのだ!
 そう、一瞬にして鬼留が着ていた男子の制服は「女子の制服」へと変貌していたのである。
 ご丁寧なことに靴まで女子仕様の革靴となり、足首丈の靴下だった。多くのギャラリーはこんもりと盛り上がった胸部のフォルムを目撃していた。
 それは内側のブラジャーの存在をいやがおうにも感じさせる。
「あ…あ…あああああっ!?」
 当然ながら当の鬼留の動揺は凄まじかった。
 くるくると回転するかの様に自らの身体を見下ろす。
 長い筋肉質の脚が露出している。
 決して毛むくじゃらと言うほどではないが、人並みに毛が生えている。回転したことでミニスカートが軽くふわりと広がり、可愛らしい制服全体のデザインとも調和してキュートな挙動になっていた。
 それでいて髪型などを始めとした肉体は男のままだ。
 多少造形は整ってはいるものの、一八〇センチの女子校生など滅多にお目に掛かれない。
 そこにいたのは間違いなく「女子高生の制服に女装した男子高校生」そのものだった。
 ゆっくり広がっていた苦笑・失笑がやがて爆笑に変わっていた。
 女子たちは「いや~ん」という表情でヒソヒソしているし、取り巻きもニヤニヤしている。特に取り巻きというわけではない男子生徒はやんやの大喝采で腹を抱えて爆笑していた。
「て、てめえええっ!」
 こちらに恨みを向けようとする鬼留だったが、流石にそれは論理的に無理がある。
 一介の男子学生が一瞬にして相手の着ている男子の制服を女子の制服に変形させたとでも言うのか。
 …まあ、実はその通りなんだが。
 当然、多くの聴衆はそんな突飛で論理の飛躍のある結論になど至るわけもない。
 最も考えられるのは…鬼留が女子の制服に女装して登校したという事実のみだ。
 駅からここまではもとより、自宅を出てからここまで女装して歩いてきた事実は無い上、女きょうだいのいない鬼留に女子の制服など調達することは事実上不可能であることなどお構いなしだった。
 一八〇センチの男にフィットする女子高生の制服など特注しなければまず存在しない。あっても在庫極小だ。
 そんな前提条件を全部無視して人々が信じた「ストーリー」は、「鬼留要作は女装趣味の変態で、この日は特注の女子校生の制服で登校してきた」というものだった。
 途中で山本一夫…オレだな…を集団で暴行しようとしていたなどという些末なディティールは抜け落ちていた。
 そして、その風説を決定づける出来事が起こった…まあ、オレが起こしたんだが。
 手を触れずに物を動かすPK(サイコ・キネシス)能力のある意味最悪な使い方がそれだった。
「きゃああああああーーーーっ!」
 また別の種類の悲鳴が上がった。
「う、うわああああああっ!!!」
 太ももまでしかカバーしていなかったプリーツスカートの前方がめくれあがり、「スカートの中身」を聴衆に見せつけてしまったのだ!
 下腹部は「パンティ」としか形容しようのない女性物の下着に覆われていた。
 伸縮性のある光沢のある素材に、謎の小さなリボンと無数の皺(しわ)が刻まれている。
 形状は浅いハイレグ程度まで切れ上がったデザインだった。トランクスやボクサーパンツの様に下腹部全体を覆い隠し、小学生の短パンくらいまである「下着」ではない。
 めくれあがったことで内側に仕込まれていた「純白のスリップ」の縁(ふち)の刺繍と白さが目に突き刺さる。
 「女子の制服」という記号も強烈過ぎるほど強烈ではあった。
 だが、学園祭などでその程度の女装は目にする。
 新入生である鬼留たちの学年はまだ秋の学園祭・文化祭・体育大会などによる「仮装」は未体験だったが…スカートの一枚くらいならまだ抵抗は無かったかもしれない。
 だが、「女物の下着」はまずかった。
 外から全く見えないそれを完璧にしつらえており、しかも「自らめくり上げて見せつけた」という「ストーリー」が形成されてしまったのだ。
 仮に「女子高生の制服」姿に女装した男子生徒が学園祭などでいたとしても、スカートの下はハーフパンツやトランクスであろう。
 伸縮性のあるパンティなどと言うことがあり得る訳が無い。
 しかも…このパンティは完全に女性物のデザイン…形状であったため、哀れ鬼留の男性器を受け止めることは出来ていなかった。
 細い三角形状の両側に「ふぐり」…要は「金玉」…がはみ出ており、しわくちゃにして毛むくじゃらな形状が爽やかな女性下着とのコントラストを見せつける。
 悪いことにサオ…陰茎…は充血してそそり立っており、逞しくパンティの上辺から先端を覗かせていた。
 一人の女子生徒が余りのショックに意識を失って倒れ込み、数人が気分が悪くなって蹲(うずくま)った。
「よせ!やめろ!やめろおおお!!」
 何者かの「力」によってスカートがめくり上げられていることを自覚している鬼留はそういって叫ぶが、ギャラリーに理解される訳もない。
 両手で前方を押さえ、内股になって密着している素脚の挙動が、本来ならスカート内部で行われているものがまる見えになってしまっているため、「男なのに女みたいな態度」が余計に強調されている。
 前方をどうにか押さえつけることに成功はしたが、今度は背中側…お尻側をめくり上げてやった。
「うわああああっ!」
 この点、スカートというのは理不尽な衣装だ。
 これほどデリケートに「対外的に見せてはいけない」ものをたったこの程度の装飾で覆っているのである。
 前方をカバーしきれなくなった両手ともお尻側に回したところで両手を掴んでそこに固定するイメージをしてみた。そして無防備な前方をめくり上げてこちらも固定する。
 その昔、女子生徒が膝下二〇センチはあろうかという長いスカートが制服だった頃、めくり上げたスカートを頭の上で結んでしまい、下半身を下着姿のままさらし者にする「巾着(きんちゃく)」という女子同士のいじめがあったという。
 ふとももまでしかない短いスカートでは到底不可能ではあるが、「巾着」の現代版というところだ。
 鬼留は必死に後方に固定された手の拘束を解こうとくるくる回りながら暴れ回った。
 そのため、いきり立ったイチモツがパンティからはみ出ているという悪夢みたいな「スカートの中身」を周囲のギャラリーに「これでもか」と見せつけまくるという惨状になってしまった。
 気が済んだオレは拘束を解いてやった。
 周囲のギャラリーはもう二重三重に取り巻いており、最大外円部では背伸びをしても中央で何が行われているか分からない有様だった。
 やっとこさ「ふぁさり…」とミニスカートが落下した。
 妙なもんで、紛れもない男であるのに「女子高生の制服」「ミニスカート」「女物の下着」と記号的なエロを見せつけられた男どもの中には興奮している者もいた。
 なんと、取り巻きの一人が思いっきりスカートをめくり上げた!
「うおおおおああああああっ!」
 野獣みたいな声を上げつつ、めくれ上がるスカートを押さえるという「女の子みたいな挙動」のギャップに周囲は大爆笑だった。
 見る見るうちに鬼留の顔が真っ赤になっていく。
 公衆の面前で女装させられていることの恥ずかしさが遂に自覚され始めたのだろう。
「どけ!どけ!どけえええええーーーっ!!」
 ミニスカートを翻しつつ、ギャラリーの一部に向かって突進する鬼留。
 どうにかそれをかき分けた。
 ここから先は伝聞込みである。
 ギャラリーの一部は駅方向に向かって走る鬼留を追いかけた。
 駅から学校に向かってくる生徒たちはみな、一八〇センチの巨体をキュートな女子高生の制服に押し込み、般若の様な形相で走ってくる男子生徒に呆然としていたという。
 残念ながらこの狂騒は長くは続かなかった。
 不幸な男子生徒の一人が、この日の体育で使うジャージを肩から下げているのを発見した「女子高生」鬼留はひったくるようにそれを奪い取ると駅の男子トイレに駆け込み、着替えたのだと言う。
 この日、鬼留はそのまま学校を休んだ。
 だが、伝説は語り伝えられる。
 あっという間に噂には尾ひれがついた。
 曰く、実は女装趣味の変態だった。なんてのはまだいい方で、コンプライアンス的に、ポリティカリー・コレクトネス的に問題のある表現がこれでもかと飛び交っていた。
 今時女装の一回や二回では変態認定などはされまい。
 ましてや全校あげての人気者の鬼留である。
 実際、これが学園祭だったりしたならば逆に「可愛い!」などと評判になったかもしれない。
 きっと本人だってノリノリで科(しな)を作ったりしていたことだろう。
 だが、そうしたイベントとはまるで縁の無い時期である。
 何と言っても「下着」が強烈過ぎた。
 女子生徒の一部、直(じか)にパンティからはみ出した「お稲荷さん」のしわくちゃで毛むくじゃらのそれを見せつけられた生徒の中にはPTSDを発症しただのトラウマになっただのと訴えている図々しいのもいるとかいないとか。
 そんなもん、下手すりゃしょっちゅう見てるだろうに。…ま、それは流石に無いか。
 いつの間にかパンティも履いてないことになって、「女装してスカートをめくり上げて下半身を露出した」ことになってたりどんどん噂が捻じ曲がっていた。
 オレは建物を背にした状態のまま、可愛らしい服装で怒声を上げながら人ごみをかき分ける鬼留の背中を見送った。
 周囲への警戒は怠らなかった。
 だが、リーダーを失ったいじめにはもう求心力は無かった。
 生徒たちはめいめい勝手に話に華を咲かせはじめた。目立たない生徒であるオレ…山本…のことなど眼中にないという風情だ。だがまあ、それでいい。
 逃がすまいと襲撃してきた連中も興奮気味に話している。
 オレは目立たぬよう人ごみをかき分け、学校に向かった。

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第二章

 人はスーパー・パワーを得た時にどう振る舞うか。
 それをテーマにした物語は古今東西溢れかえっている。
 多くの場合、その力を持て余し、身を持ち崩して行く。
 その方がテーマを訴えやすいからだろう。人間の愚かさとかね。
 とりあえずオレはとにかく只管(ひたすら)「調査・研究」をした。
 具体的にどのようなことが出来るのか、制限はあるのか、有効相対距離は?威力は?そもそも具体的に何が出来るのか。
 結論として、PK、時間停止、性転換、服装変化の四種類までは確定した。
 オレが日々いじめられるタイプの人間であり、平和な国に住んでいながら相対的に自衛手段を講じる必要性が高い立場にいたことも能力を研ぎ澄ます契機だったと言っていいだろう。
 「PK、時間停止、性転換、服装変化」などが可能なのであればもう神にも等しい…と考えてしまいがちだ。
 その昔、「衆議院に出来ないことは男を女に、女を男にすることだ」という格言(?)があったらしい。
 それほど性の境を行き来することは絶対に不可能だとされてきたと言える。
 しかし、オレは油断しなかった。全く。
 それほど用心深かったのだ。
 まず、肉体的頑強さは全く無い。
 不意を突かれて加撃されればひとたまりもない。狙撃の様に意識の外から攻撃されればどうにもならないだろう。
 また、一度に複数を対象に能力を発動できるかどうかについては調査が足りていない。
 それに、無闇に発動すれば好奇の視線を集めることになる。
 人間は社会性の動物だ。杓子定規の無能政府が、マンガやアニメみたいに在野の超能力者を狩り集めているなんて到底思えない。そんなことが出来るならまずは脱税をゼロにしてもらいたいもんだ。
 そこいらのとおちゃんかあちゃん商売でも脱税が横行してる。その程度も防げていない「政府」が超能力者相手に飛んでくるだろうか。
 だが、目立つのは良くない。
 そもそも溢れかえるスーパー・パワーを面白半分に発散し続けるなどガキだ。
 世の中にはそれを更に上回るスーパー・パワーが存在する。
 先ほどの記述と矛盾するようだが、それは政治権力だ。
 例えばボクサーやプロレスラーを始めとする「格闘家」は非常に強い。
 その気になれば周囲の人間全てを殺し尽くすことは可能だろう。絶命までさせなくても大怪我をさせたりすることは簡単だ。
 かなり昔の話だが、隣の家の娘に横恋慕した男子中学生が夜中に家に忍び込み、結果として寝こみを襲って家族六人を殺害する凄惨な事件があった。
 痛ましいとも思ったが、オレが一番意外だったのは、たかが男子中学生の意外な「戦闘力」だった。「殺傷力」と言ってもいい。
 寝こみを襲ったとはいえ、三人の大人を含む六人を殺してのけたのだ。
 人間がどうしてその様な行動に普通は及ばないかといえば、法律で禁止されているからであり、社会道徳・倫理として許されないと教育されているからだ。
 なにより、個人では到底及ばない組織的腕力期間である政府による警察・軍隊がある。
 今オレが持っている能力程度では「何も出来ない」のとそれほど変わらないというのが一六歳のマセガキの結論だ。
 だが、そうであるなら尚更「身を守る」ことには使うべきだ。
 確信が持てた訳では無かったが、「超感覚」に近いものも使えたのではないかと思う。
 そもそも「超能力」を示す「ESP」は「エクストラ・センソリー・パーセプション」の頭文字で要は「超感覚」だ。これに「使える人」を示す「ER」を付けると「エスパー(超能力者)」となる。
 昨日の今日だ。
 「お礼参り」が無いとも限らない。
 一対一では負ける気がしないが、少なくとも大勢で取り囲んで一斉に石を投げられたりしたらかなり危機的な状況となる。
 一発でも頭部にでも致命的な打撃を食らえばアウトだ。
 なのでオレは周囲に目一杯警戒網を広げる感覚を研ぎ澄ましながら登校した。
 突然の襲撃に備えるためだ。
 どうしてたかが学校に通うだけの為にこんなに苦労しなくてはならんのか。全くいじめられっこと言うのは理不尽だ。
「やまもとおおおおーーーーっ!」
 背後から大きな声がした。
 間違いない。鬼留だ。
 一夜明けて精神的に回復したらしい。
 おおかた「何が起こったのかはよく分からないが、恥をかかせやがった」相手たるオレへの復讐ってところだろう。
 単体で戦っても強いこいつの強みは組織化されていることだ。
 オレは咄嗟に振り返って遠くで鬼の形相をしている鬼留を確認すると、すぐに振り返った。
 果たしてそこには、オレを羽交い絞めにしようと襲いかかってきた男子生徒の姿があった。
 いきなり振り返ったので相当面食らったらしい。が、構わず覆いかぶさろうとする。
 オレは反射的にそいつの腹に目一杯打撃をブチ込んだ。
 こぶし大の大きさの空気砲がみぞおちに炸裂した感じのはずだ。
「ぼへぇっ!」
 一瞬身体が浮き上がる。
 オレはそいつの脇をすり抜ける様に前方に駆けだした。
 顔面を始めとする頭部を狙わなかったのは、加減が難しいので致命傷にならないよう考慮したためだ…が、その手の配慮がいつまで出来るかは分からない。
 呆れたことに更に数人が襲いかかってきた。
 もう手加減しているヒマは無かった。
 とりあえず一瞬動きを止めようと派手に加撃しながらひたすら走った。
 通学路みたいに大勢の人間が周囲にいる状態で戦うのは得策じゃない。
「やまもとおおおおおおおおーっ!!」
 呪いの咆哮が背中に叩きつけられる。
 一体どうすりゃそれほど関わりの無い人間をここまで怨めるのだろうか。
 遂に人ごみが途切れた。
 駅から学校までの間に点在する大きな建物のそばだ。
 民家を背中に背負って対峙すれば一応背後からの攻撃は防げそうだが、民家の塀を乗り越えて協力者が襲ってきた場合に対処できない。
 このビルなら大丈夫。
 ひさしに当たるものが大きく張り出しているので、仮に協力者が上の階の窓から鉢植えを落として来たとしても直撃されないシチュエーションだ。
 …我ながら苦笑が漏れるほどの用心深さだ。
「…ふう」
 背中をビルの壁に預け、敵を正面のみに限定した。
 普通なら「追いつめられる」状況なのだが、能力者たるオレならばとりあえず正面に集中すればいい。
「どぅうううらああああ!!!」
 走って追い付いてきた鬼留がジャンプしてパンチを放ってきた。
 流石はサッカー部レギュラーだけのことはある。
 周囲に協力者はいない。
 おれはぜえはあと肩で息をしながら落ち着いて空中の鬼留に一撃食らわせた。
「ぐはあっ!」
 カウンター気味に食らった鬼留は空中でバランスを崩して地面に落ちた。
 鬼留はオレから見て右斜め前方にいる。
 背後は心配ないことにして、オレは左方向にも注意を怠らなかった。
 流石に大勢の取り巻きを従えているとはいえ、決してノーリスクではない暴力行為にまで加担してくれる物好きばかり何十人もいる訳じゃない。
 用心深く周囲を見渡すと、徐々に周囲の通学中の生徒たちが追いついてきた…が、ただならぬ空気にどよめきが広がっている。
 オレは可能な限り鬼留の方向を見ない様に努めた…が、そんなことが可能な訳が無い。
 立ち上がって今度はつかつかと歩いてくる。
 余り距離を詰められると打撃が間に合わない場合がある。
 同じように今度は肩口と胸に加撃した。
「っ!っ!!」
 歯を食いしばって痛みをこらえている。
 ここで鬼留を学習能力が無いと笑うのは気の毒だ。恐らく脳内は「そんなはずはない!そんなはずはない!これは何かの間違いだ!」と連呼されているはずだ。
 だって触れもしない相手にボコボコに殴られるなどあり得る筈(はず)が無い。
 しかもこのちんちくりんにだと!?選ばれたエリートであるこの俺が!?ありえない!
 …まあ、そんなところだろう。
「っ!」
 鬼留は突如地面にあった手頃な大きさの石を掴むと振りかぶった。
 しまった!
 確か無機物に対してはPKが使えない…かどうかは分からないが余り使ったことが無い。
 こんなことならバッティングセンターにでも行って打ち返す練習くらいしておくんだった!
 オレは最大限に集中力を発揮して飛んでくる石に意識を集中した。
 思い切り振りかぶって人に対して石を投げている様にしか見えないその挙動に、周囲の女子生徒の一人が「きゃーーーーっ!」と悲鳴を上げた。
 結論から言うと、鬼留がぶん投げてきた石は空中で突如、跳ね返されるかの様にあらぬ方向に曲がった。
 そして明後日(あさって)の方向に飛び、すぐに力なく落下した。
 …どうやら一応は物理的に向かってくる無機物に対しても効果はあるらしい。
「…」
 自棄糞(やけくそ)になった鬼留は手当たり次第にそこいらに落ちている石を掴み始めた。
 なんというしつこい奴だ。こうも防戦一方だとこちらの集中力も尽きてくる。
 一応、一方的に鬼留が加害者でこのオレ、山本一夫が被害者の構図であることは徐々に人数を増やしているギャラリーにも一目瞭然ではある。
 だが、そんなデジタルに採決が下るほど人間関係は甘くない。

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【新発売】かまいたち事件 女体化され、犯されて行く男たち(真城さん&むらさきいろオレンジさんの新作) 第一章②

 教師はクソの役にも立たなかった。
 クラスの「空気」は間違いなく鬼留とその一派が支配しており、例え担任でもそれを乱す様な言動を取れば「空気の読めない奴」認定を受け、「孤立」に追い込まれるだろう。

 自己紹介が遅れた。
 オレは山本一夫(やまもと・かずお)。
 イヤになるほど平凡な名前だ。
 銀行の記入例に使われたりはしないだろうが、日本中探せばあと一〇人はいそうである。いや、五〇人かもな。
 小さな頃から背伸びして大人向け小説なども読んでいたせいか、妙に世の中を達観したところがある。
 自分では自分のことをおかしいと思ったことは無かった。
 こんな自分でもどうにかやってこれたのは幼稚園・小学校・中学校のクラスメートたちがまだまともだったからだろう。比較問題として。
 いや、もちろんいじめられはしたのだが、それはあくまでも中心になった数人…いや、二~三人によって引き起こされたものであり、散発的だった。
 何より生命に別条を覚えるほどのものではなかった。
 こんなのでも腹を割って話せた友人めいた存在だっていた。あちらはどう思っていたのかは分からないが。ただ、ごく普通に喋っているつもりが、突如相手が激昂することが何度かあった。
 会話のどのポイントが相手をキレさせるのか全く分からないので困惑した。
 自分で言うのも何だが、そこで「自分が正しい。相手の方が悪い」と決めつけるのではなく、徹底的に要因を分析する方向に舵を切った。
 他人の会話に耳を傾け、どういう話運びが自然なのか、イントネーションはどうか…徹底的に研究・分析した。

 結論は…良く分からなかった。

 そのため、必要でないことはなるべく話さない様に心掛けた。知っている知識も目の前の相手に直接言うことは可能な限り避けた。
 知識を発散したい欲求は夜な夜な開設していた無料ブログに書きつけて発散した。
 日に一〇人も来ないドマイナーブログで、もう三年もやっているのに一件のコメントも付いたことが無い。
 だが、それでいいのだ。
 人に読んでもらいたい訳じゃない。ただただ発散したかっただけなのだから。

 だが、遂に生命の危機が訪れた。
 鬼留一派はこれまで何度も階段からオレを突き落とそうとした。
 いや、「突き落とそう」などという生半可なものではない。
 全身の力を込めて目一杯キックしてきたのである。
 結論から言うと、オレはそのキックを咄嗟にしゃがんでかわしたので事なきを得た。
 だが、まともにヒットしていれば数メートルは下までまともに落下していただろう。
 キックが空を切ったことでバランスを崩してひっくり返った鬼留は逆ギレして「こいつがオレの足を取ってひっくり返した」とわめき始めた。
 直(すぐ)に教師が飛んできて、オレをこっぴどく叱り始めた。反論しようとしても「この状況下で口答えする人間のクズ」呼ばわりされた。
 叱られ続けるオレのそばで鬼留はこちらを見下ろしてニヤニヤしていた。
 そう言えば鬼留の同級生には階段から転げ落ちてそのまま亡くなった生徒が一人おり、大怪我で後遺症が残った生徒も数多くいたはずだ。
 彼の学年には妙に怪我人が多いことでも有名なのだ。女子すら平気でその毒牙に掛ける。現在車椅子生活を余儀なくされ、高校時代をリハビリに費やさざるを得なくなった女子も鬼留の犠牲者とされるが、ただの一人の目撃者も名乗り出ることはなく、単独事故と判定された。
 そして、「罪をなすりつけようとしたトンでも無いクソ女」と糾弾を受け続け、遂には不登校から転校に追いやられている。

 遂に奴の悪ふざけは閾値を越えた。
 このまま放置すれば殺されるだろう。
 オレはそう判断せざるを得なかった。

 そしてトイレに呼び出した。
 …と言いたいところだが、こちらの招きになんぞ応じる訳が無い。
 一人トイレに入ったところ、ボコボコに殴り倒して遊んでやろうと追い付いてきたところで能力を発動したのである。

 ここで話は冒頭より少し前に戻る。
「…テメエ。何のつもりだ!?」
 文字にして書いてしまうと馬鹿馬鹿しいのだが、オレには特殊能力がある。
 PK(サイコ・キネシス)だ。「念動力(ねんどうりき)」と訳される。
 手を触れずに物を動かすことが出来る能力である。
 細かい理屈は忘れたが、これは現在知られている物理法則を大きく捻じ曲げるものだ。
 だが、使えるものは仕方がない。
 悪用しようと思えば幾らでも出来そうだ。
 だが、幸いなことにオレみたいな人格者がその能力を持ってしまった。
 だから自衛にしか使わない。
「一応説得してみよう」
「なんだと貴様…」
「オレに構わないでくれ。手を出さなければ何もしない」
「うるせええええええ!!」
 まあ、説得に応じるようなタマじゃないと思ってはいたがね。
 オレが持っているのは単なるPK能力じゃない。
 それこそ書くのも馬鹿馬鹿しいのだが、対象の相手と自分以外の時間を止めて「二人だけの空間」を作り出すことが出来るのだ。
 だからこのトイレでの死闘も、何分やっても休み時間の一〇分をオーバーすることはない。
 その間、何が行われたとしても他の人間がそれを認識することはない。
 「時間を止められる」ということか?と言われると少し困る。
 限りなくそれに近い能力だとは思うが、あくまでもこちらを加害者だとして「加害者・被害者」の関係を他者から秘匿するために必要な能力ってところだ。
 だから無機物を相手にこの能力を発動することは出来ない。
 鬼留は唸り声を上げて興奮していた。
 牙を剥くかの様に歯ぎしりをし、そこから唾液が滴るようだ。まるでオオカミか肉食猛獣だ。
 今はオレによって動きを縫いとめられているが、よりによってこんなちんちくりんに圧倒されていることがプライドが許さないのだろう。
 オレ、山本一夫は身長一六四センチとごく普通より若干小柄だ。
 そして、自分で言うのも何だがツラはかなり不細工寄りだと思う。平凡ですらない。
 太っていないことだけが取柄…と言いたいところだが、極端な肥満体でないというだけで全身がずんぐりむっくりでいかにも垢抜けない。
 チェック柄のオシャレ制服ズボンが不釣り合いなほどちんちくりんの冴えない男だと思う。
 それこそ性格や人格こそ最低だが、大柄で華やかで、見た目だけは爽やかな鬼留とは「同じ人間なのか」と言うほど違う。
 だからこそ鬼留は遠慮なくこちらを「格下認定」してきたのだろう。
 これまた自分で言うのも何だが、一〇人いたら一〇人が同じ結論に達すると思う。
 とはいうものの、こちらにも「生存権」はある。
 この世に生まれて、これと言って犯罪行為なども犯していない以上、無碍に殺されるいわれはない。
「もう一度警告する。このまま振り返って教室に帰りな。今後一切関わらなければこちらも何もしない」
「うるせえぞクソ野郎が」
「…」
「テメエなんぞこの世に存在してるだけで犯罪なんだよ!だから俺が思い知らせてやる」
「…何を?」
「テメエがクソだってことをだよ!」
「…別に何でもいいんだけど、説得に応じてもらえないってことかな?」
 最後のセリフは最後まで発せなかった。鬼留が再びわめき始めて何を言っているのか分からなかったからだ。
 オレはため息をついて続けた。
「仕方がない。警告は発したよ」
 会話のキャッチボールが成立しなさそうだったので、相手が聴いているかどうかを一切考えず一方的にまくしたてた。まるで逮捕した犯罪者に対して「お前には弁護士を雇う権利がある」と建前上読み上げるかの様に。
「猛獣を教育するにはムチを使うらしい。痛みを身体で覚えさせるんだね。だから問答無用で身体に『教育』させてもらう。次に警告を無視して同じことをしたならまた繰り返す。やめるまでね」
 どの程度ケモノの様にわめき続ける鬼留の耳に入ったかは分からない。
 だが、鬼留の身体は見る間にムクムクと変形して行った。
 というか、オレがそうしているのだ。
 これまた馬鹿馬鹿しい話で恐縮なんだが、オレは人を性転換させる能力がある。男を女に、女を男にだ。
 本人が嫌がっているかどうかなんてお構いなしにだ。
 「女になんかなりたく無い!」と泣きわめく男を意思に反して強引に女の身体に性転換させてしまうことが出来る。…こうして書くとまるで神みたいな能力に見えるな。
「あ…あ…」
 漸(ようや)く事態の異常さに気付いたのか、鬼留の動きが止まった。
 女の身体に性転換させられた男の反応は何種類かに分かれるが、大きく分ければ二つだ。
 アッパー系かダウナー系だ。
 驚いてショックの余り結果として大人しくなってしまうタイプと、絶叫してパニックを起こすタイプ。
 鬼留はパニック型だった。
 腹が立つことに素材がいいもんだからまるでアイドルか若手の美人女優みたいな美貌だ。
 とはいえ、元々相手がブサイク男であろうとかなり見目麗しくしてやるのが礼儀だと思っているのでそういう風にするがね。
 ただ、バカみてえにでかい身長は縮めさせてもらった。
「うわあああああああーっ!!」
 身体が小さくなるというのはかなりの恐怖ではあるだろう。
 オレからすれば物見櫓(ものみやぐら)みてえにデカい視線からものを眺めるから訳が分からん選民意識を持つ様になるというものだ。これも偏見だが。
 あっというまに、くりっとした瞳の可愛らしい美少女がそこにはいた。
 だが、変化はこれで終わらない。
「う…あ…」
 オレの能力は着ている服まで変形させることが出来るのだ。
 忽(たちま)ちの内にオシャレ制服は、その属性を「女子」のそれに変貌させた。
 ネクタイはリボンになり、シャツはブラウスになり、そして…ズボンがスカートになった。
 残念ながら目を剥いて髪を振り乱しているこの状況では魅力も半減と言ったところではあった。
 だが、ともあれ「教育」をしなくてはならない。
 身体が性転換を始めてからどの程度まで正気を保っていたのかは分からない。

 オレは鬼留をレイプした。

 リボンを引きちぎり、ブラウスを裂き、スカートをめくり上げ、引きおろし、ブラジャーを外し、全身を舐めまわした上、自分自身を突き入れて発射した。
 やっと途中から事態の深刻さを自覚出来て来たのか、身を捩(よじ)って嫌がっていたが、本懐を遂げさせてもらった。
 敢えて相手を喜ばせる様な丁寧なセックスではなく、自分勝手で乱暴なそれにした。

 こちらが賢者タイムと俗称される「ヤリ終わった後の虚しい時間帯」を軽く過ごしている間、全裸に近い状態となった美少女鬼留は茫然とトイレの床に座って放心状態になっていた。
 恐らく女性器が直接冷たい床に当たっていたはずだ。それも構わない状況に見えた。
「警告はしたぜ。教室に帰んな」
 オレはトイレを出ると、物陰に身を潜めて時間を解除し、変身を解いて服も戻してやった。
 …暫(しばら)く観察していたが、男に戻った鬼留が血相を変えて飛び出してくると言ったことは無かった。
 結論から言うと、自分の身に降りかかった余りにも非現実的な出来事に呆然自失となり、そのまま呆けているところを巡回中の教頭に発見されてこの日は早退となったのだった。
 とりあえず第一段階の仕込みはこれで完了したというところだ。
 今も鬼留の女体の体温がオレの身体に残っている。
 …別にこちとら色におぼれたセックス・マシーンなんかではない。役得目当てでこんなことしてない。
 だが、降りかかる火の粉は払わねばならぬ。確かに気持ちのいい思いはさせてもらったが、不可抗力ってところだ。
 これで何もかも解決するかと思っていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。

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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第三章 ③

 何故か言うなりになったバニーが、ケイと二人掛かりで中央の椅子とそしてオレが座っていた後部座席の椅子も倒し、フラットにした。
 どうやら車はいつの間にかまた繁華街…いや、半ば住宅街みたいなところに差し掛かっていたらしい。
 そして、バニーの手を引いて出て行くケイ。
 犠牲者をよりによってバニーの格好のまま外に出すのかよ!と驚いたが、こいつらの動きはとにかく早い。

 1分もしない間に、また新たな犠牲者が車に放り込まれた。
 なんと…恐らくは大学生程度のカップルだった。
 若干垢抜けないが爽やかなメガネの青年に、清楚な白い長そでに膝下の長いスカートの可憐な美人。実にお似合いのカップルである。
「な、何ですか!?こ、これは!」
 そりゃ驚くだろう。
 そもそも全員行儀よく乗ってればどうにか6人乗れるかどうかの相対的に狭い車内に限度いっぱいに押し込められたと思ったらその中でセクシーなバニーガールが女に犯されているのである。
 シチュエーションがムチャクチャだ。
「きゃーーーーーっ!」これは女の子の方。
 窓は少し開けて走行中の空気に任せてはいるものの、濃厚な化粧とバニースーツそのものが持つ何とも言えない独特の匂いにハイヒールの皮の匂い、そしてバニーが放出する体液や汗の香りがないまぜになって何とも生々しい有様になっていたのだ。
 大げさに言えば「性の地獄絵図」である。…もしかしたら天国、いや極楽かも知れないが。
「とりあえず二人調達しといたから」
 そういって愛撫に戻るケイ。
 カップルたちにとってはここからが地獄だった。
 哀れな男の子は、着ぶくれ気味の胸に感じる違和感がまさか自分の乳房が盛り上がり、女のそれになったものだったなどすぐに気付くことは出来なかっただろう。…まあ、それはそうか。
 大きなメガネに遮られていたが実は素材が良かったらしく、女の子の方に負けないほどの目のパッチリした美少女に変貌してしまうのにそれほど時間は掛からなかった。
「ケン…ちゃん…」
 どうやら男の子は「ケンちゃん」と呼ばれていたらしい。
「そんな…これは…」
 動くたびに背中まである長く美しい髪がキラキラと黒い光沢を放って揺れる。吸い付きたくなる様な美少女ぶりである。
 そして、その清楚さも長続きしない。
 野暮ったい無地の長ズボンは安産型体型に密着し、その形を露わにし、そして露出度を高めていく。
「あ…あ…」
 チーマーの再現だった。
 数分掛けて男の子は見目麗しくセクシーな「バニー・ガール」へと変貌してしまっていた。
「な…これ…って…」
 身体を見下ろすとそこには胸の谷間があり、その先に網タイツの脚線美がある。チリチリとイヤリングが鳴り、自らのメイクの甘い香りに酔ってしまいそうだった。チーマーとの違いは「赤バニー」であったことくらいだ。
 バニースーツ本体、うさみみ型の髪飾りバニーカチューシャ、そしてハイヒールも真っ赤である。
 ご丁寧にメガネも消失しており、野暮ったさゼロである。
「け、ケンちゃん…女の子…だったの!?」
 震える声で言う女の子。
 そんな訳が無いのだが、色々と理解を越えているのでこうでも言わないとやっていられなかったのだろう。
「ち、違う!違うんだ!これは…っ!そんな…声まで…」
 そんな可愛い声で言っても説得力なんてある筈(はず)が無い。仕草まで女性化しているのか、そっと手で口を押える仕草がたまらなく可愛らしくセクシーだ。そんな清楚な仕草なのにその細い指先が真っ赤なマニキュアで彩られているのもたまらない。
 ついさっきまで、野暮ったくもさわやかだった男の子は、女の身体に性転換させられた上、下品スレスレの…いや、はっきりと下品…控え目に言って「いやらしい」セクシー衣装の代表たるバニー・ガールの衣装を着せられ、その体型を見せつけさせられ、濃い化粧をさせられ、ハイヒールまで履かされているのだ!
 そして次に変化に見舞われたのはその女の子の方だった。
 黒バニーとの愛撫に夢中なケイは特に説明をしなかったが、どうやら生まれつきの女の服だけを変えることも可能であるらしい。
 恐らくは安産型で、恐らく派手な格好どころか、ある程度以上露出度が高い服すら来たことが無かったであろう優等生然とした彼女が、鮮やかに真っ青な「青バニー」へと着ていた服を変化させられていく「強制コスプレ・ショー」はこれはこれでたまらないものがあった。
 羞恥に頬を染め、「裸よりも恥ずかしい」とすら形容される「男の愛玩物」スタイルにされ、濃いメイクにアクセサリー、挑発的な網タイツなどを無理やり着せられるという屈辱。
 それに歯を食いしばって耐える清楚な美女…。
 どうやら神木のリクエストを聞き入れたのか、今度の変身はかなりコンパクトだった。
 お互いに「変わり果てた」姿で向かい合う、『生まれたばかりの』バニーガール二人組。
 透き通るような白い肌に赤く染まった頬がたまらない。
「ケン…ちゃん」
「アイ…さん」
 これほど美しく、そして性と魂の尊厳を踏みにじる構図があるだろうか。愛する二人の男女はお互いにバニーガールへと変えられて向かい合っているのだ。
 ここからこの世に絶望した二人の愛のダンスでも始まれば感動的なのかもしれないが、そうは問屋がおろさなかった。
「ほれ!あんたはこっちだ!」
「きゃああっ!」
 何故かさっきよりも短い、ショートカットに切りそろえられた髪をふり乱したブルーのバニー…元・カップルの女性側…は神木に無理やり抱き寄せられ、早くも唇を奪われていた。
「あ…か、身体が…勝手…に…」
 もう一人の「赤バニー」…元・カップルの男の子側…はオレの方に倒れ込んできた。
「おっと…」
 細身とはいえ恐らく四〇キロ以上はあるであろう身体がのしかかってきた。
 何故か体温が熱く、分厚いバニースーツ越しにすらそれが感じられる。
「いや…やめ…やめて…下さい…」
 ちりちりとイヤリングを鳴らしながらこちらは腰まである長い髪を振り乱して必死の精神的抵抗をする。
 だが、目の前に迫る胸の谷間と網タイツの迫力にこちらは理性が獣性に勝つことは難しそうだ。
 思わずキツく抱き、バックシームの走るお尻を鷲掴みにする。
「ああっ!」
 ざらざらした網タイツとつるつるするバニースーツの指先に感じる感触がミスマッチだ。まあ、着ている…いや、着せられている…当人は知ったことじゃないだろうが。
 良く観ると、先ほどからちりちり言っているのはイヤリングだけじゃない。
 身体の脇に編み上げの装飾が施されており、そこから垂れ下がった紐の先の丸い部品がお互いにぶつかって音を立てているのだ。
 身体の脇の編み上げなどほとんど意味が無い。よりセクシーに見せるための純粋な装飾に過ぎないだろう。
 するすると音がするのが面白くて思わず尻を撫でまわしてしまう。
「あっ!あっ!あああっ!」
 慣れぬ刺激に戸惑うのか、その度に艶(なまめ)かしい声を上げ、羞恥に頬を染める元・男の子の赤バニー。
 耳たぶが真っ赤に焼けた鉄の様になっており、施されたイヤリングを加熱しそうだった。
「脱がさんでも、おまたの部分を破ってツッコめばいいよ」
 自分の獲物のバニーの相手をするのに忙しかったケイがアドバイスを飛ばしてくれた。
「お、おう」
 これは素直にありがたかった。
 実はバニーの格好で女性がトイレに行く場合は、厳重にストッキングなどを着こんでいたりすることもあって、「一旦全裸に」ならないと出来ないという。
 それほど融通が利かない衣装なのだ。
 だが、緊急避難として、股の部分のハイレグを横にずらして、ストッキングに穴を開けて用を足す方法がある。元々肌色ストッキングも網タイツも半ば消耗品であるのでこんなやり方もあるということだ。
 それをセックスに応用する鬼みたいな方法論だ。
 流石に股間部分にまでは骨組みは入っておらず、かなり柔軟性がある。

 オレは揺れる車内で、突然のバニー化に見舞われた哀れな男の子の股間のハイレグ部分をズラし、女性器のあるあたりを乱暴にもビリビリと破って本懐を遂げた。
 全身ほぼバニーのまま男を受け入れる羽目になった被害者の胸中はいかばかりか…だが、この時はとてもそんな余裕はなく、いきりたったムスコを落ち着かせるにはどうしたらいいのか…そればかり考えていた。
 ゴムも何もつけずオレ自信の感覚では天井まで叩きつけられそうだった勢いで分身たちを放出させたオレは、車内の三人の女の中で一番最後に男…いや、相手…の元にやってきたのに、一番最初に劈(つんざ)く様な嬌声を上げさせることになったのだった…。


 車内には三人の乱れまくったバニーガールスタイルの若い女が四つん這いみたいなスタイルではぁはぁと息を上げていた。
 汗やら体液やら分泌物やら色んなものがダダ漏れになっており、垂れ下がっている。

「はい、それじゃここまで」

 いつの間にか服の乱れを直していたケイが、車が停まると同時に半ば蹴り落とすかの様にバニーたちを車外に放り出した。

「きゃっ!」
「いやあああ~っ!」
「きゃーっ!」

 この中に生粋の女は一人だけなのに、全員が見事な悲鳴を上げて転げ落ちて行く。
 次の瞬間には車はもう出発しており、呆然と見送るバニーたちの表情すらロクに確認出来なかった。

 ケイは窓を開けると生々しい空気を換気し始めた。
 手慣れたものでそこいら中に飛び散った汗やら体液やらをウェットティッシュで拭いている。

 正直、なるほど確かにこの趣味にハマるケイたちの気持ちも分からんではない。目の前の恋人にバニー・ガールに変えられて男に身体をいじくられ、あまつさえレイプされる様を観られるなど想像を越える。
 だからこそ興奮する…というのもだ。
「…一応確認したいんだが」
「あの子たちなら多分もう元に戻ってるよ。そんでもって自分たちがちょっと前までどんな目に遭ってたかも覚えてないから」
「そういうことだ」神木。
 後腐れないって訳だ。
「何?ちょっと罪悪感に目覚めたのかしら」
「いや…」
 目の前で女にされたバニーガールを美味しく頂いておく悪の片棒を担いで起きながら今更正義感ぶったって仕方がない。
「今日はノッて来たからもう一件くらい行くか」

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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第三章 ②

 …これだ。

 これこそが、正に典型的な「バニー・ガール」という姿なのだ。

 ちなみに「黒バニー」こそ典型的なバニーガールのスタイルと認識されているが、実は黒いバニースーツを着ることが許されているのはかなり偉い地位にいるバニーなのだそうだ。バニーの取りまとめ役というか「バイトリーダー」みたいなものだ。
 それ以外は赤バニーだったり青バニーだったりする。最も、店によって解釈が違い、全員が典型的な黒バニーであることもあるらしいのだが。どうでもいい豆知識だ。
「じゃあこれ」
 燕尾服をこちらに渡してきた。
「…どうすんだよこれ」
「その辺に放っといていいから」
 そう言われても困る。
「別にスーハ―したりそれでおかずにしてもいいよ?」
「何言ってる」
 仕方がないのでいわれたとおりその辺に…隣の座席に乱暴にぐしゃりと置いた。
 全体がぐにぐにしていてまとまらないのだ。ハンガーがあればいいのだろうが。
「っ!?」
 ここで改めて目に飛び込んできた「バニー・ガール」に衝撃を受ける。
 露出度が上がり、燕尾服に隠されていた上半身の体型も露(あらわ)になり、胸の谷間もハッキリ見えたバニーのセクシー度合は大変なものがあった。
 実はここで「手首」のパーツがどこからともなく出現していたことを後で知る。長袖の燕尾服と同時に装着できないため、脱ぐと装着することになるらしい。
「そん…そんなぁ…」
 自らの身体を見下ろす元・チーマーにも今の事態が飲み込めつつあるのだろう。
 カシャリと音がした。
 ケイがスマホで元・チーマーの全身像を撮影したのだ。
「ほい、これが今のあんた。どお?」
 後で見せてもらったが、羞恥に悶えそうな表情の可憐でセクシーな「バニーガールそのもの」といった写真だった。頭のバニーカチューシャから化粧の乗った顔、胸の谷間に体型も露わなバニースーツ、そして艶(なまめ)かしい網タイツの脚に、漆黒のハイレグの股間の三角形。ちゃんと黒光りするエナメルのハイヒールまでが一部とはいえフレームに入っている。
 よほどこういった写真を撮り慣れているらしい。
「ば…馬鹿な…おれ…」
「そ、バニー・ガールになっちゃったの」
 何度目かの宣言だ。敢えて「バニー・ガール」という用語をこれ見よがしに使うことで「言葉責め」をしているのだ…とこの頃になってようやく気が付いた。
「さ、あたしの膝にいらっしゃい」
 にっこにこのケイ。
 言われるままにくるりと後ろを向く。
 パンパンに張りつめたバニーのヒップがそこにある。
 白いぽんぽんのしっぽを模した飾りがふわふわと揺れ、バックシームがセクシーだ。
 ケイが股を広げ、そこに腰を落とすバニー。
「あ…」
 背後から抱きしめる様に抱えると、ケイはゆっくり優しく全身を撫で回し始めた。
「あ…いや…やめ…」
 頬を真っ赤にして苦悶の表情で悶えるバニー。
「あのさ…」
 たまらずオレは声を掛けた。
「あによ。あんたの順番は後!」
「いや…それはともかくさ」
「何?愛撫の場所の順番は個人の好みなんでリクエストは受け付けないよ」
「そうじゃなくてその…いいのか?」
「いいのかって何よ?」
「その…そいつ女だけど、あんたも女だよな?」
「あ、言ってなかったっけ。あたし相手にするのは女専門だから」
「あ、そうなの?」
「ああ。こいつは俺なんか目じゃない変態だ」これは神木。
「うるさいよ」
「それはその…レズってこと?」
 このシチュエーションでは失礼もクソもないだろう。
「一応肉体的に言えばそうかもね。でも、『女にされた元・男』専門だから、精神的には男相手にしてるみたいなもん」
「…はあ。じゃあ、生粋の女は相手にしないんだ」
「面白くないじゃん。女が性的に責められても普通だもん」
「『普通』ねえ…」
 こちらもいい加減神経が図太くなっていたのか、目の前で展開する大騒動を前に苦笑しか出なかった。
 まあ、そうこう言っている自分も、随分と元・男をおいしく頂いてしまったことには変わりがない。
 会話が進んでる間にもケイは哀れなバニーのわき腹を撫で上げ、半分覆われたおっぱいを上から優しく撫で回し、首筋にキスをしていた。
「…」
 今まで余りバニーガールに馴染みが無かったんだが、案外セックスには向かん格好だな…と妙なところに気が回っていた。
 スカート一枚めくりあげればほぼ無防備の衣装と違って、骨組みの入ったハイレグ衣装はかなりの硬度を持っており、ぺろんとおっぱいをめくって露出させると言う訳にはいかない。
 そういったことが可能なバニー衣装も存在はしているが、そいつは作りの甘いコスプレ衣装で、要は安物だ。そうでないものもあるが。
 「バニーのケイ」の異名を持っていたらしいケイに言わせると「肩ひものあるバニーは邪道」なんだそうだ。なのでたまに適当に入手した資料でそのまんま書いたらしい肩ひもありのバニーの衣装のイラストとか見るとイライラするらしい。目立たない様に透明のビニール製肩ひももあるが、それなんかもっと邪道なんだとか。
 ただ、肩に食い込むピアノ線版ならありだと。基準が分かるような分からないような…。
 ともあれ、思わず神木の方に視線を向ける。
 その間にも、必死の抵抗を続けるバニーの声がやがて優しく甘い声に変化していくのだった。
「これ、見てていいのか?」
「見せつけてるんだ。見てやるのが礼儀だろ」
「見られるのが趣味なん?」
「見せつけるのが趣味なの!」ケイが大きな声を出した。
「ほ~ら!あんたの恥ずかしい恰好を別の男に見られてるよ?あんたのおっぱいで、脚で、網タイツでそこの男たちが抜いてるんだよ?」
「…(真っ赤になって)いや…やめ…やめてぇっ!…」
 これまでで最大の強さでおっぱいを鷲掴みにするケイ。
「あっ!…あああっ!」
 反対の手で網タイツをざらざらと撫で、指先でつまんで「ぴん」と戻す。
「あ、あんたがたガマン出来なかったら抜いといていいから。悪いけどあたしが最後まで楽しむんで時間掛かるよ」
「おいケイ。幾らなんでも殺生だ。そいつは好きにすればいいが俺たちにもくれ」
「…しょうがないわねえ…運転手さん!」



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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第三章 ①

第三章

 キャンピングカーみたいなデカい車だった。いや、流石にそれは言い過ぎか。
 スライドドアの6人乗り。家族でキャンプに繰り出そうって体の代物だ。
「ゲスト席の座り心地はどうかね」
「…」
 座席は三列になっており、真ん中にケイが中央を向いて座り、後部座席にオレが、助手席から顔を乗り出すかの様に神木が話しかけてきている。
「運転手つきとはね」
「電車で移動ってわけにもいかないでしょ」
「かといって普通の4人乗りじゃ窮屈だ」
 バニーガールがエスコートしれくれそうなリムジンなら後部座席だけで秘密の会合としゃれ込めるんじゃねえの?…とイヤミを言いそうになってやめた。
 それにしても、得体のしれない大人二人の誘いに乗って車に乗り込むなんぞ、自分でも恐怖心とか色んなものがマヒしてるんじゃないかという気になる。
「…さっきのは強烈だった」
「ん?何のことかな」
「ハンバーガー屋でしょ」
「ああ、あれか。…あんなものに興奮してるのか。まだ青いな」
「…基準が分からねえよ」
「私のフェチはもっとエロスギリギリでね。制服もまあ、好きなんだが今日のはイマイチだったな。整い過ぎててそそられない」
「知らねえよ」
「もしかして可哀想な店員ちゃんたちを心配してる?」
 ケイがこちらに軽く視線をくれながら言う。
「…いや。どうせ元に戻れるんだろ?」
「ご名答。今ごろ何事も無かったかのようにハンバーガーをパクついてるさ。こぼれて無ければね」
「何のためにこんなことしてる」
「決まってる。したいからだ」
 紳士然とした見た目に完全に騙された。こいつは完全にイカれてやがる。
「神木さん。あたしもいい?」
「どうぞどうぞ」
「運転手さん。あの辺に」
 運転手は無言だったが頷いたらしい。
 車は歓楽街と思われる路地に入って行き、飲食店がひしめくあたりをゆっくり走り始めた。
「…今度は何だ?ファーストフードを食い損ねたオレに定食でもおごってくれるのか?」
「ケイくんが良ければご相伴にあずかるといい」
「…あたしが先だからね」
「何のことだよ」
 その言葉と同時にゆっくり走行中だった車のドアを開けるとケイが飛び出して行った。
「あ、おい!」
 余りにも無茶で危険な行為に抗議の声を上げると同時にスライドドアが叩きつける様に閉められる。

 一分も経っただろうか。
 レザーの皮ジャン…二重に言ってるな…に浅黒く日焼けし、銀のチェーンのネックレスにピアスをして銀髪をとがらせた様な“いかにも”な男が座席に叩きつけられた。
「出して!」
 同時にケイが飛び込んできて、車が走り始めてからスライドドアが乱暴に閉められる。
「テメエ!」
 狭いところに蹴り込まれた男…ややこしいので「チーマー」にしとく…チーマーが血気盛んに抵抗を試みる。
 かなり大きな男だ。
 大人が立ち上がることは難しい車の中なので分からないが、身の丈一八〇センチは悠に越えていそうだった。
 ケイがタンクトップの胸倉を掴んで身体を入れ替える様に今入ってきたスライドドアに叩きつける。
「っ!?」
 そして、椅子にふんぞり返って脚を組んだ。
「ま、今日は趣向を変えてたっぷり時間掛けるから」
「この野郎!」
「残念。そりゃ男に対する罵倒。女相手には女郎(めろう)が正解」
 どっちでもいい。
「随分活きがいいね。楽しめそうだ」
「今度は神木さんに見物に回ってもらいますから」
「食べ残しは?」
「お好きな様に…。ゲスト次第だけど」
 といってこちらに勝ち誇った様な視線をくれる。
 暴れようとするチーマーだが、どうやら脚がその場から動かないらしくケイに向かって飛び掛かろうと意思はしていてもその場でじたばたするばかりだ。
「もう…やったのか?」
「当然」
「…な、何だ!?」
 チーマーの皮ジャンの内側は、その筋肉美を見せつけるかの様にタンクトップ姿だった。
 ぴっちぴちに張りつめた筋肉が張り詰めたタンクトップの上から皮ジャンだ。汗を余り吸ってくれ無さそうである。
「あ…か、身体が…か、身体が…お、おかしい…」
 ニヤニヤしながら見下ろしているケイ。
 チーマーは浅黒く日焼けした肌に覆われることで顔色が分かりにくくなっていたが、それでもハッキリ分かるほど青ざめ、脂汗を流していた。
 もう既に「性転換銃」に撃たれている様だ。
 となると、このチーマーの運命は一つしかない。
 女への性転換だ。
 銀髪で尖(とが)っていた髪が徐々に徐々に黒くなり、髪質が柔らかくなっていく。
「ぐあ…あああ…」
 抱きしめるかの様に自らの胸部を両手で隠すチーマー。
 その部分に異変を感じ取ったのであろう。
 その逞(たくま)しい腕からどんどん筋肉が引いていく。
 いかり肩が萎(しぼ)む様になで肩になって行く。
 浅黒く日焼けしたその精悍な肌は徐々に色素が抜けるかの様に白く透き通る様になっていく。
「時間掛かるな」
 絶え間なく呻(うめ)き続ける、ある意味悪夢みたいなBGMを背景にのん気なことを言っている神木。
 男が女へと変貌していくことに絶望して嘆(なげ)く場面など見慣れているということか。
「ええ。そういう風にしたので」
「悪くないが…オレはガマンしきれんが」
「そこは男と女の違いね。あたしは長く楽しみたい方だから」
「ローマのネロ帝は弾圧の際、ライオンなどの猛獣だと死刑囚がすぐに死んでしまって楽しめないから、殺傷能力の低い野犬なんかに襲わせてより長く苦痛で苦しむ様にしたそうだよ」
「あら、その皇帝陛下とは趣味が合いそうだわ」
 氷のように微笑むケイ。
 その間にも車は何度も角を曲がり、交差点でとまり、ウィンカーで方向を支持し、きちんと信号を守って運行し続けた。
 いつのまにか高速道路に乗ったらしい。静かにまっすぐ走るモードに切り替わっていた。
 チーマーはすっかり原型を留めていなかった。
 皮ジャンにタンクトップはそのままだったが、緑なす長い黒髪が流れ落ち、「天使の輪」と言われる光沢を形作り、ため息が出るほど美しくなびいている。
 その顔も天使の石像を生き写しにしたかのようだった。
 どれほどそり落としても、いやそうするからこそなのか残ってしまう、ヒゲの毛根のぶつぶつした凸凹もまるで大理石か剥きたての卵の表面の様にするりと滑らかになり、伸びたまつ毛がパッチリした瞳を際立たせる。
 薄く骨ばっていた唇はさくらんぼの様に色づき、肉感を持っていた。
 ジーンズのお尻部分はパンパンに張りつめ、逆にウェストはぶかぶかになっている。
 タンクトップを弾けさせそうな豊かなバストがミニメロンみたいに無理に押し込まれており、乳首がくっきりと形を成して突起を見せつけていた。
「あ…あ…ああぁ…」
 変わり果てた自らの身体を見下ろすチーマー。
 その手は細く長く美しい、白魚の様な指に、シャンプーのCMの美女の様な流れ落ちる黒髪がスダレを作っている。
 直立している訳ではないのでハッキリは分からないが、身長はそれほど縮んではいない様だった。
 すらりと伸びた肢体と面長な美貌は正に妙齢の美女というところ。そして…決してデブではないが、全身の肉付きがよく、実にふくよかだ。出るべきところは出て、引っ込むべきところは引っ込んでいる理想の肉体である。
 後部座席から睨むこちらからは良く分からないが、恐らく下腹部…要は男性器…は体内に吸収され、その部分には女性器が出現しているはずだ。
 威勢よく吠えていた逞(たくま)しいチーマーは今や似合わない男装をした美女となっていた。その肉体が男から女へと性転換してしまったのだ!
「どう?女になった気分は?」
「て、テメエ…何を…」
 鈴が鳴る様な可愛らしい声だ。
 怒っていいのか戸惑っていいのか、余りにも突飛な状況に引き裂かれそうになっているのが分かる。
「ここからが本番よん」
 楽しそうに言うケイ。
 先ほどまで神木を諌(いさ)めようとしていたとはとても思えない。
「ぐあ…あああっ!」
 元々そのヒップの大きさにピン!と張りつめていたジーンズが更にぴったりと密着し、丸いお尻の形を浮かび上がらせた。
 隙間なく張り付いたその形のまま表面がなだらかになっていき、滑らかな表面になる。その色だけを残して液状になったかの様に均一になると、まるでボディペイントをしたかのようだった。
「な…何だぁ…!?」
 余りにも異様な光景だった。
 普通は服がこんな風に変形したりはしないものだ(そりゃな)。
 だが、変化は止まらず、水着の様にレオタードの様に体型を浮かび上がらせたままその色を漆黒に変えた。
 黒い光沢が走り、そして艶(なまめ)かしい脚線美の脚を覆う部分に無数の肌色の小さな点が浮かび上がった。
「うわわわわっ!」
 まるでうじ虫が一斉にへばりついた肌がうねうねと動いている様を連想させるその「小さな無数の穴」は一気に拡大し、隣の穴と繋がる前にお互いのエリアで落ち着き、細い境界線を残した。
 その模様はまるで「網」の様だった。
 大胆に切れ込んだハイレグ形状に「脚」をその網状の模様が覆い尽くしていた。
 「網」?…そう、それは網目がハッキリ分かるほどの装飾品…「網タイツ」だった。
「あ…あ…あああっ!」
 妙な光沢を放っていた良く分からん高そうな靴がぐにぐにと変形していく。
 つま先がまるでとげの様にとがる。
 足の横幅が狭まり、そして「足の甲」が大きく露出し、足首から先、つま先まで覆い尽くしているらしい網タイツの柄を見せつける。
 どこからともなく現れた「踵(かかと)の下のつっかえ棒」が、踵(かかと)をぐい…ぐいいっ!と押し上げた。
「うわっ!」
 思わぬ刺激につんのめりそうになるチーマー。
 それは「ハイヒール」に他ならなかった。
「あ…」
 自らの巨乳に遮られてほぼ足先を視認することは適わなかったが、自らの身体…いや衣類…もっと言えば靴…に何が起こったのかは明白だった。
 黒光りするエナメルのハイヒールは柔軟性がほぼ無く、動くたびにギシギシときしみ、何とも言えない皮みたいな匂いがする。
 どこからともなく現れた「ストラップ」が足首を締め付け、網タイツに覆われつつも靴からは露出した「足の甲」の上付近を金具で拘束した。
「んっ!」
 これで慣れぬハイヒールは簡単にすっぽ抜けない。そして恐らく自力で簡単に脱ぐことが困難となった。
 もしも脱ごうとすればギチギチに締まったストラップと格闘することになる。
 チーマーの下半身はもうあられもない姿だった。
 体型をそのまま出したような肌色に網タイツのかぶさった脚がその形をむき出しにしており、ハイレグの切れ込みが股間部分に三角形を形作っている。そして、艶(なまめ)かしい脚線美の足先には黒光りするエナメルのハイヒールが装着されているのだ。
「わぁお」
 自分でやっといてケイが適当な相槌を入れる。
「あたしよりずっとセクシーだわ。とっても似合ってるわよ」
 コテコテの女言葉が似合うキャラでもないのに態(わざ)と言っているケイ。本人はショートカットに色気の無いジーンズということもあって、虚弱体質の若い男と言っても遠目なら何とか通りそうな風貌だ。
 当然、チーマーの変化がそれで終わる訳が無い。
 既に原型を留めていないタンクトップは溶け切っており、肩ひも状に残っていた部分は消滅し、チューブトップ状態になっていた。
 それがハイレグの上で細いウェストに密着し、おへそのへこみまで露(あらわ)に身体にへばりつく。
「ぁっ!」
 今や美女となったチーマーが悩ましげに身体をのけ反らせ、頬を紅潮させ、汗で張り付いた髪を乱す。
 暴れてどうにかなるとも思えないが、せめて「変化」が這い上がってくることから逃れようとしているかの様だった。
 だが、「変化」はじわじわと水位を上げ、美女となったチーマーを覆っていく。
 はち切れそうなその乳房を硬い縁(ふち)がぴったりと覆い、背中側でキツく留められた。
「ああっ!」
 あのクッキリとがった乳首の形が視認出来なくなったということはかなり厚手の生地である。ぬらぬらと黒光りするその生地は、ぴったりと身体に張り付き、体型を露わにする。
 縁(ふち)のみならず、縦に何本も見える「筋」が軟性の骨組みであることを知ったのは後日だった。
 良く見ると皮ジャンだったものの背中側の裾がぐんぐんと伸びており、お尻の上あたりで二つに枝分かれするとそれぞれ三角に尖(とが)ってふとももの裏にまで伸びた。
 その切れ目…形のいいお尻が付き上がるその上に“ぴょこん”と白いふわふわの装飾が飛び出してきた。それはまるで「しっぽ」の様だった。
 切れ目はその為にあったのだ。何という手の込んだ衣装であろうか。
 ごわごわの皮ジャンはつるりと表面が滑らかなタキシード…燕尾服へと変化を遂げ、金のボタンに金のチェーンの様な装飾が渡っている。
「うわ…わああっ!」
 ピン!と張りつめたその細い指先に端から順に毒々しいほど真紅のマニキュアが施されて行き、各五本…十本の指先のツメ全てが真っ赤に染まり、そしてとがった。
「あ…あ…」
 それを呆然と見つめているその瞳を彩るまつ毛が太く重くなる。
 マスカラが施されているのがこの距離からでも分かる。
 まぶたには濃いブルーのアイシャドウが舞い降り、薄く透き通るような白い肌にほお紅が浮き出していた。
「だ、誰か…助け…て」
 そういう唇を端からぬらぬらとした生暖かい感触が覆っていく。
 濃い口紅だった。
「あ…ぁ…」
 唇は皮膚の一部というよりは乳首と同じで内臓の一部が露出しているのに等しい器官だ。
 当然、その感触も感じ方も他の部分とは異なっている。
 そこをどこからともなく現れた「女の象徴」「化粧の代名詞」たる「口紅」で覆われて行く屈辱と恍惚がないまぜとなり、元男は官能的な声を上げ、必死に逃れようとのけ反った。
 だが、数秒と掛からず綺麗に覆い尽くされてしまう。
 変化は更に続く。
 ピアスが大きく広がり、直径数センチはあろうかという大きな輪となり、可憐な耳たぶにぶら下がった。
「ぁあ…」
 それはイヤリングだった。
 これまでにない重さで耳たぶを重力に従って引っ張られた元・男はその感触におののいた。
 ここだけは深窓の令嬢であるかのごとき美しい漆黒の黒髪の中で何かがもぞもぞと動いている。
 髪の毛をかき分け、まるで生き物の様に「それ」が這い出して来る。
 骨組みが入ったかの様にぴん!と立ったそれは「ウサギの耳」を模した髪飾りだった。
「ん…ぁ…」
 これはオレからは見えなかったのだが、このタイミングで脚の裏…尻のてっぺんからふともも、膝の裏、そしてふくらはぎを通って踵(かかと)までまっすぐに「網タイツの継ぎ目」…が走って行った。これを「バックシーム」といい、脚をまっすぐ長く見せ、そしてただでさえセクシーな網タイツを尚更セクシーに見せるものである…ということを知るのは後日だったが。
「はい出来上がり」
 ケイが勝ち誇った様な表情で見下ろしている。
「そ…そん…な…」
「どお?バニー・ガールになった気分は?」
 そうなのだ。
 浅黒く筋肉質、それでいて武骨で薄汚かったチーマーの男は、可憐で色白、それでいて肉感的でセクシーでありつつ、厚化粧と大胆な体型の露出が「下品」「破廉恥」を感じさせつつ、それなのに清潔感があって可愛らしくも見える不思議な「バニー・ガール」へと変貌してしまっていたのだ。
 それほど「バニー・ガール」に造詣が深い訳でもないオレが「何かいつも見慣れたバニーとは違うな」と思ったのが、「燕尾服」を上半身に着こんでいて、長袖だったためだった。
 要は上半身の胸から上が剥き出しになったあの形状よりもずっと露出度が低かったのである。
 一見するとフォーマルに見えつつ、良く観ると脚線美が露(あらわ)になる丸出しの網タイツの脚…という何とも下品なスタイルが観る側に複雑な感情を喚起する。
 結論を言えばたまらなかった。
「テメエ…オレに…オレに…何…しやが…った…」
 まだ男言葉を使って精神的な抵抗を試みているらしいが、そのセクシースタイルでは説得力などまるでない。
 着ぶくれする衣装ならまだしも、ここまで体型が露(あらわ)に…細くて折れそうなウェストなど…なる衣装で『女装』ということはまずありえない。
 長い脚は身体の半分を越えており、体表面の多くが脚にすら見えた。
 「だからぁ…。あんたを綺麗な女にして、バニー・ガールにしてあげたのよ」
 常にゆらゆらと揺れる狭い車内で、手を伸ばせば掴めそうな距離のバニー・ガールというのも滅多にない体験だ。
 甘い化粧の香りが鼻孔をくすぐる。
 濃い目の化粧がまるでお人形さんの様である。
「な、何を…」
「じゃ、折角だからおっぱい揉んでみようか」
「は!?」
 どうやら言葉によってかかなり相手の行動を自在に操れるらしい。
 哀れなバニーは、不安定な車内で真っ赤なマニキュアのとがる折れそうな細い指で、豊かなバストを鷲掴みにして揉み始めた。
「あ…あ…やめ…やめろ…」
 ほお紅だけではなく真っ赤に紅潮した頬で、自らの手と指で自分の乳房を揉みながら「やめろ」というバニーガール…というシュールな光景が広がる。
「あはは!何よ!自分で揉んでんじゃない!誰に向かって言ってんの?やめろとかさあ!」
 そりゃお前がやらせてるからじゃねえか…とは思ったが別に言っても栓無い事だ。
「じゃあ、そのお上品な上着脱いじゃおうか」
「へぇっ!?」
 素っ頓狂な声だった。
 だが、その命令には逆らえないらしく、自らの乳房を揉む手を止めると、ゆっくりとセクシーに腕を抜き、燕尾服を脱ぎ始める。
「いや…いや…だぁ…」
 もう泣きそうな顔をしていた。
 自らの身体が自由に動けず、他人に操られている気分というのはどういうものなのだろうか。
 ましてや女にされ、バニーガールの衣装を着せられ、上着を脱がされているのだ。
 …最初の前提以外が突飛すぎてとてもじゃないがイメージ出来たもんじゃない。
「いいわいいわー」
 ケイの方も何やら感じることがあるらしく、頬を赤らめて興奮し始めてやがる。
 燕尾服がセクシーに脱がされると、むき出しになった肩のライン、黒い蝶ネクタイに鎖骨の可憐さ、折れそうな細く長い腕などが剥き出しになる。

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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第二章 ②

被害者はいつの間にか髪の毛はポニーテールにまとめられ、スッキリした濃い色のユニフォームを着せられていた。
 サンバイザーみたいなものをかぶり、ミニスカートが凛々しい。
 その細い身体にカスタマイズされた制服は大振りな乳房を際立たせている。
 いつの間にか立ち上がって自らの身体を見下ろしている。
 そこには変わり果てた姿があった。
 そのファーストフードの店員の制服に身を包んだ美少女がいたのだ。
「じゃ…楽しもうか」
 神木はさっさと被害者の肩に手を回し、背後から抱きしめてそのまま椅子に座った。
「きゃっ!」
 可愛らしい声に仕草は、反射的な行動まで操られていることに他ならない。
「…」
「あ…いや…やめ…て下さい…」
 余りのことに可愛らしい声が続かない。
 神木は答えも聞かずに服の上から乳房をもみほごし、ミニスカートの上から下腹部に手を伸ばしていた。
 頬を紅く染めながら必死に耐えている被害者。
 元々その造形が美少女なのに、このシチュエーションは確かにそそるものがある。
 いつの間にかはだけている胸元に直接手を入れている神木。
 器用にブラジャーの背中のホックを外したらしく、ゆるくなった胸元…ブラジャーのカップの中…にざらついた手首から先を差し入れ、乳首を直接つまんだ。
「…っ!!!」
 感じたことが無かった刺激(そりゃな)に驚き、目を見開いている被害者。
 髪の毛が乱れ、汗ばんでこめかみあたりに張り付いている様子がなんとも色っぽい。
 いつの間にかこちらもホックが外されていたらしく、器用に押し下げられたミニスカート。内側の白いスリップの刺繍の入った縁(ふち)を見せつけつつ、それをめくり上げた神木の手がパンティの中に伸びて行く。
「あっ!ああっ!ああああああーーーーーーっ!!」
 凛々しく決まっていた「女子店員」にされていた被害者はこの時点ではあちこちで下着と内側の肉体が剥き出しになった乱れた格好となっており、もう凛々しくは無かった。
 最初の絶頂に達したらしい被害者が髪と服をふり乱してその場に四つん這いでうずくまって息を荒げている。
 だが、その造形は見目麗しく、先ほどの冴えない男とは大違いだ。
「…もういいでしょう。行きますよ」
「ふむ…まあ仕方がない」
 神木が立ちあがった。
 なるほどこちらは一枚の服も脱いでいない。
「…そういうことかよ」
「最後まで食いたいかね」
「自分でやるのはともかく、余り人のを目の前で見物するのは趣味じゃねえんだ。見られるのもな」
「聞いていた話と違うな。野島と一緒に楽しんだんだろ?」
「野島?」
「『イケメン』だよ」これはケイ。
「じゃあ行くぞ」
 手慣れた手つきでどこからともなく濡れおしぼりみたいなものが登場していた。それで指をぬぐうとこちらのこともロクに見ないまますたすた歩き始める神木。
「…」
「ついてきな」
「何で」憮然として答える。
「残っても同じだよ。敵がみんなあたしらみたいに紳士的だと思わない方がいいよ」
 発射音がした。
 慌ててそちらを見ると、若者集団らしい男たちのど真ん中に神木が撃ち込んでいる。
「なっ!?」
 余りのことに言葉にならない。
「あ…か、からだ…あああああっ!?」
 今度の変身は一瞬だった。
 忽(たちま)ち全身が変形した男の若者の一人が「女性店員」へと変貌していく。
「お、お前…」
 人数にして6人。
「おっさん!何してんだ!」
 そういって一番近かった一人が立ち上がると同時に次弾が発射され、瞬く間に「全員」が被害に遭っていた。
「え…?えええ!?」
「これは…?」
「お前…何だよその恰好…」
 変わり果てた姿になったお互いを確認している若者たち。
 全員がまるでアイドルグループのアルバイト企画みたいに可愛らしい。
 少し動くだけで、女物独特の柔らかくすべすべした肌触りの下着の感触が全身を嬲(なぶ)り、ミニスカートの間に空気が入り込み、自らの素脚たち同士が「するり」と接触した。
「あ…」
「ま、しばらく仲良くしたまえ」
 ロクに返事も聞かずに階段を降りていく神木。
 渋い顔のケイが続く。
 すれ違いざまに観察してみると、もう「仲良く」していた。
 男同士…だったものが豊かなバストを押しつぶしながら抱き合い、唇を重ねていた。
 全員が活発で清潔感のある「ファーストフードの女性店員」スタイルであることが逆に背徳的だった。
「きゃー!」
 もう神木は店外に出ていた。
 店内はさながら「控室」だった。
 二十人以上の「女子店員」で溢れかえり、ある者は動揺し、ある者は茫然として変わり果てた自分の姿に見とれていた。
 一人お調子者なのか自分のおっぱいを両手で鷲掴みにしてるのがいた。
 「行きがけの駄賃」とばかりに、店内の目につく人間全員を変身させやがったのだ。

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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第二章 ①

第二章

「静かに!」
 その女は静かに怒鳴った。
 細身のジーンズに無地のTシャツ、グレーのパーカーという「少年」いや「青年」にも見えるルックスだ。
 一人暮らしの部屋に突如飛び込んできたその若い女は、慣れた手つきでオートマチック銃を構えると膝をついてうっすらと開けたドアから外を伺っている。
 一体何が起こったのやら分からない。
 次の瞬間だった。
 何故かベランダ側のガラス窓が開いて黒ずくめの男が入ってきたのだ!
 もう心臓が止まりそうなんてもんじゃない。
「伏せて!」
 今度はちゃんと張り上げた大声。
 飛び道具の端くれを振り回す女にそう言われたのでは伏せるほかない。
 だが、蹲(うずくま)ると同時に、襟首の後ろを掴んでその場で真上に引きずり上げられようとした。
「ぐええっ!」
 シャツの首がのどに食い込む。
 だが、プシュッ!プシュッ!という音が響くとその手が離れた。
 どたり!と地面に落とされるオレ。
「きゃあああああ~っ!」
 聞いたことも無い黄色い悲鳴が上がり、黒ずくめの男が仰向けにひっくり返った。
 けたたましく色んなものを引っ掛けてくれた。
 お世辞にも片付いた部屋とは言い難いんだが、折角詰め込んだ本棚をぐしゃぐしゃにひっくり返しやがった。
「ああああああああ~っ!」
 これはオレの悲鳴だ。
「…」
 ジーンズ女はそいつを玄関まで引きずって行って放り出した。そして周囲を慎重に警戒すると玄関を施錠した。
 よどみない動きでベランダに行くと、すぐに戻ってくる。
「しばらくは大丈夫だよ」

 オレはとにかく落ち着いてもらうことにした。
 どこから何を聞いていいんだか分からないが、とりあえずひっくり返った本棚を何とかしたい。
 一冊四〇〇円なりしかしない上、一冊一〇分で読み終わってしまうマンガ本が本棚の大半を占拠していた。綺麗に並べてはいるが、総額は知れている。とはいえ、昔から初版の帯付きばかり買っていたひいきの漫画だ。プレミアは付かないくせに帯付きのものを再入手するのは結構ホネになる。どうでもいい。
 どうにか立て直したが、まずは山となった漫画を脇に積み上げるところからやり直すしかなさそうだった。
「で?あんたは何者だい?」
 もっと怒ったり色々すべきなんだろうが、この間から非常識なことが起こりすぎた。
「…何者に見える?…なんちゃってね」
 一応は他人の男の部屋だ。食い滓(かす)を放置することだけは主義に反するのでしていないが、それ以外は典型的な「片付かない部屋」である。
 窓際には三枚一〇〇円で買った様なガラパンがぶら下がっている。一人暮らしが長くなると、いちいちタンスにしまったりせず、直接洗濯バサミからその日のパンツを選ぶ。
「…あのイケメンの仲間か?」
「…イケメン?…ああ、イケメンね。確かに悪い顔じゃないね」
 面識はありそうだ。
「悪いけど、細かいことを説明してるヒマは無いの」
「はあ」
 マヌケなやり取りだ。
「説明しようったってあたしもあんまり知らないんだけどさ」
「…はあ」
 その活発な女は、良く見るとしていたウェストポーチみたいなものから握り込める黒いものを取り出すと、ボタンを押しては何か話した。
「…とりあえず移動しましょ。ここは何とかしてあげるから」
「いや…そう言われても」
「力づくでもいいんだよ?ちゃんと鍵してれば大丈夫。あいつらはあんたと「この銃」以外に興味は無いから家探ししたりされないんで安心して」


「…と、言う訳だ」
「…」
 目の前のファーストフード…揚げたてのフライドポテト…がまだ軽く湯気を上げている。
 健康に悪そうな油の食欲をそそる香りがし、先ほどつまんだ数切れの塩味が口の中に残って更に食欲をそそる。正に動物的本能に訴える庶民の味方だ。
 だが、動物的本能…食欲…に忠実になりたいシチュエーションでもない。
 ファーストフードごしにはロマンスグレーというには少し若い、浅黒く日焼けした中年の男がパリッとしたスリーピースで決めてひじをついていたからだ。
「納得してもらえたかな」
「…」
 このおっさんは、どっかの一流企業のエグゼクティブだの社長だのと言われても驚かなかっただろう。それほど物腰が優雅で、はっきりいってファーストフードでこれ見よがしにパソコン広げて仕事してますポーズをしてるエセIT底辺とはまとっている雰囲気が違う。
 結論を言うと、場にそぐわないこと夥(おびただ)しい。
「まだ良く分からないです」
「まあ、無理もない。ボクもそうだったからね」
 白髪も混ざり始めているが分量の多い頭髪を油でなでつけた、大学生崩れのオレなんかとは格が違う「ちゃんとした大人」の目の前の男は、「ボク」という一人称を使った。だが、それも決まっている。
 正直、自分があと二十年したらこういう風になれるとは思えない。
「神木さん…そろそろ」
 ここまで案内してくれた活発女が背中越しに小さく言う。歩哨(ほしょう)(≒見張り)を気取ってるとでもいうのか。
 目の前のロマンスグレー…ということにしておこう…はどうやら「神木(かみき)」というらしい。本名だとも思えないが、名前があるってことは架空の存在から一歩こちらに近づいてくれたってことだ。
「行きがけの駄賃だ。君、イケる方なんだろ?」
 特に指のサインは作らないが、この流れだと示すことは一つしかない。
「…嫌いじゃないですが、こちとら犬猫じゃないんで」
「ファーストレストランで楽しんだと聞いたが」
「良く分かんないですけど、追われてるんじゃないんですか?」
 軽く鼻から息を吹き出す神木。
「ま、確かにそうなんだが、キミは若いのに考え方が硬いねえ」
「…神木さんが柔らかすぎるんですよ」これは背中越しの活発女。
「そうかね。いたって普通だが」
「何の話をしてるんです?」
「いや、だから最近の若者は考え方が硬いって話さ。君、フェチの方はどうだ?」
 突然剛速球が来た。
「…なんですって?」
「男なら一つや二つあるだろ?どうかね」
「…おいねーちゃん。この変態オヤジは何だ」
「ねーちゃんやめてよ。あんたみたいな弟持った覚えはないわ」
 肩越しに軽く振り返りながら言う。周囲はいい感じに喧騒に包まれていて、我々の会話に興味を持つ人間など誰もいない。
「ケイって呼ばれてるからそれでいい」
「じゃーケイさんよ。この会話は何なんだ」
「話してるのはボクだぞ?」神木の笑顔は崩れない。
「…オレも男だからな。人並みに性欲もなんもあるが、素面(しらふ)でこんな公衆の面前で並べ立てる趣味はねえよ」
「ということはあるってことだな?フェチ」
 しっかりした身なりの男が、低い重低音で「フェチ」とか言うのは下手すりゃ白昼夢だ。まるでアダルトビデオの風景である。
「…帰らせてもらうわ」
 立ち上がりかけると、ケイが目の前に立ちふさがった。
「いいから座んな。あんたに帰る場所なんてねーよ」
「どういうことだよ」
「あたしたちと協力して飛び掛かる火の粉を振り払うんだね」
「断ったら?」
「死ぬね」
「…やられるとかじゃねえのか?」
 この場合の「やられる」というのはもちろん「性的に」「性交渉をされる」はっきり言えば「レイプされる」という意味だ。ちなみに英語でも単に「DO」といえば「やる」つまり日本語とほぼ同じ意味になる。この辺は洋の東西を問わないようだ。
「そこは私が捕捉しよう」
 仕方なく腰を下ろす。いつの間にか一人称が「私」になっている。まあ、「俺」じゃないってことだろう。
「我々は仕掛ける側であって、仕掛けられる側ではない。つまり、被害に遭う心配はしなくていい」
「それは何よりだ」
「だが、殺される危険性はある」
「物騒な…」
「そういうことだ。君がやらんならボクがやるよ」
「神木さん…」
「参加するかね?」
「遠慮します。時間がありません」
「そう硬いことを言うな。デモンストレーションにもなるし」
 誰の返事も聞かず、突如取り出した黒光りするオートマチック拳銃(に、見えた物)を突然隣の席に座っていた気の毒なアンちゃんに発射した。
「っ!?」
 ほぼ同時に銃をしまう神木。
 突然のことに面食らっている。まあ、それはそうだろう。
 隣に座っていたのは大学生か社会人か…良く分からない垢抜けない若者ファッション…要はダサい恰好ってことだ…に身を固めたごく平凡な男性だった。
 何やらカバー付きの文庫本に目を走らせたり、時々思い出したようにスマートフォンをいじったりしていて、テーブルの上には典型的な買い足しのナゲットだのポテトだのが広がっている。
「う…あ…」
 悲鳴を上げたりうろたえたり叫んだりするよりも早く、彼の身体に変化が訪れていた。
 ごく普通の髪型だった彼の髪はまるで生き物のようにぞわぞわとうねり、そしてさらさらと流れ落ちて行く。髪が長くなっているのだ。
「あ…あああ…あ…」
 どういう風に状況をコントロールしていやがるのか知らないが、彼は殆(ほとん)ど叫ばなかった。流石に真昼間のファーストフード店で絶叫すれば店員などにも異常に気付かれるだろう。
 用心深くも二階の一番奥の方の席でこの会合は行われている。もしかして本当に一番隅を陣取らなかったのは、彼に先に占拠されていたということもあるが、「獲物」を確保しておくためだったのだろうか。
 両手で自分の胸を腕組みするかの様に抱きしめている。
 何度かこの光景を観て来たオレには分かる。
 今、その胸が、女の乳房の様に内側から膨らみ、盛り上がって来ているのだ。
 締め付けたからそれが抑制されると言う訳でもないのに、必死に抱きしめてしまうのは「性転換しつつある男」のサガみたいなものなのだろうか。
 ま、余り一般的な見解とは言いかねるが。
「え…ええ…?」
 長い髪に隠される形になった彼の顔は、脂ぎった毛穴が全てすっきりし、ヒゲの剃り跡がぶつぶつしていた頬も顎も大理石の様にするりと滑らかになり、くりっと丸い瞳が可愛らしくなっていた。
 目の前に翳された手…手首から先…の指が見る見る目の前で細く長く、美しく変形していく。
「…」
 多少は見慣れてきたオレですら、例えその先が美しい姿であるにしてもあからさまな「人体変形」模様に生理的嫌悪感が無いとはいえない。
 だが、その妖しい魅力は確かにあった。
 テーブルの下なので目視は出来なかったが、彼…もう殆(ほとん)ど彼女…の脚は内側に曲がって行き、臀(でん)部が張り出して艶(なまめ)かしい脚線美を形成し、ウェストが細くなっていったことだろう。
 そして…男性のシンボルが小さくしぼんでいき、体内に吸収されていったことだろう。
「あ…」
 長い睫の目をぱちくりさせている美少女がそこにはいた。
 動くたびに美しく長い髪がさらさらと揺れる。目の前に翳されたその指の細さは間違いなく美人の記号そのものだった。
 それが野暮ったい男物のファッションに身を包んでいるというのは色んな意味で倒錯的だ。
「…っん!…」
 その情景に酔っているヒマもなく、新たな刺激が被害者を襲った…らしい。少なくともそう判断できた。
 野暮ったく、平板な体型のみイメージしていたであろうTシャツ…良く見るとそこにはアニメキャラ…とも言い切れないが、少なくとも何か人の顔らしきものが描かれていた。
 だがその造形は、両手に抱えきるのがやっとに見える豊かな乳房が服の下から突き上げることですっかり歪み、変形してした。
 その胸を再び抱きしめる被害者。
「…」
 神木がドヤ顔でこちらをちらりと振り返る。
 背中を向けて見張りをしていたケイもどうしても気になるのかチラ見してくる。が、この行程になって視線をそらした。まるで汚らわしいものでも見るかのように。
 …それでピンときた。
 何故かは分からないが、感じ取れた。
 あれは…ブラジャーをさせられたんだ…。
「う…あ…」
 茫然として自らの豊かな乳房を見下ろしている被害者。
 きっとそうなのだろう。
 被害者の生まれたばかりの乳房は、文明の利器たる「ブラジャー」によってしっかりホールドされたのだ。
 きっと被害者の横隔膜の上あたり、アンダーバストと背中、そしてもしかしたらその大きさと重さから考えるに両肩に強烈な拘束感が襲ってきたことだろう。
 変化は止まらず、被害者の全身が外からも分かるレベルで変化していた。
「ん…ぁ…んぁっ!」
 たまらずひねって逃れようとし、それが更なる刺激を生んで返って苦しくなっている…様に見えた。

性転換銃~悪魔の道具~ DMM版
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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第一章 ②

性転換銃~悪魔の道具~ DMM版
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作・真城 悠

その後のことは正直余り覚えていない。
 気が付くとオレは自分の部屋で深夜番組を観ながら寝オチしていた。
 一人暮らしの悲しさで、ワンルームマンションなので生活空間がここしかないのだ。
 締めのラーメンと言う訳でもないのだが、中途半端に腹が減っているんだか減っていないんだか分からない状態でカップラーメンを流し込み、スマートフォンでお馴染みのサイトを巡るうちに疲れてしまい、目の前のバラエティが終わるまでは起きていようとしたらいつの間にか眠りの世界に落ちていた。

 …あいつは一体何だったんだろう?

 突然話しかけてきた物好きぶりもさることながら、傍若無人なおっさんサラリーマンをアイドルみたいな美少女にし、ステージ衣装まで着せたかと思ったらその場で犯し始めたのだ。
 色んな意味で頭がおかしい。
 頭がおかしいというか、普通の人間は男を女にする能力は持たない。
 電車に乗って、駅から降りてここまで歩いてきた記憶は…余りにも毎日繰り返しているので昨日に限ってあったかなかったかなんて分からない。正体を失うまで酔っても案外帰りつけるものだったりはしたが。
 ともあれ、オレはそのことはさっさと忘れることにした。
 あのおっさん、あれからどうなったんだろう?
 年の頃は40代半ばというところか。
 変化した後の姿は…うろ覚えだが、あのアイドルを基準にするのだったら十代終わりごろの女の子になっちゃったことになる。あくまで見た目だ。この頃の女の子は幼く見えるからな。
 あの可愛らしさならば芸能界でもかなりちやほやはされるだろう。
 だがそれは芸能界にいればであって、あのおっさんはただのおっさんだ。突然肉体だけ美少女になったって困ってしまうだろう。
 翌朝から一応オレはニュースをザッピングしてみた。
 だけど、そんな愉快なニュースはどこも報じていなかった。
 一応インターネットニュースや話題なども、乏しいIT知識で探してみたがやはりダメだった。


「よっ!」
 危うく飲んでいたビールを吹き出すところだった。
 そこにはあのイケメンがいたのである。
 オレはしょーこりもなく同じ居酒屋で飲んでいた。これといった理由は無いが妙に居心地がよかったからだ。
「あ…あんた…」
 イケメンはよどみなく目の前に座った。
「すいませーん!ビール下さい」
 ヒソヒソ声になる。
「…どういうことだよ」
「そんなに警戒しなくても…ヒドいなあ。ボク一人残して帰っちゃうなんて」
 ニコニコしながら言いやがる。
「…夢じゃなかったんだ…」
「あ、夢だと思ってたんだ」
 と、いいつつ「そうだろうなぁ」という余裕の態度である。
「面白い道具だったでしょ?」
「面白いって…」
「今なら周囲も混雑してますし、話せますよ」
 イケメン(何故か名前は教えてくれなかった)の話によると、この間の「武器」は「性転換銃」とのことだった。
「撃った相手を男なら女に、女なら男にするのか?」
「そうです」
「何のためにそんなことをする?」
「観てませんでしたか?気持ちいいことをするためです」
「…馬鹿な…」
「馬鹿とは失礼な…(笑顔)。動物としての自然な摂理ですよ」
「あのおっさんはどうなったんだ!?」
「天国に誘(いざな)われました」
 二人の間に沈黙が流れる。
「まさか…殺した?」
「いえすいません。モノの例えです。ボクがテクニシャンなんでね。絶頂したって意味ですよ」
「殺してないんだな?」
「あそこにいますからね」
 オレは心臓が飛び出しそうになった。
 示された方を見ると…確かにそのおっさんがいた。チビ・デブ・ハゲのあの姿のままで。
 オレは目を疑って何度もこすってみた。だが、暑苦しい「演説」をしながら部下に偉そうに人生訓を押し付ける光景は変わらない。
「どうなってる…あれは夢なのか!?」
「夢じゃありません。現実です」
 やおら立ち上がったイケメンは再びオレの前に悪夢を展開してのけた。
 少なくとも今日に関してはそれほど周囲に迷惑を掛けている様には見えなかった「上司」は再び路地裏に引き出され、同じように「銃」に撃たれた。
 そして…ついさっき会社で見かけた様なピンク色の制服…「OL」の姿にされた。
「あ…あ…」
 と、自らの変わり果てた姿に戸惑っている。
 今回が前回と違うのは、部下が路地裏についてきたことだった。引きずり出される上司を救おうというのだろう。
「じゃあ…お揃いの制服で」
 イケメンが言うと、淀みない動きで「部下」を撃った。
 忽(たちま)ちの内に肉体を変形させ、のみならずドブネズミ色のスーツは、OLの制服へと変貌していた。
「え…ええええええぇっ!?」
 ご丁寧なことに二人は髪型も若干違っていた。「上司」の方はボブカットで、「部下」の方は背中まであるロングヘアだった。
 どちらも日々の手入れを欠かしていない様に見える見事さだった。
 今回、違っていた点がもう一つある。
 それは、「被害者」が二人になったことで、「加害者」も二人になったことだった。
 オレは気が付くと、「部下」だったロングヘアの美女にむしゃぶりついていた。
 さわやかな匂いがする。
 脂肪分の少なさからか体温が高い。
 気が付くと俺たち4人は何故か誰も一顧だにしない路地裏で殆(ほとん)ど全裸でまぐわっていた。脱がせば脱がすほど出て来る、ブラジャーにスリップにパンティ…ついさっきまでの男の面影などどこにもない。ただ、口では「やめてください!」「やめろぉ!」と男みたいに言っている。まあ、男だからな。
 この間の「上司」の行状ならば多少の制裁は仕方がないとも思えたが、今日の「部下」くんには何の落ち度もない。
 だが、肉欲には勝てなかった。


 オレは河岸(かし)を変えた。
 居酒屋ではやかましすぎるので、ファミレスにした。
 適度に周囲に人がおり、かといって人口密度が高すぎない。
 イケメンの話す内容はとても信じられなかった。
 曰く、この「性転換銃」は撃ったならば忽(たちま)ちその被害者は男なら女になり、女ならば男になり、のみならず撃った人間が望む侭(まま)の服装に着替えさせる…服も変形させることが可能である。
 ここまででも驚天動地なのだが、ここからが更に凄い。
 撃たれた被害者は遠からず元に戻るのだが、撃たれて変身していた間のことは何一つ覚えていない…というのである。
「じゃあ、あのちびデブハゲは先週アイドルにされ、今週はOLにされたことを全く覚えていないと」
「その通り」
「あんたにヤラれたことも?」
「当然」
「どうなってる…」
 オレは背中を椅子に預けた。
「別に…理由なんてありませんよ。楽しいだけで」
「疑問が山積みだ。質問してもいいか?」
「どうぞ?」
「何でオレにそんなことを教えてくれるんだ。あんたに何かしたか?」
「いえ」
「じゃあ何故!?」
「…この道具は特別製で、使える人間と使えない人間がいるんです」
「…?」
「技術がどうこうとかじゃなく、理由は分かりませんが生まれつきそう決まってるんです」
「何だって?じゃあ、背が高いとか血液型がB型だとかそういう風にたまたまの体質だと」
「はい」
「それがオレだって?」
「その通り」
「…あんたにはそれが分かると」
「分かります」
「何故?」
「何故と言われても…分かるものは分かるとしか」
「何者だ?」
「ボクは…ここだけの話、公務員ですよ」
「役人ってこと?」
「まあ、そうとも言います」
「堅い職場だな」
「お蔭様で」
「…一応訊くが、職場で無暗にぶっ放したりはしてないよな?」
「もちろんしてます」
 ずっこけた。
「…ああ、そうなんだ」
「ウチの職場は結構大きいんですがね。とりあえずフロアでボクの毒牙に掛かっていない男性の職員は一人もいませんよ」
「(頭を抱える)…全員ヤッたってことか?」
「ええ」
 こともなげに言う。
「参考までに…昨日はどんな衣装を?」
「昨日は…バニーガールかな」
「それをその辺のおっさんに着せたのか」
「おっさんじゃありません。若い子です」
「いや、男にだよ」
「まあ、男ですね」
「どんな奴だ?」
「男の子の五人組アイドルグループの『ストーム』って知ってます?」
「まあ、何となくレベルだけど」
「ストームのリーダーに似た爽やかな男の子ですよ。彼女とのデート現場におしかけて、彼女の目の前でバニーガールに変えて上げました」
「…すまん。よく聞こえなかったんだが」
「彼女の目の前でバニーガールに」
「…正気じゃない」
「やっぱりバレリーナとかの方がいいですかね」
「そこじゃねえよ」
「やっぱりバニーは見た目のインパクトが凄いですね。化粧もケバ目にして。あと、バニーにするからにはスレンダーじゃ駄目でデブ一歩手前くらいのグラマーさが欲しいところです」
「講釈をどうも」
「やっぱり最大の醍醐味は自分の身体が変わり果てて行く絶望の表情を観察することですかね」
「…」
「彼女の目の前であんなにセクシーで恥ずかしい恰好させられるんだからそりゃもう恥ずかしかったでしょ」
「…だろうな」
「あ、でも大丈夫。彼女も『黒服』にしてあげたんで」
「何だって?」
「『黒服』知りません?要するにバニーガールと対になる男性従業員ですよ。男があんなカッコする訳にはいかないでしょ」
「彼女を男にしただぁ?」
「はい。でないとヤレないでしょ?」
「まさかそのままセックスさせたのか?」
「あ、ボクも加わったんで3Pで」
「…」
 絶句して二の句が継げなかった。
「最初は鳴きながらピストン運動してましたよ彼女。でも、段々お互い気持ち良くなってきて」
「…」
「流石のボクもバニーはすぐに全裸にしないで着たままかなり楽しみましたねえ」
「で?」
「はい?」
「それでその後どうなった?」
「どうもなりません。二人ともお互い男と女になって逆転セックスしたことなんてケロッと忘れて無事に働いてますよ」
「そういうことか…」
「この間職場の同期五人と個室で飲んだ時は最高でした」
「同期がいるんだ」
「ええ」
「…一応訊くが、やってないよな」
「勿論、五人ともおいしく頂きました」
「なんてこった…」
「ボクは人よりはコスプレマニアじゃないと思うんですが…」
「あーそーかい」
「でも具体的に思い浮かべないと女物にしにくくてね。女物の「普段着」とかどんなんだか知らないし」
「ふーん」
「飛行機出張の帰りだったんで、全員CAになってもらいました」
「CA…って客室乗務員のあのお姉さんたち?」
「ええ」
「最悪だ」
「最高でしたよ」
「お前は最高だろうが、お前を信じてた同期五人組にしてみりゃ女の身体にされ、女物を着せられた上に男にヤラれるんじゃ最悪どころじゃねえだろうが!」
「そうかなあ…結構喜んでたけど」
「テクニックの話をしてんじゃねえ!」
「まあ…ちょっと化粧と香水の匂いはキツかったかな」
「お前の好みなんぞ知るかよ!」
「でもまあ、その日の晩にはすっかり忘れてるんだからいいじゃないですか」
「そういうもん…なのか?」
「話してる内に…ちょっと溜まって来たんで…解消してきますね」
「はぁ!?」
 立ち上がったイケメンは、閑散としたファミレス内で談笑していた気の毒な金髪ジャージの二人組の男に襲いかかり、あっという間にファミレスの店員…もちろん女の…姿にすると、折角の制服を引き裂き、脱がせながら犯して行った。
「いやあああぁっ!やめ!やめろぉっ!いやっ!あっ!あっ!ああああああーーーーーっ!!!」
 絶倫としか言いようのないイケメンは、異常に気付き始めた他の常連客と、奥から飛び出してきた店長らしい男の制服を着たロマンスグレーまで全員毒牙に掛けた。
 可愛らしいミニスカートの制服姿にされ、年齢も二十歳程度の美女にされたその場に不幸にも居合わせた七人の男性は、着た覚えもないスカートやブラジャー、スリップ、パンティをはぎ取られ、全裸にされて犯された。
 被害に遭わなかったのは最初から女性だった二人の店員だけだった。
 その乱交に何故かオレも参加していたのだったが。

 一時間も経過しただろうか。
 先ほどの乱交のことなど誰ひとり覚えていない静かなファミレスの光景が目の前に広がっていた。

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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) 第一章 ①

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作・真城 悠

性転換銃~悪魔の道具~

第一章

 少しばかり時間が遡(さかのぼ)る。
「折角だから飲もう。君とは話が合いそうだ」
「いや…初対面だし…あちらの方々は?」
 こちらの意向も聞かずにイケメンは偶然空いていた目の前の席に座った。
「あれね。付き合いだよ。すいませーん!ビール下さい」
 勝手に注文までし始める。
「ちょっと…困ります」
「自分の分はちゃんと払うから。おごってもいいけどそっちが気を遣うでしょ」
「そりゃ…」
 周囲を見渡すイケメン。そして身を乗り出して来る。
「どうして一人で飲んでるの?」
「…勝手でしょ」
 大きなお世話というもんだ。確かに割高だが、1人で飲むのが好きなんだから仕方がないだろ。
「そんな君にオススメの道具がある」
 オレはため息をついた。
「その手の話なら間に合ってますよ」
「何だと思ってるの?」
「秋葉原でヒドい目に遭いましたよ。絵に興味は無いかって誘われてついて行ったら個室に案内ですからね。良く逃げられたもんだと」
「ああ、押し売りね。違う違う。大体お金は取らない」
 オレは頭を掻いた。
「ま、何でもいいんですけど払うお金なんて無いんで…その辺のもうちょっとお金持ってそうな人に声を掛けた方がいいですよ」
「どうすれば信用してもらえるかな」
「楽しく話したいってんなら意識高い系同士でお話しては?場末の営業マンに面白い話なんかありませんよ」
「営業なんだ」
「小さな会社ですけどね」
「ストレス溜まらない?」
「人並みにね」
「だったら…」
 その時だった。イケメンの方が勝手に手を挙げてこちらの反論を遮る。
 そして背後を振り返った。
「…?」
 そこにはカウンターで飲んでいる二人の人物がいた。
「だから飲めよ!」
「…すいません。内臓が弱いんです…」
「はぁ?オレの酒が飲めねえってのかぁ!?」
「いやだから…体質的に無理なんですよ」
 まるで昭和のサラリーマン漫画の一コマだ。
 チビ・デブ・ハゲで脂ぎってネクタイをゆるゆるにし、毛むくじゃらの腕をまくり上げて真っ赤に酔っぱらった「おっさん」が気の弱そうなこちらも小太りの若者に絡んでいる。
「丁度いい。ついてきてください」
 立ち上がるイケメン。
「やめなよ仲裁なんて!」
 少し語気を荒げた。
「…何で?」
「新宿で飲んでりゃ良く見る光景さ。気の毒だとは思うけど下手に外野が口を突っ込むと彼の立場を悪くすることもある。自分で解決させる方がいい」
 イケメンはにやりとした。
「生憎(あいにく)、彼を助ける気なんかありませんよ。単に獲物を見つけたってだけでね」
 財布を取り出すと、一万円札を抜いてオレの目の前にあった伝票と共に上にコップを載せた。
 次の瞬間にはもう二人のカウンターにいる。
「おいおい…」
 間接的にこっちの払いをしてくれたってことだろうけど、こんなの納得が行く訳が無い。
 すると、イケメンは素早くもめている二人の間に割って入ると、オレの時と同じようにまた財布から一万円を抜くと二人の間にある伝票を取り上げ、一万円札と共に「タンっ!」とテーブルの上に置いた。
 一瞬上司と部下は呆気にとられて静まり返ったが、次の瞬間チビ・デブ・ハゲの上司が立ちあがった。
「何だテメエ!文句あるのかぁ!?」
 その言説は「文句がありそうな人間もいる」程度には己(おのれ)の行状に自覚があるということに他ならない。
 イケメンは一言も喋らずに「上司」の胸倉を掴むと怪力で無理やり引きずって行く。
「うおおおおおああああっ!?何だテメエええええ!!」
 大声に周囲も注目する。
 感心なことに職務熱心な店員が飛んできた。
「お、お客さま!」
「この人のお代はカウンターに置いてあるから心配しないで」
 全く歩みを止めないイケメンは、片手で上司を引きずりながら引き戸を開け、店外に出て行った。
 金を返さなくてはならないオレだったが、仕方なくその場の手荷物を掴んで後を追う。テーブルの上の裸銭が気になるが、オレの金じゃないからな。
 地上一階の平屋だったその居酒屋の脇の路地裏に入って行くイケメン。
 これ以上付き合っても危険な気がしたが、せめて何が行われるのか見てやろうと後を追った。
「やっぱりついてきてくれたか」
「…どういう積りだよ」
「じゃ、見せるね」
 この間も「上司」は訳の分からないことをわめき続けている。
 イケメンは路地裏に「上司」を突き飛ばした。
 バランスを崩してよろけるも、何事かを叫びながら突進してきた。
 イケメンは慣れた手つきで懐に手を入れると…なんと拳銃を取り出してきた!淀みなく狙いを定める。
「…っ!?」
 見慣れない道具に固まる「上司」。
 オレも余りのことに絶句した。
 イケメンが持っていたのは西部劇に出て来る様な回転する機構を備えたものではなく、すっきりとシンプルな形にまとまった拳銃だった。前者を「リボルバー」、後者を「オートマチック」と呼ぶというのは後で学んだ。
 固まった「上司」に向かってこれまた何の躊躇(ためら)いも無く引き金を絞るイケメン。
「ひいいいいいぃぃ~っ!」
 とたまらず退散を決め込もうとした「上司」だったが、次の瞬間には拳銃は発射されていた。
 余りにも非現実的な出来事の乱打に頭がついていかない。
 射撃音はしなかった。

 ここからはありのままのことを伝える。馬鹿馬鹿しいが事実なんだから仕方がない。
 オレには文学的な描写力なんぞ無いのだが、そのチビ・デブ・ハゲのおっさんは見る見るうちに身体が変形した。
 腹はひっこみ、毛むくじゃらの丸太みたいな腕は大理石みたいにつるつるの細い腕になり…ともかく全身のありとあらゆる箇所が変形した。
 そして…着ている服までが変わっていた。
 顔や皮膚の油がべっとり染みついて向こうが透けて見えそうになり、カブトムシみたいな加齢臭が鼻の奥にツンと来るワイシャツに何処(どこ)で売ってるんだか聞きたくなる、細かい唐草模様みたいな壮絶なまでにダサい柄のネクタイも何もかも消え失せて行く。
 そこには…先ほど話題にしていた、「アイドルメンター」に登場している様な可愛らしいアイドル歌手がいた。
 オレの目が間違っていなければ今、目の前でおっさんが変形した…はずだ。

 全身の異常を感じたのか、逃げようとその場でターンして走りはじめようとしたらしいが、慣れぬミニスカートと何よりヒール高めの可愛らしい靴に足を取られ、その場で膝をついてしまった。
 …これがさっきまでの情景だ。

「…」
 余りのことにオレは言葉を失っていた。
 当たり前だ。こんな光景、現実味が無いなんてもんじゃない。これは夢か?それともデビッド・カッパ―フィールドの路上パフォーマンスか?
 だが、その次の「パフォーマンス」は更に想像の上を行くものだった。
 イケメンがカチャカチャとベルトを外し始めていたのだ。
 イケメンの方を見ると、既に男のアレが露出していた。
 そして、うずくまっている「アイドル」に後ろからのしかかると、乱暴に乳房を揉みしだき(見えなかったので推測)、首筋に吸い付き、尻を撫でまわした。
 「上司」だった「アイドル」は押し殺した悲鳴を上げたが、愛撫が続くうち、徐々に甘い声になっていった。
 イケメンは器用にステージ衣装を脱がし、武骨なスポーツブラなどもはぎ取って限りなく全裸に近い状態にまでしていた。
 後はお馴染みの光景だ。
 生まれたままの姿となった「上司」には男性らしさは微塵も残っていなかった。周囲には華やかなステージ衣装が部分的には引き裂かれて散乱していた。


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性転換銃~悪魔の道具~(真城さんの新作DL同人小説) プロローグ

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作・真城 悠

性転換銃~悪魔の道具~

プロローグ

「それって『アイドルメンター』のキャラクターですか?」
 居酒屋で一人で飲んでいた時のことだ。
 何度か後ろを通り過ぎた背の高いイケメンが声を掛けてきた。
「…はあ」
 オレは気の無い返事をした。
 確かにオレのスマートフォンの画面の壁紙は人気アニメ『アイドルメンター』のキャラクターの一人があしらわれている。
 二十代も折り返し地点に到達した男としてはちと情けないのは間違いない。
 それこそ妻と子供の写真くらいがあしらわれているのが健全…なのだろう。
 だがこちとらデフレ時代にどうにか駅弁大学を出ただけの平凡な営業に過ぎない。それも中小企業だ。従業員は全員合わせても十人程度の小さな会社で、給料は総額で月に十五万程度。アホみたいな残業をしてもこの有様だ。各種保険料と何より家賃で大半が吹っ飛ぶ。可処分所得はいいとこ2~3万というところだろう。
 要するにとてもパートナーを養ってはいけない経済状態だってこと。
 だからという訳ではないが、常日頃頻繁に目にする異性…要は女の子…はもっぱらアイドルやアニメキャラってことになる。
 無論、現実と非現実の区別がつかなくなってなんかいない。
 クラスに1人はいたアニメオタクに比べれば知識も中途半端だろう。大体社会人になってからまともにアニメなんか観ていない。
 『アイドルメンター』だって最初から最後まで観てすらいない。そもそも矢鱈(やたら)沢山ある作品をどういう順番で観ればいいのかも覚束(おぼつか)ないのだ。
 ただ単によろずまとめサイトのリンクから飛んで、そこで「可愛いな」と思った画像がタダでダウンロード出来たから貼りっ放しにしたというだけである。
「そのキャラ、好きなんですか?」
 その男はしつこかった。
 正直、学生時代にもそれほど弾けていたとは言い難いオレとたくましくは無いがおよそ言い寄ってくる女に不自由してい無さそうな彼と接点があるとは思えない。
 大体、奥の部屋で大声を上げて盛り上がってるのはあんたのお仲間だろうに。
「はあ…」
 怪しい勧誘か何かか、それともこの頃に蔓延(はびこ)り始めたという「意識高い系」って奴で、良く分からんボランティア活動か何かに巻き込もうとでもいうのか。
 その時はそうとしか思えなかった。

「うう…」
 目の前の人物がうめき声を上げて膝をついている。
 お尻をこちらに突き出すかの様な姿勢のその人物は、ふとももの中ほどまでしかない丈のスカートを履いており、気の毒なことに冷たいアスファルトに打ち据えられた膝頭に震えていた。
 そして、その姿勢なので必然的にこちらの視界には「彼女」の下着…ありていに言えば「パンティ」とか「ショーツ」とか言うべきそれがモロに見えていた。
「本当だったでしょ?」
 イケメン…とりあえずそうとしか呼びようがないのでそう呼んでおく…はこともなげに言った。
 イケメンの口調は穏やかで、感情の揺らぎが感じられない。ごく普通の当たり前の平常心のままだった。
 だが、オレの心臓は早鐘(はやがね)を打った様に乱打されており、背筋が冷たくなってきていた。
「あ…あ…あ…」
 まるでイラストの中から抜け出してきたみたいな可愛らしいアイドルのステージ衣装に身を包んだ美少女が震える声を上げる。
 歓楽街の居酒屋の脇にある裏路地にこんな美少女が場違いな衣装でつんのめっていることは…ここが新宿のど真ん中であることを考えても、余り頻発することとは言い難い。
 しかし、何より異常だったのは、その美少女がついさっきまで部下と思われる若いサラリーマンに無理に飲酒を強要していたチビ・デブ・ハゲのおっさんだったということである。



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    二次著作は禁止しません。改変やアレンジ、パロディもご自由に。連絡欲しいですし、投稿希望ですけど。

 

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